社寺所有地でホテル、マンション開発がブーム?

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社寺所有地の開発が進んでいます。

今回はブルームバーグさんの記事から、社寺の所有地でマンションやホテルの開発が進んでいるというニュースを題材にします。

紀元前の記録が残っている世界遺産、京都市左京区の下鴨神社。境内に広がる東京ドーム3個分の糺の森(ただすのもり)の隣接地で、3階建てマンション(99戸)の建設が進んでいる。同神社が土地を提供し、JR西日本不動産開発が開発・販売する最高2億円台の高級物件だ。

京都は観光客が増え、民泊問題をはじめ宿泊費の高騰、宿泊施設のキャパを超える観光客数などホテル開発が進んでいる話は耳にしたことがあります。

そのホテル用地として社寺が所有する土地が対象になっていて、しかもデベロッパーからターゲットになっているということです。

今回は宗教法人が所有する土地の転用をテーマにします。

なぜターゲットになるのか?

社寺境内地の大きさ

歴史的な背景から社寺が所有する土地は現在、約20億平方メートと言われています。

文化庁によると、宗教法人が保有する土地の総面積は約20億平方メートル。戦後の農地改革で社寺の土地のかなりが接収されたとはいえ、全業種の土地所有で宗教法人は2割を占め、卸売・小売業に次いで多い。広大な土地を保有する歴史的背景について、神戸大学の曽根ひろみ名誉教授(日本史)は、「有力な社寺は少なくとも江戸時代、幕府公認の広大な寺社領を保有する領主や地主だった」と説明。その名残で今も「所有地は境内の外に広がり、見た目よりもずっと大きいはず」と話す。(記事抜粋)

この20億平方メートルの内、活用されていない所有地に白羽の矢が立っているというのです。

しかも、境内地の中には一等地と呼ばれる立地上、利便性が高い場所も多く含まれています。

ここで注意すべきなのは自社の所有地≠境内地ということです。

所有していても宗教目的に利用していない土地もあります。

小規模寺院は所有地=境内地というところもありますが、比較的規模がある社寺は所有地の中でも境内かそうでないかという分類はあるでしょう。

寺社の経営難

檀家減少、後継者不足による寺院問題は当ブログで度々取り上げていますが、下鴨神社や梨木神社といった、京都でも有数の神社でも同様のようです。

社寺の経営状態が苦しい背景について、北海道大学大学院の櫻井義秀教授(宗教学など)は、「日本人が宗教に熱心でなくなり、世俗化したのが一番大きい」と話す。親元を離れるなど「移動して生活するのは当たり前」な中で、地元住民の間で神社を支える氏子としての意識はなくなっているという。また、寺の経営は葬儀や法事を営み、お布施を収める檀家(だんか)制に支えられてきたが、少子化の影響で「固定的なお客さんがどんどん減っている」と、櫻井教授はみている。(記事抜粋)

このような背景から、ホテルやマンション建設用地として定期借地権を設定し、その対価として数千万~億円の活動資金を創出することで宗教活動の継続を図っているということになります。


景観条例

このような開発による問題点も提起されています。

特に景観保全。京都市は早い段階で景観条例を導入しているため、ホテルやマンションの開発により景観が損なわれることになることが一番の問題です。

「全国で最も厳しい」とされる景観条例が9月より施行された京都市。ド派手な看板や広告は姿を消し、歴史的な景観と調和のとれた街並みになりつつありますが、未だ条例違反...

naverのまとめサイトを見てもいかに京都市は徹底した対応を取っているかが分かります。

マンションやホテルの建設によって寺社の周囲で景観が乱れるということがあれば、今よりも厳しい規制になる可能性があり、開発にブレーキがかかるかもしれません。

ただ、この景観の問題さえクリアすれば、観光客や京都に住みたい方のニーズは満たせて、寺社も多額の借地料が手に入り布教活動ができるというメリットを享受できるわけです。

開発は節度を持って行われるなら私は賛成ですね。

京都市の景観保全政策については以下のページでご確認下さい。

借地以外の事業も検討しましょう

借地による収入は何のノウハウや人的資源を投入しなくてもできるという意味ではローリスクハイリターンという利点があります。

しかし、これは一定規模の財産がある寺社だからできることであって、大多数の寺社は借地で多額の資金を受けられるところはありません。

そこで、私は納骨堂の運営を一つの選択肢に入れて欲しいと考えています。

〔納骨堂〕墓地との違い、増加する背景と永続性について考える
納骨堂のこと 今回は納骨堂のことを中心に書きたいと思います。 納骨堂って焼骨を保管して置く場所? 平たく言えばその通りです。 でも法律上の定義がありその定義に一致したものを納骨堂と呼びます。今回はその定義を踏まえて墓地とどのような違いがあるか解説します。 法律上の定義 ...

納骨堂は寺院では聞いたことがあるが神社では可能なのか?という疑問があります。

宗教法人である以上は許可さえ取得できれば、キリスト教でもイスラム教でも(京都にはイスラム教の宗教法人はありませんが…)可能です。

包括団体が承認するかは別の問題ですが…。

納骨堂は小規模からでも始められ、宗教法人のような公益法人にしか運営を認められていません。

寺社以外でもできる事業(例えば飲食業、物販、製造業など)では競争が激しいわけですから、納骨堂のような公益事業に参入するのが得策です。

宗教法人にしかできないというだけで、参入障壁が既に高いのです。

さらに、納骨堂を利用した布教活動が可能です。

因みに京都市では墓地の新設が認められていませんが納骨堂は可能です。

恐らく、墓地の新設ができないのは景観との兼ね合いもあるのかもしれません。

京都に限らず様々な選択肢を排除せず、社寺が活動を続けられるように、同時に景観も保全して何ができるのか。

この開発ブームから考えていかないといけません。