〔献体登録〕生前に確認しておくべき費用のこと

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献体登録が増加

沖縄タイムスによると献体登録数が増加傾向の様で、新規の献体登録が制限されるまでに至っているようです。

 自分の遺体を医学教育や研究に役立ててほしいと、生前から遺体の無償提供を約束する「献体」の登録が増えている。琉球大学医学部が運営する「でいご会」は本年度から、遺体の保存設備が限界に達しつつあるとして、新規の献体登録を制限することを決めた。20日にあった会員総会で会則を変更した。

これまでに、献体登録数の増加は報道されていましたが、今後も各地で登録者数の増加、登録制限が行われるのではないかと予想されます。

その背景については以下のような思惑があるようです。

老後の身寄りのない人や、家族との関係が希薄な人らが遺骨を納骨堂に納めてもらうことを期待して入会を申し込むケースが増えた

以前、「漂流遺骨」に関する記事を取り上げました

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死後の不安と医学への貢献、この2つの動機が合わさり登録数増加を支えているようです。

今回はこの「献体」について登録をする前に、一度確認してほしいことを記事にしていきます。

献体とは

まず、献体とは何かについて確認してみましょう。

医学および歯学の発展のため、また、力量の高い医師・歯科医師を社会へ送りだすために、死後に自分の肉体(遺体)を解剖学の実習用教材となる事を約し、遺族が故人の意思に沿って医学部・歯学部の解剖学教室などに提供すること(wikipedia)

将来の優秀な医師を輩出するための実習用教材になり、社会貢献にするということです。

献体とは文字通り身体を献(ささげ)るということで、医学部・歯学部に対して献体をすることで医師の育成に貢献し、それが社会、医学界にも重要な役割を果たすことになります。

献体登録は崇高な社会奉仕と捉えることができるでしょう。

法律上の考え方としては「医学及び歯学の教育のための献体に関する法律」というものがありまして、国によって献体は公認されていて、意思確認のルールもできています。


葬儀や埋葬費用の負担はあるのか?

墓地研究会として触れないわけにはいかないのですが、「遺骨を納骨堂に納めてもらうことを期待して」献体登録をすることが、実際どうなのかというところです。

献体というものは先ほども説明した通り献(ささげ)るという意味があるので

無報酬
無条件

という大原則があります。

献体にこのような大原則があるのは、人体をお金でやり取りすることに倫理上の問題が生じたり、金銭目的で家族が献体を強要するといったことが起こり得るからだと想像します。

そこで、葬儀や埋葬費用といった遺族が行うべきことを献体を受ける大学側が負担するかどうかですが、負担してもらえません

しかし、負担してもらえるものもあるとすれば火葬費用です。他にも死亡してから献体が終わるまでにかかる搬送費用などは大学側の負担です。

葬儀や戒名料、墓地や納骨堂の購入費用については、負担してもらえませんので注意が必要です。ここで、誰が何を負担するかを表にして纏めてみました。

負担 大学 家族
葬儀 負担
献体中 負担
火葬 負担
墓地 要手続 原則負担

献体後の遺骨はどうなるのか?

献体後は、大学側の負担で火葬され、焼骨は家族に返されます。

大学によって決まった火葬場があるようで、遺族による火葬の立ち合い、骨あげも可能ですが予め手続きが必要なようです。

そして、もし身寄りがなく遺骨の引き渡しができない場合はどうなるのでしょうか?

大学敷地内の納骨堂に収蔵されます。獨協医科大学の場合は墓地と納骨堂の両方あり、供養されることになります。

遺族が選んだ任意の墓地や墓石の購入費用は負担されないが、手続きによって遺骨の収蔵については大学が運営管理する納骨堂や墓地に収蔵・埋蔵されるということです。

獨協大学の場合は身寄りがあっても、希望を予め伝えておけば納骨堂で収蔵してもらえるようです。

大学での納骨で確認しておくべきこと

このような納骨施設を利用するうえで予め知っておくべき点があります。

一定期間後に合祀される場合がある

独協医科大学の場合は、5年間納骨堂に収蔵されその後、墓地に改葬されるようです。

墓地に改葬された後は遺骨を引き渡すことができないということですので合祀されることになります。(予め献体登録時に同意)

合祀されるということは、家のお墓があってもそこに納骨するということが不可能になります。身寄りがない場合はそれでよいかもしれませんが、そうでない場合は周囲がそれを理解している必要があります。

宗教色は?

希望する宗派の方式で法要がなされない可能性があります。

特に国公立大学の場合に言えますが、政教分離の原則で様々な制約があるでしょう。

春秋のお彼岸は大学が家族に代わって供養してもらえるということですが、そのようなことを予め理解した上で利用するかの判断をする必要があります。

どのような供養になるかは献体する側の思想、信条に関わる部分があります。予め大学側に確認が必要なところです。

本人の希望だけでは全て進まない

献体をするかどうかの最終的な判断は遺族です。

献体を希望する本人は法律では尊重される旨定められていますが、遺族が反対する中では献体はもちろん、大学での供養もできません。

家族がいる場合は家族の意向も確認しないといけません。希望通りにならない可能性も理解しておかないといけないでしょう。

まとめ

  • 献体は社会奉仕であり、法律によって確立された制度です
  • 無報酬・無条件の原則により死後の様々な費用負担については原則大学は負担はしません。
  • 登録をしても家族の反対などの様々な事情で献体に至らないことがあり、そのことは予め承知しておく必要がある