〔死んだら夫と別がいい〕死後離婚が急増しています

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離婚増加と婚姻減少

テレビや雑誌などでよく目にする熟年離婚や婚姻数低下による少子化問題などは身近な社会問題としてご存知のはずですが、実際どれぐらい離婚が増えて、婚姻数が減っているのかは数字で見てみないと実感がわかないことがあります。

この数字を見ていき、そして数字から見えてくる将来的な墓地問題について考えるのがこの記事の趣旨になります。

今回も厚生労働省が公表している平成 27 年(2015) 人口動態統計の年間推計の数字から見ていきます。

離婚件数

平成27年(2015年)の離婚件数(推計)は225,000件

平成14年(2002年)の289,836件をピークに減少はしていますが戦後70,000~90,000件の間で推移していた時期と比べると、ここ10年は2~3倍の水準になっています。

つまり離婚件数は年々増加傾向で高止まりを続けていると言ってもよいでしょう。

離婚と一口に言っても様々な理由があります。

離婚原因については以下の記事が参考になります。

離婚の理由ランキング10選:同居トラブルやパートナーの浮気が原因で別れる夫婦は多いが、最近は性格の不一致が決定打となり別れるカップルも増えている/女性から男性への暴力やモラハラも問題となっている/中には食べ物が原因で別れる夫婦もいます。

婚姻件数

平成27年(2015年)の婚姻件数(推計)は635,000件

戦後、婚姻件数のピークは昭和47年(1972年)1,099,984件となっており、この時期と比べると今は半数近くに落ち込んでいることが分かります。

635,000件という件数は戦後最低水準となっており以下に婚姻数が低下しているかが分かります。

未婚率が高まっている理由については以下の記事が参考になります。

http://www.concatu.com/contents/maincontents/con04.html

推移から見えてくるもの

離婚件数の高止まりと婚姻件数の低下は墓地の問題において考えると無縁墳墓の増加が懸念されます。

無縁墳墓とは墓参がなく、管理料の滞納があり、墓地使用者と音信不通になった墓地のことです。

つまり無縁墳墓が起こるということは絶家してしまった、絶家はしていなくても墓地の祭祀承継がうまくできなかったものになります。

離婚件数が高止まり、婚姻件数が低下するということは日本においては世帯数が減少することに繋がります。

世帯数が減少するということは祭祀承継も当然減ることになりますから無縁墳墓はこのような離婚増、婚姻減が続けば増加することになります。

墓地不足解消は無縁墳墓の整理から

以下のブログでは死亡者数が増加しており墓不足が懸念されることを記事にしました。

〔納骨堂〕墓地との違い、増加する背景と永続性について考える
納骨堂のこと 今回は納骨堂のことを中心に書きたいと思います。 納骨堂って焼骨を保管して置く場所? 平たく言えばその通りです。 でも法律上の定義がありその定義に一致したものを納骨堂と呼びます。今回はその定義を踏まえて墓地とどのような違いがあるか解説します。 法律上の定義 ...

地域によっては墓余りと墓不足が起こることは考えられますが、無縁墳墓の問題も同時並行して取り組む必要があります。

墓地不足の救世主として納骨堂のことを述べましたが、墓地に入りたいという需要も一定数あることを考慮すれば無縁墳墓の整理を円滑に進められるような法令の改正をすべきでしょう。

最近では期限付きの墓地使用契約によって無縁墳墓という概念がない墓地も出てきました。

無縁墳墓化を食い止めるためにはどうすればよいか?
無縁墳墓の増加を食い止めるには? 墓じまいが増えている背景は、次世代に迷惑をかけたくない、墓守ができる人がいなくなるといった考え方があります。 墓じまいをしてしまえば無縁墳墓化は避けられるでしょう。 しかし使用者が何の対処もせず放置してしまうと無縁墳墓は増える一方です。 ...

しかし無縁墳墓=悪ということではないことも気を付けないといけません。

無縁になりたくてなったわけではないですし、墓地は代々引き継ぐものという価値観が今では崩れている部分もある以上は誰も責めることはできません。

しかし無縁墳墓があるがために使用を希望する方が諦めざるを得ないような状況は防止すべきです。

限られた墓地を有効に活用することが墓地の乱立を防止することにもなります。

離婚は生前だけでなく死後も “死んだら夫と別がいい”

「死んだら夫と別のお墓を望む」

このようなことをテーマで日テレさんが特集してました。

自分が死んだらどんなお墓に入りたいか考えたことはあるだろうか。最近、女性専用の納骨堂や夫とは別の区画に墓地を求める人が増えている。どんな背景があるのだろうか。

違和感を感じたのがインタビューで大学生の女性に質問をしたところ。

恐らく若ければ若いほど配偶者への愛着というものがなく、両親の方が情があるためそのような返答になるはずです。

そのため年配の方のご意見も紹介してほしかったですね。

そして夫側から妻と別がいいという意見はないのか。

というのは個人的に気になりました。

しかし女性専用納骨堂やLGBTの方のための墓地紹介もありテレビとして踏み込んだ内容だと感じました。

ここからは同じ離婚でも死後離婚について考えていきます。

夫と別がいい理由を考える

夫と別がいい理由① 嫁姑問題

単純に夫を敬遠するのか、夫の家族を敬遠するのかは意味合いが全く違います。

夫と同じお墓=代々のお墓に入るという概念で考えると夫の母親と同じお墓に入るということになります。

姑と生前、仲が悪かった、姑の介護が長期化したなどの理由があれば夫と同じお墓は敬遠したくなります。

ある程度夫婦生活が長くなるとこのような傾向が出てくるのは理解できます。

夫と別がいい理由② ニーズの受け皿ができた

これは墓地を運営する側の努力で、このような個人単位の納骨を受け入れる墓地が増えてきたことです。

受け皿ができることで夫と別のお墓に入る選択肢ができます。

従来、家単位で利用するのがお墓だったわけで、それが前提の墓地運営となっていたものが使用規則や区画の整備が進み、更に社会がこのような葬送を受け入れつつあるということも大きな要素でしょう。

このような個人単位での墓地や納骨堂は今後、世帯数の減少に伴って増えていくことは間違いありません。

夫と別がいい理由③ 終活で死後の準備を考えるようになった

終活とは人生の終わりを見据えた準備のことになりなりますが遺言や相続税対策、更にはお墓の準備も含まれます。

聖徳大学・長江教授「自分自身の死というものをしっかり終活の中で考えて、自分の意思を表明することはできつつある」(記事抜粋)

これは長江教授の指摘する通りで終活をする時間が確保できれば当然、死についてより具体的な要望を口にすることができます。

そしてそのような要望がある程度周囲が寛容になり尊重されてきたということになります。

気を付けることがあるとすれば

ここで一つ注意することとして妻の方が先立った場合です。

別々に入ることを夫が予め理解をしているのかということ。夫が妻用の墓地を知らずに家の墓に納骨するということもあるということです。

そういう場合は遺言書に納骨場所の指定をしておくことです。

できれば公正証書で行うほうがよいでしょう。

身寄りが誰もいない場合で夫とは別に入りたい場合は、納骨を知り合いやお寺さんに予め事情を伝えることです。

知り合い同士で入る場合は死後事務委任契約という方法もあります。

本質的なこととして、これまでの話を否定するつもりはないのですが

結果だけで考えれば恐らく夫のお墓に入るほうが新たに墓地を買わなくてもよいということがあり経済的です。

さらにお子さんやお孫さんとも入れるかもしれないでしょうし、まだ会ったことがない曾孫さんとも一緒に入れるかもしれません。

従来ある家のお墓との違いをしっかり理解し、一時の感情に流された墓地選びはしない方がよいこともあります。

後から後悔しないようにする必要があります。

「夫のお墓に入りたくない」の究極の形は死後離婚

夫の死後に手続きをすることで夫と同じお墓に入らないという選択ができるというのをご存知ですか?

この選択をする方がこの10年で増えてきています。

法務省の戸籍統計によると、姻族関係終了届の提出件数は2005年度の1772件から14年度の2202件と年々増加。最近はメディアでも「死後離婚」として取り上げられ、15年度は2783件に急増している。(記事抜粋)

これはある届出をすることで実現が可能です。その死後離婚するには姻族関係終了届を提出することが必要になります。

夫の墓に入りたくない…「死後離婚」急増 ハンコ1つで完了「姻族関係終了届」、専門家「妻側だけの問題ではない」

配偶者の死後、義理の親や兄弟ら「姻族」との関係を解消する「姻族関係終了届」の提出件数が増えている。「死後離婚」とも呼ばれ、大半は夫に先立たれた妻が提出していると…

姻族関係終了届とはどんなもの?

まず、姻族関係終了届というものを見たことがないという方がいらっしゃると思いますので届出書類の画像を紹介します。

この書類の提出先は市区町村の役所になります。手続きとしては非常に簡単です。

配偶者が生きている間は離婚する際に離婚協議が必要な場合が多く、様々な権利義務関係の調整が必要になるわけですが、一方の配偶者が亡くなった後は、この届出一枚で婚姻関係を解消できるというわけです。これを死後離婚、巷では絶縁状と言われています。

因みに、この姻族関係終了届の書類は役所に行って貰うこともできますし、役所のホームページなどでダウンロードができます。

死後離婚の特徴

関係性から

姻族との関係悪化や義理の両親の介護を避けるためという理由が大半で、「夫の家の墓に入りたくない」との声もあるという。(記事抜粋)

配偶者側の親戚や両親との関係を亡くなった後も続けていくのが苦痛という場合があります。

嫁姑の関係がよろしくない場合など、婚姻関係を継続したままになると関係の悪い姻族の扶養義務を負ったり、同じ墓に入る可能性もあり経済的、心情的に耐えられない場合などです。

相続権は失わない

配偶者が亡くなった場合は相続が発生します。

特段、遺言がなければ配偶者は遺産の2分の1を相続するか、遺産分割協議をするわけになりますが、届出を出したからと言ってその相続権は失われません。

死後離婚で相続権が左右されないというのは手続きをする大きな動機かもしれません。

更に遺族年金も受給できるわけですから財産上の問題というのは生じないと言ってもいいでしょう。

「女は怖い」は違います

この制度が活用されているのは特に夫が先立った場合に妻が手続きをするケースです。一般的に平均寿命では女性の方が長生きをすることを考えると自然なことかもしれません。

男性側からは死後離婚について「女はすごいことをするな」「女は怖い」などの意見が多く聞かれるというが、高原さんは「こうした意見を持つ男性ほど、自分の死後に妻や家族が置かれる状況を考えてほしい」と指摘する。(記事抜粋)

夫婦問題カウンセラーの高原氏が指摘するように、自分の死後、妻がどういった状況になるかを男性は考えないといけません。

特に介護問題は重要です。

同じお墓に入ってもいいと思われる生き方を夫はできているか。

そのように妻と接することができているか。

がとても大切なように思いますし、夫婦でお墓に入ることは当たり前でなくなっていることにいろいろと考えさせられます。