〔墓地の設置〕購入希望者の個人情報提出を求められたら?提出しなくてもよい3つの理由

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墓地使用希望者リストが求められる

新たに墓地や納骨堂を新設したり拡張する際には墓地等の経営許可を行政から取得する必要があります。

その許可を取得するうえで、墓地の区画数や納骨堂の壇数などの数的根拠を行政に示す必要があります。

「うちは檀家が1000人いるから墓地が1000区画必要」

「納骨堂希望者が1万人いるので1万壇許可して欲しい」

という話をして許可が仮に出たとしても大量に売れ残り(空き)が出たりすると、許可した区画数や壇数が妥当だったの?という批判を受けかねません。

そのため申請者たる宗教法人(公益法人)は区画数や壇数の根拠を正確に示す必要があります。

では、その根拠の示し方ですがどのようにするのか…という話があります。

行政側が希望者リストを個人情報として提出するように求めることがあります。

その希望者リストは例えばフルネームの氏名や番地や部屋番号を含む住所で容易に個人の特定ができるものになります。

このことについて思うところがありますので、今回は檀家名簿を含む墓地(購入)希望者リストの行政への提出について考えていきます。


個人情報は提出しなくてもよい

まず結論からいいますと、墓地区画数や壇数の根拠として行政に対して信者の個人情報を提出する必要はありません。

個人情報を求められたら拒否しましょう。

理由は3つあります。

個人情報の管理に行政は責任が持てる?

まず、個人情報となる希望者リストを受け取ったとしてその保管は完璧にできるのかという問題があります。

行政の担当者は「厳重に管理します」と自信満々に言うのですが、万が一そのリストが漏えいした場合に責任が取れますか?ということです。

「厳重に管理できるなら、何かあったら責任取ると一筆書いてください。」

ということはできるでしょう。

一旦、宗教法人が持つ個人情報が流れるともはや取り返しは尽きません。

損害を自治体が賠償したとしてお金で解決したとしてもその情報が拡散すれば元に戻すことはできないのです。

実際に行政側のヒューマンエラーで意図せず漏えいするケースがあります。

山口県岩国市は、個人情報含む通知書の宛先を誤ったため、別人に郵送されたことを明らかにした。:Security NEXT
 野々市市は2日、今年度の市県民税特別徴収税額決定通知書を3事業者に誤って送付し、5人分の個人情報が漏えいしたと発表した。  1事業者1人に関しては、課税情報を入力する際に勤務先データの登録を誤った。2事業者各2人については、それぞれの書類を取り違えてデータ入力した。通知書に記載していた住所、個人番

挙げればきりがないのですが、故意によることもあれば過失によることもあります。

行政がこのような誤りをしている中で、安心して信者の個人情報であるリストを提出できますか?

答えはNOでしょう。

条例で宗教に関わる個人情報は収集が禁止されている

そもそも漏えい責任のことを考える前に多くの自治体では、宗教に関わる個人情報は条例で取得が禁止されています。

どの自治体でも個人情報保護条例というものがあるのですが、この中で以下のような条文が入ることが多いです。

某市 個人情報保護条例
実施機関(行政のこと)は、思想、信条及び宗教に関する個人情報並びに社会的差別の原因となるおそれがある個人情報を収集してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。
(1) 法令等に定めがあるとき。
(2) 個人情報を取り扱う事務の性質上、当該個人情報が欠くことができないものであると認められるとき。

ここで、但し書きがあり(1)と(2)の事例に限っては収集が可能ということになりますので、もし条例でリストの収集を可能とする規定があれば話は変わるかもしれません。

ただ、基本的に宗教法人から名簿を収集する行為は政教分離の観点で、いくら墓地や納骨堂の審査のためとはいえ、好ましくなく別の用途で利用されないという保証はどこにもありません。

その為、求められれば条例に抵触していないか確認してみましょう。

因みに条例に反して職員が職権利用で収集をすると最悪、懲役や罰金に処されることがあります。

某市 個人情報保護条例

実施機関の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書、図画又は電磁的記録を収集したときは、1年以下の懲役又は500,000円以下の罰金に処する。

個人情報保護条例ではこのような罰則についても定められています。

個人情報の提供に信者から同意を得ていない

墓地や納骨堂の設置のために、予め全ての希望者から行政へのリスト提供について同意を得るというのは現実的に難しいのではないかと考えられます。

同意を得られない理由としてはやはり漏えいリスクがあるでしょう。

そのため、無断で行政に提供したことを理由に信者から不信感を持たれかねません。

そのような事情をしっかり説明すれば行政も理解を示し、別の方法を考えることになるでしょう。

漫然と個人情報を得て、希望者数の把握をするというのは良いとはいえません。

一部黒塗りをすることで解決できる

ここまでで、個人情報を提供しなくてもよい理由を3つ挙げました。

ただ、申請する宗教法人側も希望者数を証明する義務があります。希望者の情報を一切出さないというのは難しい部分があるでしょう。

そこで、考えられるのはリストを一部黒塗りにしてしまい容易に個人の特定ができないようにすればよいでしょう。

名前であれば苗字を黒塗りにする、住所であれば番地やマンション名、部屋番号などを黒塗りにするといったことです。

こうすることで特定の個人を識別できなくなれば、提出して差し支えないのではないかと考えられます。

多くの自治体ではこのような対応が一般的です。

まとめ

墓地や納骨堂の設置に際して、区画数や納骨壇数の根拠を証明するものとして信者である希望者リストの提出を求めるられることがあるが、個人情報としての提出は拒否すべきです。

その理由はいくつかありますが、一部の情報を黒塗りにして個人の特定ができない程度にすれば提出して差し支えないでしょう。

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