〔墓地使用者の帳簿〕作成は義務?その必要性と記載事項について

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墓地使用者名簿 備えていますか?

墓地使用者名簿と聞いてどのような書類をイメージされますか?

墓地を使用されている名前のみ記載されたリストも墓地使用者名簿と呼べますし、名前だけでなく住所、氏名などの連絡先、戒名、本籍、区画番号など様々な情報を記載することもあります。

内容はさておき、墓地を運営されている方におかれては既に作成しているというケースが大半と考えられますが、今回は敢えて墓地使用者名簿について考えていきます。

墓地使用者名簿とよく間違われる概念として「墓地台帳」があります。これは名簿とは別物で行政が許可を取得した墓地としてまとめた資料です。

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詳しくは↑の記事でも書いていますが墓地使用者名簿のことを墓地台帳と呼ぶ方もいますが厳密には違うものですので頭の片隅にでも置いておけばよいでしょう。

墓地使用者名簿の作成は義務?記入事項とは

作成義務の法的根拠

この墓地使用者名簿の作成については法的に義務付けられています。ただ、補足しておくと法律上は「名簿」という表現ではなく「帳簿」というものになります。

「帳簿」というのは法律的な用語になるのですが、書類や資料などファイルした記録とほぼ同義語になります。通常、帳簿と聞くと会計帳簿を思い浮かべる方が多いはずですが、墓地運営における帳簿は広い意味で使われています。

では法的根拠を確認すると、まず墓地、埋葬等に関する法律の15条で帳簿の備付義務が定められています。

墓地、埋葬等に関する法律

第十五条 墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、省令の定めるところにより、図面、帳簿又は書類等を備えなければならない。
2 前項の管理者は、墓地使用者、焼骨収蔵委託者、火葬を求めた者その他死者に関係ある者の請求があつたときは、前項に規定する図面、帳簿又は書類等の閲覧を拒んではならない。

記入すべき事項

どのような帳簿を備えるかということになると「省令の定めるところにより」とありますので次に省令を確認してみましょう。

墓地、埋葬等に関する法律施行規則

第七条 墓地等の管理者は、次に掲げる事項を記載した帳簿を備えなければならない。
一 墓地使用者等の住所及び氏名
二 第一条第一号、第二号及び第五号に掲げる事項並びに埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の年月日
三 改葬の許可を受けた者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者等との関係並びに改葬の場所及び年月日

※第一条第一号、第二号及び第五号に掲げる事項とは以下の内容となっています。

1号 死亡者の本籍、住所、氏名(死産の場合は、父母の本籍、住所、氏名)

2号 死亡者の性別(死産の場合は、死児の性別)

5号 死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)

まとめると帳簿には以下の項目を記載しなければならないということになります。

墓地使用者等の住所及び氏名

死亡者の本籍、住所、氏名(死産の場合は、父母の本籍、住所、氏名)

死亡者の性別(死産の場合は、死児の性別)

死亡年月日(死産の場合は、分べん年月日)

埋葬若しくは埋蔵又は収蔵の年月日

改葬の許可を受けた者の住所、氏名、死亡者との続柄及び墓地使用者等との関係並びに改葬の場所及び年月日

以上を考慮すると単純に使用者の名前だけリストにすればよいということではなく、記載事項は多岐に亘ります。

このような情報はできればバラバラの帳簿にするのではなく、可能な限り一つのファイルとして一元管理する必要があります。

調べる手間などを考えれば情報が一カ所に集中していれば、問い合わせに対応しやすいという利点があります。

一方で紛失のリスクが高まるので、万が一の紛失にも複製ができるようパソコンなどの電磁的情報での管理も求められるでしょう。

その前に帳簿の紛失リスクを極力抑えられるように施錠が可能な場所に保管するなどの対応が求められます。

他に記述するのが望ましい事項

法令上、要請はされていませんが帳簿に記入されている方がよいものを挙げていきます。

墓石に関する情報

例として施工石材店や墓石の契約内容、施工日など記録しておくとよいでしょう。

墓地管理者は文字通り「墓地」の管理をすることが主眼にあるわけですが墓地に建立された墓石に関しても把握しておく必要が出てきます。

区画番号

個別の墓地を番号で呼ぶというのは利用者側からすると抵抗があるかもしれませんが、墓地管理上はそのようなことも言ってられません。

一般的に、墓地を購入すると区画番号が割り振られるので通常は帳簿に記載することになるでしょう。

また区画番号は墓地、埋葬等に関する法律7条の図面にも記載されていることが望ましいです。

簡単な親族関係図

墓地使用者の親族関係を知りうる限り図にして分かりやすくするというのは大切です。

墓地使用契約を交わす際にはこのような親族関係をどこまで聞くのかということが問題ですが、購入時には誰のためのお墓なのか、誰を納骨する(予定)かはある程度聴取すべきところでしょう。

墓地使用者からの問い合わせ履歴など

墓地使用者から墓地管理者に向けて墓地承継や、墓じまい、納骨などの問い合わせが随時入ると考えられますがこのようなことを記録として残すことは重要です。

例えば、墓地管理者である住職が代替わりをするということもありますし、退職や死亡などで急な引継ぎを余儀なくされることがあります。

その場合に誰が見ても分かる内容で記録しておけばその手間はかなり省かれます。また墓地使用者との行き違いやトラブルを防止する意味でも有効です。

信者名簿との関係

宗教法人法は義務付けられていませんが、一般的に作成すべきとされている書類に「信者名簿」というものがあります。

そもそも「信者の定義とは?」という問題があります。

そのため名簿作成が容易ではないという面もあります。

場合によっては広く定義し宗教法人の教義に賛同する方であればよいという考え方もありますし、お墓を持っているかどうか、特定の資格をもって信者とするケースもあるでしょう。

仮にこのよな信者名簿を作っていない場合は、墓地使用者名簿が信者名簿としての機能を果たすことも考えられます。一方で墓地使用者が宗教法人の信者のごく一部といった場合は信者名簿を作成しておく必要があるでしょう。

個人情報保護法との関係

最後に墓地使用者名簿と個人情報保護法との関係について確認しておきましょう。

個人情報保護法は最近改正がなされていますが、墓地使用者の情報というのは特に宗教法人が運営する墓地の場合は思想信条に関わるもので要配慮個人情報に該当する可能性があります。

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また、このような情報を受け取る側も所定のルールを守らないと罰則があります。

まとめ

墓地使用者名簿は法的に作成義務があります。

記載事項は法令で定められており、定められた事項以外にも墓地管理上必要であれば墓石に関すること、区画番号などを記載しておくことが望まれます。

また宗教法人の信者名簿についても法的には作成義務がないが墓地使用者名簿との関連性を考え必要に応じて作成、修正を繰り返し最新の状態に維持しておきましょう。

墓地使用者名簿以外に作成が必要な書類については以下の記事も参考にしてみてください。

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