〔墓地使用権〕どのような権利なのか?

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墓地使用権を考える

これまでの記事で墓地使用権という言葉を度々使ってきました。

意味は読んで字のごとく墓地使用する利です。

しかしこの墓地使用権は永代使用権とも言われ権利の性質を考えていくと奥深いものがあります。

今回は墓地使用権とはどのようなものなのか。解説していきます。

お墓を買うとはどういうことかをまず考える

一般的にお墓を買うということはどのような意味があるのか考えたことがありますか?

お墓はもちろん墓石を購入することでもあるのですが厳密にいうと墓地使用権と墓石を購入することなのです。

まず墓地使用権を取得しその権利がある場所に墓石を建立するということになります。

その為墓石だけを購入するケースというのは既に墓地使用権を購入した後に未建立の場合で、墓地使用権がないのに墓石を購入するということはできません。

墓地使用権あっての墓石建立です。

どのような性質の権利なのか

墓地使用権という権利は実は法律で規定されたものではなく明確な定義はありません。

墓地使用権の定義は判例や行政が出す通知、学説などの積み重ねから確立されてきたと言っても過言ではありません。

何故、敢えて法律で定めないのでしょうか。

墓地自体は昔から慣習があったり、墓地と宗教は切り離せないところもあります。

この部分を法律で一律に定めることは困難だからです。

そこで特に押さえておきたい2つの性質があります。固定性と永久性です。


固定性

墓地は都道府県知事の許可がないと設置することができません。これは墓地、埋葬等に関する法律10条に定められています。

墓地、埋葬等に関する法律

第10条 墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

そのため墓地は容易に移動することができないという性質があります。

これを固定性と呼ばれます。

永久性

最近では有期限の墓地が流行っていますが、通常の墓地使用権は無縁とならない限り永久に使用し続けることができます。

100年、200年使い続けられる権利です。

実際に数百年単位で墓地として使われているところは多くあります。

これを永久性と呼ばれます。

因みに30年で使用期限が切れるような永代供養墓は永久性がない墓地と言えます。

墓地を買う側から見れば

墓地を購入する側から見れば永久的に固定された特定の場所で墓石を建立し祭祀する権利と捉えていいでしょう。

学説的に墓地使用権は債権なのか。

物権なのか。

借地権なのか。

解釈の仕様によってはいずれも理由があり、慣習や宗教的思想によって捉え方が変わってくると言えます。

もう一つの性質 聖域性

固定性と永久性がよく言われる墓地の性質ですが個人的にもう一つの性質を見出しています。

それは刑法188条の礼拝所不敬及び説教等妨害の規定を根拠にしています。

(礼拝所不敬及び説教等妨害)

第188条
1 神祠、仏堂、墓所その他の礼拝所に対し、公然と不敬な行為をした者は、6月以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。
2 説教、礼拝又は葬式を妨害した者は、1年以下の懲役若しくは禁錮又は10万円以下の罰金に処する。

つまり聖域性です。

墓地に限らず寺院や神社の境内も含まれるわけですが、宗教施設としての振る舞いが求められます。

先祖祭祀をする間は誰にも干渉されない神聖な時間が流れますし、そのような時間に浸る権利が墓地使用権があれば享受できます。

墓地使用権(永代使用権)は一言では表せない多くの判例と学説、そして慣習により成り立った奥の深い権利だと思います。

まとめ

  • 墓地使用権は一般的に永久性と固定性があると言われている。
  • 刑法を根拠に聖域性もあるという考え方がある
  • 一律に法律で規定することが難しい権利である