〔無許可墓地問題〕なぜ起こるのか考える

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無許可墓地はNGです

墓地として土地を利用するのであれば墓地、埋葬等に関する法律10条により都道府県知事から許可を受けなければいけません。

「この墓地は無許可かも?」

何かのきっかけで、あなたがもし気付かれたらどうしますか?何か行動をしますか?

「何となく、ややこしくなるから黙っておこう。」

というのはよくありません。

石材店の方が指定石材店として出入りされているのであれば、どの区域に建立してよいのか把握するよう努めましょう。

宗教法人さんから「ここは建てて大丈夫だから」という言葉だけで施工して後から、その区画が無許可だったという話は現実に起こった話なのです。

※通常は許可取得時に墓域の造成工事をして行政も確認するので起こることはまずないですが。

今回は滅多に起こらないが、起こったら大ごとになる無許可墓地について考えます。

無許可かどうかは購入者は把握できない

墓地を使用されてる方にとってはそこに許可が出ているかどうかなど把握しようがありません。

例えばおいしい投資話や儲け話があると言って近づいてきた人には、なんだか怪しいな。詐欺かな?と身構えます。

しかし、購入者から自発的に購入する場合にはよほどでない限り見破れません。

許可された区域から無断拡張した場合も無許可墓地になりますが、元々許可があることは分かっていても、埋蔵が認められた墓域がどのような範囲なのか図面を見ることはなかなかありません。

墓地、埋葬等に関する法律には墓地図面を作成し、備えないといけないという義務が管理者に求められています。

墓地、埋葬等に関する法律

第十五条  墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、省令の定めるところにより、図面、帳簿又は書類等を備えなければならない。

ただ、この図面は管理者が作成するため許可取得時のものとは限りません。

墓域をどうしても知りたいという場合は、自治体窓口で図面を閲覧させてもらいましょう。

閲覧できないという対応になれば、情報公開条例に基づく情報公開請求をするしかありません。

しかし周辺住民や墓地使用者間で無許可であるという噂が出たりするとむしろ行政の方が先に動いて調査することがあります。

相談窓口はどこか?

通常はなかなか気づかないものですがもし、何かしらの情報に基づいて無許可を知りえた場合は、墓地の許認可を所轄する部署に相談しましょう。

一般的に、市町村の衛生課や保健センターなど自治体によって名称が違います。

役所の総合窓口で部署を確認しましょう。

次に、その墓地を無許可と知りながら販売委託を受けた石材店や宗教法人が墓地を分譲していると詐欺罪に問われます。

無許可かどうかは墓地購入時の時点で分からないことも多いですが、購入者は警察や検察に相談することになります。

更に、墓地を管理する職員さんがこれらを通報し、報復として雇用主の宗教法人から不利益な取り扱い(解雇や降格など)が不安な場合は公益通報者制度というのがあります。

この公益通報者制度は無許可墓地として分譲しようとした時点で通報できます。

分譲した後でもできるのですが内部の方は被害が出る前に対応してほしいものです。

購入者は保護される

仮に無許可墓地を購入してもそうとは知らなかった場合、墓地使用者は保護されることになるでしょう。

実際に無許可墓地を造成し販売した事件がありましたが、墓地墓石を購入した方は発覚後の墓地使用について、やむなしとされた事例があります。

もちろん、その事件では新規分譲は凍結。

さらに、他の同様の事件では宗教法人の役員が逮捕、書類送検されたものもあります。

善意の第三者である墓地購入者は保護されても、無許可墓地を購入した後味の悪さで自ら解約するケースもありますし、墓地経営者が返金して別の墓地に移るということもあります。

無許可墓地を分譲してしまうケースとは

悪意を持ったケース

墓地経営許可を取得するのが面倒であったり、遵法意識が低い場合に起こりえます。

寺院境内墓地であれば境内敷地内の余った土地に作ってもばれないだろうという安易な気持ちで分譲したケースもあるでしょう。

更に許可取得、墓地の拡張許可取得に総代会、宗派の管長の承認が必要になるため、その承認を得られないことが分かっていた場合、墓地使用料によって一時的に資金を得たいという事情も考えられます。

いずれにしても、許されることではありません。

法律を全く知らないケース

悪意はないが法律そのものを知らず、許可は要らないと思いこんだ場合です。

しかし、このようなケースは相当稀でしょう。

墓地を造成する過程で、工事業者や石材店が関わることが多いはずなので分譲に至るまでに許可取得が必要ということは分かるはずです。

知らないということは悪意と捉えられても仕方ないでしょう。

許可区域と墓域を混同したケース

許可取得時に許可区域と墓域を明確にするために、図面の提出を求められますが、この墓域の範囲を混同し許可区域内の墓域外に造成する場合です。

この場合でも悪意は感じられます。

この二つについてどう違うのかまとめます。

許可区域とは

墓地運営に必要な全体の区域です。

墓域に限らず、管理棟、休憩所、トイレ、通路(参道)、駐車場などの付随施設も許可区域に含まれます。

公園型墓地の場合は樹木が植えられている部分も許可区域として許容範囲でしょう。

一方、小規模な寺院境内墓地の場合は管理棟やトイレなどは境内建物が既にあるので、そのような付随施設が少ない傾向があります。

墓域とは

許可区域の中で遺骨を埋蔵する区域を指します。

墓域が決められると、その場所以外に埋蔵目的での墓石は設置できません。

逆に墓域を後から駐車場にしたりトイレにすることも通常は認められません。

墓域は神聖な場所ですので埋蔵と墓石建立しか認められないということでしょう。

みなし墓地の整理で

墓地、埋葬等に関する法律が施行される以前から、命令によって墓地の許可を得ている場合は改めて許可を取得する必要はありません。

これを「みなし墓地」といいます。

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このみなし墓地を整理する中で、当初よりも広くなり、行政側が把握しているみなし墓地として区域面積を超えるようなことがあると、その部分は無許可墓地という評価を受けることがあります。

これは程度の問題で、それぞれ自治体や担当者によって判断が変わるかもしれませんが、みなし墓地であっても当初の面積に準じた整理をするべきでしょう。

整理に乗じて、2倍3倍のような広さにするのは問題になります。

無許可墓地はリスクしかない

無許可墓地は遅かれ早かれ必ず発覚すると言っていいでしょう。

そのため、リスクしかありません。

リターンは結局ゼロなのです。

発覚すると行政処分を受けることは間違いないです。

さらに、民事上、刑事上の制裁や賠償を請求されます。

経営許可の取消まではなくても新規分譲は凍結ということが多く、信頼回復するのは容易ではありません。

購入者には許可があるかないかは確認する術がないのですから、墓地経営者の倫理、コンプライアンス意識に頼ることになります。

「知らなかった」や「勘違い」も通用しないことがありますので、墓地を運営している、しようとしている方は注意しましょう。