無縁墳墓化を食い止めるためにはどうすればよいか?

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無縁墳墓の増加を食い止めるには?

墓じまいが増えている背景は、次世代に迷惑をかけたくない、墓守ができる人がいなくなるといった考え方があります。

墓じまいをしてしまえば無縁墳墓化は避けられるでしょう。

しかし使用者が何の対処もせず放置してしまうと無縁墳墓は増える一方です。

無縁墳墓の使用者は望んでそうなったわけではありません。

祭祀承継について一族で合意できなかったり予定者の無関心など様々な要因が重なって起こります。

今回は墓地の管理者としてどのような対応が望ましいのか考えていきたいと思います。

小谷みどり氏の見解

以前、意識調査に関連して紹介したyahoo記事です。今回は小谷みどり氏(以下、小谷氏)のコメントを見ていきます。

この年末年始、全国でいくつかの「墓じまい」があった。墓参りする人がいなくなり、墓自体を処分したのだ。 「墓じまい」には至らずとも、「雑草に覆われて墓石も見えない」などの「荒れ墓」、使用者が不明の「無縁墓」は増え続けている。

「無縁墓はこの先、一気に増えます」

第一生命経済研究所の小谷みどり主席研究員(47)は、葬儀や墓の問題を20年以上研究している。この先、無縁墓はどうなるのか。本当に急増するのか。その見通しを聞くため、東京・有楽町のオフィスを訪ねた。

少子化が急速に進む中、旧来型の「家」制度に沿った墓の維持は困難だと、小谷さんは言う。

「今の60〜70代にすれば、墓には親や同居していた祖父母が入っていることが多かったので、その親近感から多くの人が墓参りに行っていました。ところが、核家族化が進行した結果、その子どもたち世代が祖父母に会うのは年1、2回という状況です。さらにその子ども、つまり孫世代が墓守になるころには、墓参りする人もぐんと減り、一気に無縁墓が増える過疎の地域ほどスピードも速いはずです」(記事抜粋)

小谷氏は、墓地問題、死生観や終活、葬送問題を研究されている第一人者です。

この方の問題提起は鋭く的確なものがあり大変参考にさせて頂いてます。

詳しくは小谷みどり氏のレポート紹介ページでご確認ください。

第一生命経済研究所、気鋭のエコノミスト・研究員をご紹介するページです。エコノミスト・研究員が執筆したレポート類を閲覧することができます。

小谷氏の指摘は核家族化が無縁墳墓化を生んでおりこれから増える見通しであるということです。

であれば墓地管理者はこのような状況を防ぐべく対策しなければなりません。

無縁化防止策

ここで対策すべきことを5つご紹介します。

これらのうち一つだけでは効果が出ませんのでいくつか複合的に行っていくのが良いでしょう。

①墓地使用者の住所を把握する

「◯◯霊園だより」のような機関誌を年に数回発行・発送して使用者の住所を確認するという方法が代表的です。

霊園だよりは住所の把握という意味で効果的ですが、もっと大事なのは機関紙の中身です。霊園に行きたいと思える内容にできるか、また行きたいと思える仕組みが日頃からあるかがポイントです。

②墓地を巡回し各区画の清掃状況を見る

墓地の共用部分(管理棟や通路など)の清掃は墓地管理料で賄われるのが一般的です。しかし各区画内は墓地の使用者が定期的に清掃、植栽の手入れをしなければなりません。

そのため墓地管理者はできる限り巡回し墓地の状況を確認するほうがいいでしょう。日頃から見ておけば小さな異変に気付きやすくなります。

③墓地使用規則や墓地使用開始時の説明など

無縁墳墓化が生じること前提として、墓地使用者と墓地使用契約を交わす際に重要事項として説明をしておくことが大事です。

説明内容としてはどのような場合に無縁墳墓と判断され、無縁墳墓と判断されると改葬が行われるなどです。

予め説明を受け墓地を使用することで責任感が生まれます。

④墓地管理料の徴収は集金代行で

墓地使用者が多くいる霊園などでは、墓地使用時に管理料の口座振替手続きをするところが多いです。

もちろん手数料はかかりますが現金での持参や振込よりも効率的かつ確実に集金ができるのが魅力です。

特に持参となるとその場で領収証を発行する必要があり面倒なところもあります。

さらに口座振替ができなかった場合はそのデータを頂けますので、もし引き落としができなかった場合はすぐに使用者へ確認の連絡もできます。

また引き落としできなかった使用者に振込用紙など郵送されるサービスもあります。

霊園だよりを4月に発行し、集金代行は10月引き落としなどにしておけば年に2回、使用者が霊園を意識する機会を生むことができ組み合わせると効果的です。

ちなみに1件から集金代行ができるところもあります↓

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⑤SNSの活用

ツイッターやfacebookなどのSNSを利用し墓地の近況報告や行事案内をするのも効果的です。

墓地管理者と使用者とのリレーションを維持するツールとして利用できないか検討してもいいでしょう。

墓地の使用者となられる40代、50代の方もSNSで情報発信している方は沢山いらっしゃいます。

例えば寺院境内墓地では住職と檀信徒の間に距離があるところは多いです。

その隙間を少し埋めるだけでも無縁墳墓化を防げる部分もあるはずです。

この対策のメリットは費用がかからないことです。

しかし問題はSNSでどのようにつながるのか。霊園だよりでSNSの案内をすると相乗効果があります。

注意点

費用対効果を見極めて

墓地が広くて巡回に時間を要する場合もあります。

その場合は人件費との関係で無縁墳墓の阻止と天秤にかける必要が出てくるでしょう。

さらに霊園だよりのような機関誌を発送するには仮に1件の切手代82円とすると100軒で8200円、1000軒だと8万2千円かかります。

郵便代金もばかになりません。

どのように対策をするのか、その予算はどれぐらいに設定するのか墓地の状況によって様々です。

複数の対策を

①と②の対策はある程度規模の大きい墓地であれば行われているものです。

更に③~⑤を追加して行うかが問題です。

規模の小さい寺院境内墓地であれば定期的に墓地使用者である檀信徒が集まる機会があるでしょう。

そのため無縁墳墓化対策は必要性が低いでしょう。

核家族化を意識した行事を

無縁墳墓化する根本的な原因は小谷氏が指摘する通り核家族化です。

子や孫の世代と参加できるような行事を墓地で定期的に準備し、そこに一族の墓地があるという共通認識を持ってもらうことが重要です。

本誌的に子や孫もその墓地に行きたいかどうか。

ご先祖様がそこで眠っていることを理解する、そんな機会が求められ墓地管理者側もその要請に可能な限り応えていくべきです。

墓地使用権を有期限化するという方法も

無縁墳墓化についていかに防ぐかということは墓地経営者によって重要なテーマです

しかし実際に対策をとるのは限界があるというケースも多く費用対効果が見込めないなどの理由であきらめることも少なくありません。

それでは無縁墳墓化することを敢えて見越した対応ができないか?

というのが有期限墓地の考え方です。

有期限化に伴う効果

墓地の使用期間を予め決めて置き、その期間が到来したら使用者や承継者の存在があるかないかに関わらず墓地の使用権が消滅するのが有期限化です。

通常の墓地の場合、半永久的に期限なく墓地使用権が継続します。

墓地使用管理規則などで墓地使用権の消滅事項に触れない限りは使い続けることができます。そのため通常の墓地が無縁化した場合、種々の対策や対応が必要になり、改葬までに時間とお金が必要となります。

一方で、有期限とした場合はそのような対応・対策は必要なく墓地管理者の負担が大幅に軽減されます。

またその墓地が改葬された後は再び、同じ場所を別の方が使用できるという墓地経営上のメリットもあります。

永代供養墓でも

今、流行りの永代供養墓にも有期限としているところがあります。

永代供養という言葉は個々の解釈によって様々ですが

通常の墓地のように期限なく、永代にわたって供養される。
一定期間が過ぎると、合葬墓に改葬されるが供養は永代行われる。
最初から合葬墓に納骨され、供養は永代行われる。

大きく分けるとこの3種類です。

全て供養は永代(無期限)ですが墓地使用権は期限があるかないかで違いがあります。

永代供養墓も扱いは寺院や契約約款によって一律ではありませんので契約時は注意が必要です。

本来は公営墓地から生まれた概念

この有期限の考え方は実は市町村が運営する公営墓地が始まりとされています。

公営墓地は人気が高く、抽選になかなか当たらないなどの希少価値があります。

墓地使用者がその居住地に住んでいない、または無縁となり祭祀承継者は別の市に引っ越したなどの理由で公営墓地があるところに住んでいないのに墓地をもつことについては批判がありました。

墓地が使用できない住民から不満がでて改善策を考えたことがきっかけでした。

有期限化することで確実に空き区画が確保でき住民の使用を促進できるというものです。

無縁にならない安心

民間墓地でも永代供養墓のニーズが高まっている要因は、期限がはっきりしていて墓地経営者(寺院)が将来責任を持って遺骨を管理するということを打ち出している。

すなわち無縁にならないからです。

無縁と聞くとやはり良い気分になりません。

自分は無縁のお墓に入りたくない。

次世代に任せても墓守はしてくれないという一種の不安を解消するのが永代供養墓なのでしょう。

公営墓地とはまた違う角度で有期限墓地の必要性があります。

まとめ

  • 無縁墳墓化は核家族化の影響により今後も増加傾向となる
  • 無縁墳墓化の対策はそれぞれの墓地環境に応じ管理者が適切に講じるべき
  • 本質的な問題に対処するため子や孫の世代も墓地に行きたいと思える環境づくりが求められる
  • 無縁墳墓化を防ぐ手段として墓地使用権の有期限化という方法もある
  • 本来は公営墓地での墓地問題に端を発した解決策であった
  • 民間墓地の永代供養墓でも有期限墓地は広まっている