〔要申請〕墓地や納骨堂の非課税手続き、後から課税されることもあります

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墓地・納骨堂は非課税?

墓地や納骨堂でかかる税金を非課税にすることができるってご存知でしたか?

非課税か課税になるかの違いは宗教施設であるかどうかの違いです。ではどのような税金が非課税となるのか。

その前に、宗教法人は税制上優遇されているという批判を受けるかもしれません。

非課税となるにはそれなりの理由があります。

ただ、非課税になった後も場合によっては課税されるケースもあります。

そういったところを含めて見ていきましょう。

非課税となるもの

ではどんな税金が非課税となるのか。

非課税となる税目は3つあります。

登録免許税、不動産取得税そして固定資産税です。

非課税にしてもらうには申請が必ず必要です。

申請なしに税務署や税務課が勝手に非課税にすることはあり得ません。

何故、非課税にするのか証明する必要があるのは宗教法人側にあります。

また固定資産税が課税され続けてた場合、後から還付してもらうのも難しいです。

では、それぞれの税目について解説します。

登録免許税

登録免許税は土地や建物を取得する際、登記しますがその際に支払うのが登録免許税です。

これを登記料と呼ぶことがあります。

墓地や納骨堂の経営許可を取得する際に、土地や建物は宗教法人名義であることが条件となっています。

そのような場合、宗教法人が土地建物を売買や寄付で取得する際に手続きをすることで登録免許税が非課税となります。

根拠となるのは登録免許税法の4条と別表3です。

登録免許税法(公共法人等が受ける登記等の非課税)
第四条  別表第三の第一欄に掲げる者が自己のために受けるそれぞれ同表の第三欄に掲げる登記等(同表の第四欄に財務省令で定める書類の添附があるものに限る旨の規定がある登記等にあつては、当該書類を添附して受けるものに限る。)については、登録免許税を課さない。

別表第三 非課税の登記等の表(第四条関係)抜粋

十二.宗教法人
宗教法人法(昭和二十六年法律第百二十六号)
一 専ら自己又はその包括する宗教法人の宗教の用に供する宗教法人法第三条(境内建物及び境内地の定義)に規定する境内建物の所有権の取得登記又は同条に規定する境内地の権利の取得登記

実際は墓地や納骨堂に限らず境内地や境内建物を取得する場合は非課税になります。

ではその土地建物が境内地であるかどうかの証明を都道府県知事にしてもらう必要があります。

都道府県庁の宗教法人担当の部局に境内地(建物)証明をしてもらいその証明を登記申請する際に添付すれば非課税となります。

因みに登記が済んでから還付を受けることはできませんのでご注意ください。

不動産取得税

不動産取得税は土地建物を取得したときに1回限り課される税金です。

登録免許税は登記する際に発生するのに対して不動産取得税は取得した時点で納税義務が生じます。課税するのはその不動産がある都道府県です。

非課税の根拠となるのは地方税法73条の4で定められています。

地方税法 第七十三条の四(抜粋)

道府県は、次の各号に規定する者が不動産をそれぞれ当該各号に掲げる不動産として使用するために取得した場合においては、当該不動産の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。

 宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法 (昭和二十六年法律第百二十六号)第三条 に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法人令(昭和二十年勅令第

 道府県は、公共の用に供する道路の用に供するために不動産を取得した場合における当該不動産の取得又は保安林、墓地若しくは公共の用に供する運河用地、水道用地、用悪水路、ため池、堤とう若しくは井溝の用に供するために土地を取得した場合における当該土地(保安林の用に供するために取得した土地については、森林の保健機能の増進に関する特別措置法 (平成元年法律第七十一号)第二条第二項第二号 に規定する施設の用に供する土地で政令で定めるものを除く。)の取得に対しては、不動産取得税を課することができない。

固定資産税

固定資産税は不動産をお持ちの方は良くご存知のはずですが、毎年課税されるものです。

こちらも非課税の根拠は地方税法348条2項の3と4から導かれます。納骨堂の場合は境内建物という根拠で非課税になります。

墓地のように墓地であるだけで非課税というわけではなく、宗教施設として認められないと納骨堂の場合は課税される余地があります。

地方税法 (固定資産税の非課税の範囲) 第三百四十八条

2 固定資産税は、次に掲げる固定資産に対しては課することができない。ただし、固定資産を有料で 借り受けた者がこれを次に掲げる固定資産として使用する場合においては、当該固定資産の所有者に課 することができる。

宗教法人が専らその本来の用に供する宗教法人法第三条に規定する境内建物及び境内地(旧宗教法 人令の規定による宗教法人のこれに相当する建物、工作物及び土地を含む。)

墓地




納骨堂の一部を後から課税された事例があります

昨年6月の話になるのですが東京都で納骨堂を運営する寺院に対して固定資産税などを課され訴訟になったニュースがあります。(中外日報)

東京都内の宗派不問の納骨堂の一部に東京都が固定資産税などを課したことに対し、寺院側が「宗教活動を行う納骨堂は非課税の境内建物に当たり、課税処分は違法だ」として取り消しを求めた訴訟で、東京地裁は5月24日、原告の訴えを棄却…

課税の対象となったのは曹洞宗伝燈院が運営するビル型納骨堂「赤坂浄苑」(東京都港区)

この訴訟に関して控訴したのか既に判決が確定したのかはニュースからは読み取れないのですが少なくとも同じような課税事例が過去にあったようです。

何故、この納骨堂は課税されたのか。

その要因は宗旨宗派を問わず利用できるというところ。

都は、販売会社を通じて、宗旨を問わずに広く使用者を募集することなどを挙げ、曹洞宗の本尊がある本堂など以外は「宗教法人の本質的な活動のために専ら使用される境内建物及び境内地」には当たらないとした。(記事抜粋)

一方で寺側は

「教義を広めてあまねく人に仏の慈悲をもたらす機会を与えるため」などと説明し、「納骨や納骨堂の宗教的意義が失われ、または薄れるものではない」と反論。これまでに納骨件数の9割の法要を寺の僧侶が実施していることや、曹洞宗以外の檀信徒から受けた遺骨も同宗の典礼方式で永代供養を行っているなどと主張。

従来は宗旨宗派を問わず募集をしても最終的に寺の檀信徒になれば宗教活動として認められ非課税になるという考え方でした。

それが東京都の事例では宗旨宗派を問わず募集をした時点で課税になる可能性が生じるということになります。

境内建物の定義

課税対象になったのは今までになかったビル型の納骨堂ということで新たな形態と言えるかもしれません。

そこでこのような建物が宗教法人法3条が定める境内建物の定義に当てはまるかが重要なところです。

宗教法人法(境内建物及び境内地の定義)

第三条 この法律において「境内建物」とは、第一号に掲げるような宗教法人の前条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の建物及び工作物をいい、「境内地」とは、第二号から第七号までに掲げるような宗教法人の同条に規定する目的のために必要な当該宗教法人に固有の土地をいう。

 本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人の前条に規定する目的のために供される建物及び工作物(附属の建物及び工作物を含む。)

 前号に掲げる建物又は工作物が存する一画の土地(立木竹その他建物及び工作物以外の定着物を含む。以下この条において同じ。)

 参道として用いられる土地

 宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地(神せん田、仏供田、修道耕牧地等を含む。)

 庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地

 歴史、古記等によつて密接な縁故がある土地

 前各号に掲げる建物、工作物又は土地の災害を防止するために用いられる土地

3条の1項に納骨堂という記述がないため例え宗教施設であっても納骨堂の部分は課税される余地があるということになります。

更に、ビルという形態は他の宗教法人が所有する境内建物と比較してかけ離れているものであれば境内建物として判断してよいものか行政としては疑念が生じるというわけです。

墓地は非課税となる

不動産取得税や固定資産税は墓地と認められれば非課税になります。

気を付けたいのは納骨堂は墓地ではないということです。

同じ納骨施設でありながら扱いが異なるところは注意が必要です。

その為、納骨堂を非課税にするには境内建物と認めてもらうことが必要です。

先ほども触れましたが納骨堂だから非課税、ではなく納骨堂が宗教施設であれば非課税という考え方です。

まとめ

  • 墓地や納骨堂は申請することで非課税にできる
  • 非課税になるのは登録免許税、不動産取得税、固定資産税の3つ
  • 宗旨宗派問わない納骨堂は建物の一部が課税される可能性がある
  • 墓地と納骨堂は非課税になる根拠が違うため注意が必要
  • 新たな形態の宗教施設が行政側の新たな解釈を生み出す余地があります