〔墓地の設置〕気を付けたい周辺施設と公共の福祉

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墓地予定地の周辺に、どのような施設が存在するかある程度調査が必要になります。

例えば皆さんが通っている病院の傍に、墓地があったらどうでしょう?

自宅の傍にあったらどうしますか?

中には墓地は落ち着くという方もいらっしゃるかもしれませんが、そうでない方の方が圧倒的に多いのは間違いがありません。

そのような方に配慮するということで、特定施設に関しては墓地から一定距離を置かないと許可が出ないというルールを定めている自治体があります。

このようなルールというのは公共の福祉の観点から許容されるものですが、今回はその施設や距離について紹介し墓地の設置を検討する際に活かしていただければということで記事にします。

墓地が制限される施設とは

代表例が住宅です。常に人が住んでいる場所ですから、近くにできるのは差し支えるという方もいらっしゃいます。

その他、どのような施設があると墓地から距離を置かないといけないのか一例を紹介していきます。

一部、馴染みがない施設もありますので抜粋しています。

因みに、墓地だけでなく火葬場についても同様の基準があります。

これらは公衆衛生上の中で特に精神衛生に深くかかわる部分です。

児童福祉法に規定する施設

助産施設、乳児院、母子生活支援施設、障害児入所施設、情緒障害児短期治療施設、児童自立支援施設のように子供の成育や発達に深い関係のある施設のことです。

これは、お子さんだけでなく仕事をされる職員、お子さんと利用される親への配慮も含まれます。

診療所、助産所

墓地や火葬場は死を連想する施設ですから、そのような施設の存在が病気の治癒や、出産に影響があるということでしょう。

生活保護法に規定する救護施設

救護施設は、身体や精神に障害があり、経済的な問題も含めて日常生活をおくるのが困難な人たちが、健康に安心して生活するための保護施設です。平成21年度4月現在で、全国に188か所あり、約17,000人のさまざまな障害が持つ人がともに生活をおくっています。

婦人保護施設

売春防止法第36条により都道府県や社会福祉法人などが設置しています。もともとは売春を行うおそれのある女子を収容保護する施設でしたが、現在では、家庭環境の破綻や生活の困窮など、様々な事情により社会生活を営むうえで困難な問題を抱えている女性も保護の対象としています。 平成13年4月に成立した配偶者暴力防止法により、婦人保護施設が配偶者からの暴力の被害者の保護を行うことができることが明確化されました。

老人ホーム

こちらは特段説明はいらないと思われますが、高齢者が自立して助け合い生活をしている施設になります。

このような施設は特別養護、優良など様々な種類がありますし、介助が必要な方からなくても、補助だけで大丈夫な方まで段階がありますのでそれぞれの状態に合わせた老人ホームに入所することになります。

特別養護老人ホームは最近、入所希望者が減少しているというニュースもあります。

住み慣れた自宅で訪問介護という選択もありますし、健康長寿の傾向があるので今後、このような老人ホーム自体が減少するのではないかと思います。

障害者支援施設

障害者支援施設とは、障害者の方に対し、夜間に「施設入所支援」を行うとともに、昼間に「生活介護」、「自立訓練」又は「就労移行支援」を行う施設のことをいいます。

施設からの距離

では以上で紹介した施設からどれだけの距離、離さなければならないのでしょうか?

今回は人口密度が高い大阪府と東京都を紹介しますと、実はこれらの施設から両都市とも100m離れていることが求められています。

ただし例外がありまして、知事が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めるものについては100m以上離れている必要はないということです。

例えばどのような場合かというと大阪府の場合

 地方公共団体が経営する墓地について、当該墓地の需要に応じてその区域を拡張しようとするとき。

 宗教法人が経営する墓地について、当該宗教法人の宗教法人法第三条に規定する境内地内において、当該墓地の需要に応じてその区域を拡張しようとするとき。

 共同墓地(府の区域内に存する市町村内の一定の区域に住所を有する者等の地縁に基づいて形成された団体により設置され、及び管理されている墓地をいう。)について、当該共同墓地の需要に応じてその区域を拡張しようとするとき。

 前三号に定めるもののほか、知事が特に必要があると認めるとき。

需要に応じて元々ある墓地を拡張する際に、100mラインにかかるというケースは概ね認められそうです。

このような場合、需要がどれだけあるのかという算定が必要でしょう。

自治体によってはこの100mという距離が200mという基準になっていることもありますので確認が必要です。

事前調査が重要

周辺施設に限らないですが、墓地の設置には事前調査が欠かせません。

設置ができると思い込み、他の段取りを進めてしまい後から無理であることが明らかになるという残念なケースもあります。

もし、疑問があれば墓地の担当窓口に住宅地図などを持参して相談することをお勧めします。

ちなみに100mの基準というのは概ねということですので、99mならどうなの?98mはダメ?

という微妙な判断も話を進める上で出てきます。

この点は様々な立地基準を総合的に判断されますので、基準を一つ一つ確認しながら懸念されるところを洗い出し、相談されるとよいでしょう。

制限ができる根拠とは

照会

行政が墓地の設置申請に対してこのような制限ができる根拠の一つとして、京都府から旧厚生省に照会をし回答を得た経緯があります。

○墓地、埋葬等に関する法律の疑義について

墓地、埋葬等に関する法律中の用語の解釈について

(昭和二九年六月一五日 九衛環第三七七五号)

(厚生省公衆衛生局環境衛生部環境衛生課長あて京都府衛生部長照会)

墓地、埋葬等に関する法律第一条中「公共の福祉の見地から云々」の用語がありますがこの用語は、具体的にはどのようなことを意味するものかその解釈に疑義がありますので、誠に御多忙中恐縮ながら至急御教示願いたく右照会します。

なお、本府において最近墓地申請地に近接した病院(結核患者収容)より患者に対する心理的悪影響による病状悪化があるとして反対の意向があるので、本件を「公共の福祉云々」に該当するものとして考慮すべきものと考えていますが、なおいささか疑問がありますので、本照会に及んだことを申し添えます。

回答

旧厚生省からは以下のような回答がありました。

墓地、埋葬等に関する法律の疑義について

(昭和二九年一○月七日 衛環第一○○号)

(京都府衛生部長あて厚生省公衆衛生局環境衛生部環境衛生課長回答)

昭和二十九年六月十五日九衛環第三、七七五号をもつて照会のあつた標記について、左記の通り回答する。

墓地、埋葬等に関する法律(以下「法」という。)第十条に規定する墓地の経営許可は、都道府県知事の自由裁量行為に属し、覊束される基準はないが、許可に際して法第一条の法の運用の趣旨に沿わなければならないことは当然である。ところで法第一条にいう「公共の福祉」とは、憲法その他の法令に基く法益の尊重は勿論、社会通念上妥当な人の生活権の保護育成をさすものといえよう。従つて、お尋ねの場合の如く結核患者収容の病院に近接して墓地を経営すれば患者に対して極めて悪影響を与えるおそれのあることが予想される場合においては、これを許可しないことも止むを得ない場合もある。

なお、これが運用にあたつては、行政指導においてこれが趣旨を充分徹底せしめ調整を図るようにされたい。

墓地経営許可について法的な基準はなく、各自治体ごとの裁量に任されているところがあります。

しかし、裁量があるから何でもよいということではなく墓地、埋葬等に関する法律1条の趣旨に照らしてどうかという判断になります。

患者を始めとする福祉施設利用者にとって精神衛生上、悪影響があることが明かであれば墓地の設置を許可しないことは認められそうです。

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