〔指定石材店制度〕民間霊園は自由に石材店を選べない!?

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指定石材店

墓地使用権を購入し後は墓石を建てるだけ

という状況で「知り合いの石材店にお願いしたい」と墓地管理者に申し出たところ「指定石材店があるのでそこで施工して下さい」と返答されました。

自由に石材店を選べないのはおかしい!?

これを指定石材店制度といいます。今回はこの制度について説明したいと思います。

制度の内容

墓地を購入する際、墓石を購入し建立することになります。

その墓地が民間霊園の場合は指定された業者(数社から十数社)から購入することになり、それ以外の業者では施工が認められないというものです。

このような制度が不合理だという批判があることは確かです。

目的

この制度の目的は石材店が過当競争に巻き込まれ石材店の経営不安定化を防ぐという趣旨があると考えられます。

墓石の場合は販売したら終わりではなくその後もメンテナンスが必要になります。

また墓地の管理にあたって石材店の協力がどうしても必要なことが出てくるので、見知らぬ業者が出入りすることに対する弊害も出てきます。

資格要件がある

民間霊園によっては指定石材店の資格要件を公表しているところもあります。

資格要件というのは販売実績や経営状態について数値化したものです。

先ほどふれた経営の不安定化を防ぐことで墓地の安定した経営が実現できるという考え方があります。

自由に石材店を選べないのは違法?

指定石材店制度に目的があるとはいえ、法律的に大丈夫なのでしょうか。

独占禁止法の「抱き合わせ販売」との関係

(定義)第2条

この法律において「事業者」とは、商業、工業、金融業その他の事業を行う者をいう。事業者の利益のためにする行為を行う役員、従業員、代理人その他の者は、次項又は第三章の規定の適用については、これを事業者とみなす。

(9)この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為をいう。

六 次のいずれかに該当する行為であつて、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するもの

ハ 不当に競争者の顧客を自己と取引するように誘引し、又は強制すること。

これまでに指定石材店制度を理由として同法同項違反で公正取引委員会に処分された例はありません。

指定石材店が1社しかないような場合は不公正な取引となる可能性がありますが、複数社指定されている以上は問題がなく、また指定石材店制度がない公営墓地が通常はありますので処分の基準を満たさないと考えられます。

消費者契約法10条との関係

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第10条   民法商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

消費者契約法10条では消費者の利益を一方的に害するものは無効とする定めがあります。墓地の販売者は宗教法人になりますが「事業者」ですので同法の規制を受けます。

指定石材店制度により、任意に石材店を選定できないことが「消費者の利益を一方的に害する」かという問題がありますが結論として契約は無効にならないと考えられます。

石材店が1社しか選べない場合や墓石が著しく高価になるといった事情がなければという話です。

まとめ

  • 指定石材店制度には一見すると不合理に見えるが実際は墓地の運営や経営安定のために大切な制度です。
  • 独占禁止法や消費者契約法に照らしても指定石材店が1社しかないという事情でなければ違法になることは考えにくい。