〔お墓の住民票〕横須賀市が開始 無縁防止に一役買うか?

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横須賀市がお墓の住民票を始める

横須賀市で「お墓の住民票」なるサービスが始まったというニュースが話題になっています。

 神奈川県横須賀市は十七日、市民が人生の最期に向けて準備する「終活」を支援するため、自分が入る墓の所在地を生前に登録する事業を五月一日から始めると発表した。
神奈川県横須賀市は17日、市民が人生の最期に向けて準備する「終活」を支援するため、自分が入る墓の所在地を生前に登録する事業を5月1日から始めると発表した。家族ら…

兼ねてから私の持論としてマイナンバーカード等にお墓の情報を入れておき無縁防止するという方法を以前どこかの記事で書いた覚えがあります。

お墓の場所を行政が把握するというのは、どのお寺にどの人が属しているかという情報にもなりえますので、ある意味では個人情報保護法上の要配慮個人情報として特別保護すべき対象となりえます。

それだけ管理上気を付けないといけない情報を敢えて預かる横須賀市の心意気には驚くばかりです。

しかし、このようなサービスは漂流遺骨の増加に歯止めをかけるという点で、いずれはどこかの行政機関が始めることになるだろうなと予想はしていました。

漂流遺骨については以前記事にしていますので、どういう現象なのか知りたい方はこちらも確認してみてください。

〔漂流遺骨〕孤独死による遺骨はどこへ 
遺骨を引き取ってくれる家族はいますか? 今、あなたが亡くなったら遺骨を供養してもらえる方はいますか? 不謹慎な質問ですが、他人ごとではないようです。 孤独死で亡くなった後に火葬、収骨までは自治体でしてもらるようですが、遺骨の埋蔵は親族に引き取りを求めることになります。 その遺...

このような行政サービスがより進化(深化)、改善を繰り返し利便性の高いものに昇華してくれるのを期待するところです。

この記事では横須賀市の取り組みを取り上げ、ブログ主の考えをお伝えしていきます。

「お墓の住民票」具体的な内容

お墓の住民票という言葉が先行していますが、終活支援の一環として行われるものということを押さえておきましょう。

具体的な内容については横須賀市のHPに記載されています。

まず、「終活情報登録伝達事業ー通称「わたしの終活登録」」という名称で市の一事業という位置づけになっています。

つまりお墓のことだけでなく、終活全般に関しエンディングノートの存在が明確でなくご遺族や遺族がいない場合の第三者が死後の対応で困らないようにするというのが事業の趣旨です。

近年、ご本人が倒れた場合や亡くなった場合に、せっかく書いておいた終活ノートの保管場所や、お墓の所在地さえ分からなくなる事態が起きています。

本市では、こうした”終活関連情報”を生前、ご登録いただき、万一の時、病院・消防・警察・福祉事務所や、本人が指定した方に開示し、本人の意思の実現を支援する事業を始めます。

安心した暮らしのために、多くの市民の方にご登録いただきたいと思います。

次に事業開始日は来月5月1日、登録できる人は希望する市民であればだれでも可能です。

しかも、すでに本人が意思を伝えられない場合で、本人の意思が明瞭だった時に、各登録項目の内容が分かる親族や友人の方なら、一部制限がありますが、登録を可能としている点。

例えば認知症などで意思伝達が困難な場合でも登録が制限付きで可能な点は画期的でしょう。

登録できる内容とは

本人の意思で、追加・削除も含め自由に選択できるようですが以下の通りです。

(1)本人の氏名、本籍、住所、生年月日

(2)緊急連絡先

(3)支援事業所等

(4)かかりつけ医師やアレルギー等

(5)リビングウィルの保管場所・預け先

(6)エンディングノートの保管場所・預け先

(7)臓器提供意思

(8)葬儀や遺品整理の生前契約先

(9)遺言書の保管場所と、その場所を開示する対象者の指定

(10)墓の所在地

(11)本人の自由登録事項

登録の開示

登録する際、各項目について、予め開示の同意をする必要があるということですが、開示するパターンにには以下の2通りが考えられます。まずは生前開示する場合。

生前、当事者が認知症や意識障害などを契機に、登録内容を伝えられなくなったと確認できた場合は、医療機関、消防署、警察署、福祉事務所、および本人が指定した者からの照会に対して、3の(9)と3の(10)を除く登録情報を開示

遺言の保管場所とお墓の場所以外は公共機関への登録内容を開示することになります。

まだ生きている段階で遺言の保管先とお墓のことは周りが知る必要がありませんし、意識障害については回復する可能性もあります。

死後開示についても遺言については本人の意思を尊重される制度となっています。

一方でお墓に関しては全ての第三者に開示されることになり、このことで行き場を失った遺骨が減少することが期待されます。

1、遺言書の保管先

登録情報のうち、3の(9)遺言書の保管先については、本人の死後、本人が指定した者に対してのみ開示します。

2、墓の所在地

登録情報のうち、3の(10)お墓の所在地については、本人の死後、納骨、墓参希望の全ての第三者に開示します。

漂流遺骨が行政の負担になっているという背景

例えば孤独死をしたり身元が分からないような遺骨について親族や引き受ける方がいない場合は、行政が責任を持たざるを得ないという事情があります。

遺骨を引き受けてもらえる親族を行政が探すわけですが、調査するだけでも人件費をはじめとする費用がかかります。

これは市民の税金で賄われることを考えれば、早い段階で納骨先を把握できれば合理的です。

また、親族が判明しても受け入れをするとは限りません。

親族であることを認めつつも、納骨できる場所を確保できない、心情的に難しいなどの理由で結局は行政側が納骨の対応をすることになります。

そうなれば合祀墓などの確保が必要になりそのための費用がかかります。

一方で、漂流遺骨の中でも既に墓地や納骨堂を購入しているケースがあります。

そのような場合は生前本人が希望している墓地に納骨するというのが筋です。

孤独死でも身元が分からないわけでもないが、生前にお墓のことを家族に話していない場合でもお墓の場所を登録しておくことで、墓地を買っていたのに死後、親族が別に納骨堂を買ってしまったというミスマッチが防げるかもしれません。

ミスマッチで納骨されなかったお墓は無縁墳墓化します。

そういったお墓を減らし、本来利用すべき方がその墓地を使える。

つまり、墓地不足も解消できる可能性もあります。

そのような意味でこの制度はより広まって欲しいと考えてます。

このサービスで気になる点も指摘しておくと…

新たな試みには少なからず至らないところもあるかもしれません。

私が気になった3つのことを挙げさせていただきます。

登録に墓地使用権者や管理者の承諾を得ているか

情報としてお墓の場所を登録しても必ずそのお墓に納骨されるとは限りません。

最終的に納骨できるかどうかの判断は墓地使用権者です。

もし故人が使用権者であれば当然、墓地に納骨されるわけですがそうではない場合、生前に入れると思っていたお墓が実は親族は納骨させたくないということもありえます。

次に、寺院墓地であった場合は住職さんへ話が通っているかというところです。

「本人が亡くなったので納骨して欲しい」というのは話が違うということもあります。

本来であれば亡くなったら葬式をするところから対応したいというお寺さんは多いでしょう。

しかも、納骨の申し出が親族ではなく第三者からということになれば困惑することもあります。

この辺りは制度が浸透していけば理解が得られる話なのかもしれません。

希望する全ての人に開示は大丈夫なのか?

故人の墓所を知りたいと希望する全ての人に開示するというのは本当に問題がないのかという心配があります。

故人にとっては墓参をしても差し支えないという意思表示かと思われますが、その家族が受け入れられるかどうかということになります。

例えば、お盆やお彼岸に合わせて親族以外の親友や元同僚などが登録情報の開示を受けて墓参に行くなどし、親族が想定していない事態が生じないか。

また、寺院墓地であったときに寺院側が困惑しないかなど。

お墓の情報について本人は生前、自由に削除、登録ができますが親族にはその権限がないようなのでいつまでその情報が残るのか、不安になるところはあるのではないでしょうか。

改葬申請情報と連携ができるか?

次に納骨後別の墓地や区画へ改葬するということがあります。

通常、改葬申請というのは書面で行うものですが、この改葬情報は終活の登録情報に反映させるのか。

あくまで終活に関する情報なので連携させないのか。という課題があります。

例えば登録情報通りに納骨はしたが、短期間で別の墓地に改葬した場合など。

少なくとも親族から情報削除や登録ができるのか分からないので改葬した場合は登録情報そのものは過去のものになります。

まとめ

いろいろ問題点も上げましたが、数ある行政サービスの中で有意義なものだということはお伝えしておきます。

市の事業というのは玉石混合で時として全く無駄と言わざるを得ないものもあるわけですが、横須賀市の事業は終活そのものに対して変革を起こしそうな予感がしています。

一つのリーディングケースとして今後も見守り、より改善、充実をして国としても一元管理をできる仕組みに繋がれば日本の墓不足や漂流遺骨の問題が緩和するのではないかと期待してます。

日本の国土は限られていますので土地を有効活用できるよう納骨場所のミスマッチをなくしていければいいのではないでしょうか。

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