納骨堂の一時預かりと無許可営業の境目は? 摘発事例から考える

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一時預かりでも許可が必要な場合がある?

多くの寺院で経験があるであろうご遺骨の一時預かり

墓地や納骨堂に納骨するまでの間の数日間から数週間、善意で預かり供養される寺院は多いのではないでしょうか?

預かる際に檀信徒さんからお布施を受領し、納骨堂利用料の対価と混同されることもあり非常にグレーなところになります。

最近の納骨堂の形態は多様化しており、納骨堂専用の建物を一から作る場合や、既に存在する境内建物内の一部に納骨堂を設置するケース、石塔の内部に収蔵するタイプなどがあります。

特に既存の境内建物の一部に納骨堂を設置する場合は、納骨堂経営のハードルが一気に下がり納骨壇を購入すれば思いの他すぐに始められることになります。

ただ、どのような形態であっても墓地、埋葬等に関する法律10条による許可を取得しないと無許可営業となります。

では、何体?どのような期間?預かれば問題がないのかをこの記事では考えていきます。

厚生省の通知から

まず納骨堂について法律上の定義としては何度も紹介しているのですが「他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設」のことを言います。

しかしこれだけでは一時預かりされている寺院にとっては許可はいるのか?

という話になりますので厚生省から墓地、埋葬等に関する法律施行後に補足しています。

墓地、埋葬等に関する法律の施行に関する件(一部抜粋)

昭和23.9.13厚生省発衛第9号  事務次官から各都道府県知事あて通知

2 納骨堂の定義

納骨堂とは本法(墓地、埋葬等に関する法律)第2条に規定するところのものであるが、単に、墳墓へ埋蔵する以前における一時的な措置として、寺院等の一隅に、焼骨を安置する等のごときは納骨堂として別段の許可を必要としないこと、但し、焼骨の収蔵が一時的なものであっても、これを継続的に反復して行うものは納骨堂として本法の適用を受ける

特に赤字にしていますが「継続」「反復」しているかというところが重要なところと言えます。

そこで使用料やお布施などの受け取りが影響するのか特に書かれていないのですが、金銭の受け取りは補完する要素の1つであって、それ以前に「継続」「反復」しているかが判断の分けれ目になりそうです。

送検されるかは別の話 許可取得が無難

寺院の中でも納骨堂の経営許可を取得せずに「継続」「反復」して焼骨を預かるところはあると考えられます。

例えば檀信徒さんが偶然にも立て続けに亡くなられ複数体の焼骨を同時に、または反復して預かる必要性が出てくる場合があります。

「継続」「反復」しているから許可を取るような指導であったり、摘発するようなことは実際に少ないというのが現状です。

よほど悪質であることや告発されたりというのが発覚の入り口であると考えられます。

悪質性の判断としては料金を受け取っているかも当然加味されるでしょう。

堂々と納骨堂としてHPや看板で募集をかけたいというような場合は墓地、埋葬等に関する法律10条による許可取得が最も無難で安全な方法です。

要はグレーな運営をしている又はこれからしようとするのであれば時間は少しかかっても許可取得に向けて要件を満たしていく行動が必要です。

結局曖昧ではありますが「継続」「反復」というこの2つの要素があれば法律の適用を受けますので注意が必要です。

墓地で一時預かりというのは基本的にないので、この点は墓地と納骨堂で違う部分です。

一度、摘発を受けてニュースになってしまうと寺院として信頼は地に落ちてしまします。

ここからは実際に摘発を受けた高槻市の寺院を取り上げます。

納骨堂の無許可経営事例が発覚

許可を得ずに納骨堂を経営したとして高槻署は16日、墓地埋葬法違反の疑いで、宗教法人「延命山地蔵寺」(山形県庄内町)代表の男性住職(76)=同市=を書類送検したという記事があります。

許可を得ず大阪府高槻市の寺院で納骨堂を経営したとして、高槻署は16日、墓地埋葬法違反の疑いで、宗教法人「延命山地蔵寺」(山形県庄内町)代表の男性住職(76)=同…

具体的な容疑ですが

送検容疑は平成24年12月~今年9月、高槻市塚脇にある延命山地蔵寺の別院に納骨堂を設置し、市の許可を得ずに男女計3人から遺骨を預かって、計90万円を受け取ったとしている。

とあります。

昨今、「墓地、埋葬等に関する法律」違反が表に出る事例というのはあまり耳にすることがありません。

それだけ、罰則が軽かったり摘発が難しいということがあるのではないかと考えられます。

許可を得ずに納骨堂経営を行ったということが問題になっています。

恐らくまだ把握されていない違反事例や把握はされているものの重大なものと認識されず摘発には至っていない事例も他にあるのではないでしょうか。

いずれにしても延命山地蔵寺の違反事例は氷山の一角と考えられます。

今回は何故、墓地、埋葬等に関する法律違反となったのか解説しこの違反事例から考えることを記事にしていきます。

墓地、埋葬等に関する法律のどこに違反したのか?

墓地、埋葬等に関する法律に違反したということですが具体的にどのような条文に違反しているのか確認してきましょう。

納骨堂の定義とは

そもそも納骨堂とはどのような施設を指すのか押さえておかなければなりません。

この法律で「納骨堂」とは

①他人の委託をうけて

②焼骨を収蔵するために

③納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設

この3要素が墓地、埋葬等に関する法律第2条に定義されています。

このことから①と②に当てはまる場合は③の許可を得なければならないということになります。

「他人の委託」という意味ですが例えば身内の親族の遺骨を安置する場合は問題はないと考えられます。

寺院であれば檀信徒の方から委託を受ければこれは「他人の委託」と言えます。

次に「焼骨を収蔵」するということは、一言で言えば一体ごとに安置するということになります。

そしてこれらを行うために料金を受け取るか受け取らないかは関係はありません。

経営許可を受けなければならないとする根拠

①他人の委託をうけて②焼骨を収蔵

する施設であればこれは納骨堂として経営許可を取得しなければなりません。

その根拠は以下の条文によるものです。

墓地、埋葬等に関する法律

第十条 墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。

納骨堂として経営していく場合は、都道府県知事から許可を受けるということになっています。

現在は許可権者は市町に権限移譲されており、一部の村を除いては都道府県知事は許可を出しません。

今回は高槻市長から許可を得る必要があったものを得ていないかったということになります。

許可を受けずに経営するとどうなる?

では許可を得ずに納骨堂を経営するとどのような罰則があるのでしょうか?

墓地、埋葬等に関する法律

第二十条 左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。
一 第十条の規定に違反した者

確認いただくと分かるように明らかに罰則が軽いと言えます。

しかし、このような罰則が無秩序な墓地、納骨堂の乱立に歯止めをかけているという部分もありますが、無許可経営の抑止力になっているのかは疑問です。

この事例は、納骨堂を設置して3人から遺骨を反復・継続して預かって計90万円を受け取ったということですから、収蔵を目的とした施設を運営していたことは容易に想像ができます。

これが仮に遺骨を預かっても料金を受け取らなければよいのかというとそうではありません。

この場合も明らかに納骨堂という形で施設があり、遺骨の受け入れをすれば墓地、埋葬等に関する法律違反になる可能性があります。

延命山地蔵寺の事例から考えること

最初は墓地、埋葬等に関する法律違反をするつもりではなかったが、檀信徒からの要望で遺骨を受け入れていく中で一線を越えてしまった事例なのかなと想像します。

知らぬうちに一線を越えている宗教法人は他にも存在するのかもしれません。

墓地行政当局もこのような事例に対する情報収集が十分でなかったり、違法納骨堂というものがあるという知識が檀信徒(消費者)側にないために問題になっていないこともあるでしょう。

これから納骨堂を選ばれる方はこのようなトラブルに巻き込まれないように自衛することも考えないといけないかもしれません。

墓地よりも納骨堂が安価で便利な点が評価され納骨堂が増えていく中で、このような問題も必然的に今後は表に出てくることが考えられます。

無許可経営という疑念を持たれないようにどうすればよいか

それぞれの宗教法人が考えていかない時代が来ているのではないでしょうか。

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