〔遺骨の所有権〕祖廟の遺骨引き渡し訴訟から遺骨の所有権を考える

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大谷派前門首四男が敗訴 祖廟の遺骨引き渡し訴訟

先週ですが真宗大谷派の前門主四男が歴代門主の遺骨の引き渡しを巡って訴訟があったのですが棄却されました。

真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の故大谷光暢前門首(法主)の四男で大谷派を離れた光道氏(72)が、大谷祖廟(同市東山区)に埋葬された歴代門首らの遺骨を…

私自身、この記事で初めて訴訟について知りました。

これまでに、真宗大谷派はお東さん騒動と呼ばれる後継者問題を抱えていまして…中身については詳しくは理解していないのですが、この訴訟もその一環と見ていいのでしょうか。

宗派の本山がこのような争いをすることが、よいことなのかは置いておいて、今回は遺骨の所有権を考える記事を書いていきます。

棄却の理由

裁判の結果については以下の通りです。

真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)の故大谷光暢前門首(法主)の四男で大谷派を離れた光道氏(72)が、大谷祖廟(同市東山区)に埋葬された歴代門首らの遺骨を含む土を引き渡すよう同派に求めた訴訟の判決で、京都地裁は7日、訴えを棄却した。

光道氏は光暢前門首の遺言書で祭祀(さいし)継承者と指名され、遺骨の所有権を得たと主張していたが、牧賢二裁判長は、墓の管理は宗教上の『法主』という立場でなされているとして「大谷家の当主だった光暢氏が遺骨を所有していたとはいえない」と結論付けた。(記事全文抜粋)

この判決ですが、個人的には少し理解しにくいと感じるところがあります。

遺骨の所有者は誰のものか?

まず、一般的に先祖代々の遺骨は誰のものか?という話になると祭祀承継者ということになります。

(祭祀に関する権利の承継)第897条

1.系譜、祭具及び墳墓の所有権は、前条の規定にかかわらず、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する

祭祀承継者について通常は慣習に従うが、被相続人が指定すればその者が承継することになります。

この場合、「光道氏は光暢前門首の遺言書で祭祀(さいし)継承者と指名され、」とあるので、これが事実であれば、光道氏が祭祀承継者であり遺骨の所有者であると言えます。

そこで、裁判所は墓の管理が法主の立場でなされていることを考慮しているのですが、墓の管理者には遺骨の所有権が何故あるのかがよく分かりません。

ただ、このように代々永く続いている歴代門首の遺骨は一般の方と異なり、宗教上の意味合いが濃いものとなります。

その性質を突き詰めていけば宗教法人が持つべき財産の1つとして位置づけることができるかもしれません。

そのため、法主に所有権を認めるこの判決は歴代門主の遺骨に一定の価値を見出したものと見るべきでしょう。

この裁判は今後、敗訴した側が控訴するのかまだ分かりませんが、非常に特殊な事例だと思います。

最終的にどのような結果となるのか、要注目です。