〔宗教法人売買〕何のためにするのか?単立法人が狙われるわけとは

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宗教法人が売られている

宗教法人の売買について耳にしたことはありますでしょうか?

検索サイトで「宗教法人 売買」と打てば宗教法人を売買仲介するサイトが出てきます。

実際に宗教法人を売買するとはどういう意味なのか?

今回はこのことをテーマにしたいと思います。

お断り

宗教法人売買に関する当ブログの考え方についてお断りしておきます。

まず税金逃れのための売買は反対です。

宗教法人を悪用する目的での売買は本来の目的から逸脱しており宗教を冒涜していると捉えられかねません。

この記事はあくまで売買という事実をどのように捉えるかを主眼にしています。

一方で、宗教法人の檀信徒を救うためであったり、墓地使用者を守るためなど利益追求を目的としないものであればやむを得ないものと考えています。

法人格を売るという行為は存在しない

地位の変動のこと

まず気を付けたいのが買うという行為について。

株式会社のように株式を購入して支配権を取得、完全子会社にしたり合併させたりといった資本主義的な方法ではありません。

厳密には宗教法人の代表役員や責任役員の地位を交代するということになります。

宗教法人法
(代表役員及び責任役員)
第18条   宗教法人には、三人以上の責任役員を置き、そのうち一人を代表役員とする
 代表役員は、規則に別段の定がなければ、責任役員の互選によつて定める。
 代表役員は、宗教法人を代表し、その事務を総理する。

どの宗教法人にも最低3名は責任役員がおり、その中で1名は代表役員となります。

株式会社の取締役会と少し似ています。

ちなみに宗教法人法では責任役員という機関はありません。

しかし宗教法人として何かしら意思決定する場合は責任役員会議を行うことになります。

よってこれらの地位を金銭の譲渡と引き換えに地位を譲るというのは現実として可能です。

更に禁止する法律もありません。

これを俗に宗教法人売買と呼ばれているのではないでしょうか。

行政は把握している

しかし代表役員が交代するとその旨法務局に登記申請し、所轄庁に届出を行う必要があります。

また年に1回の事務所備付書類写しを都道府県知事に提出する際に責任役員名簿をつけないといけないので行政サイドも人事上の異動は把握することになります。

行政もこれらの人事異動は把握していても一人一人の代表役員について審査するということは難しいでしょう。

よほど不自然な退任・就任でないと指摘でないのが現実化と思います。

しかしこのような売買が社会問題化した場合は何らかの規制ができるかもしれません。

単立宗教法人でないと難しい

宗教法人には3種類あります。

この3種類の中で売買の対象とされるのは単立宗教法人です。

包括宗教法人

文字通り複数の宗教法人を包括、取りまとめている宗教法人になります。

例えば○○宗〇○派といった宗派のことです。

そのため被包括宗教法人に対して人事権をコントロールされているケースが多いです。

例として、代表役員は宗派が認めた住職をもって充てるといったものになります。

その為、僧籍を持たない方は代表役員になれない場合が多いです。

被包括宗教法人

包括宗教法人に属している宗教法人のことをいいます。

多くは私たちの身近にある寺院や神社、教会などです。

包括宗教法人から人事権の関与を受けるケースが多いです。

そのため自由に宗教法人を売買するということはできません。

単立宗教法人

何れの宗派の包括関係がなく単独で存在する宗教法人です。

役員の人事権は独自に持っているため売買の対象になっています。

元々はどこかの宗派に属していて包括関係を解消しているケースが多く、逆に単立から被包括宗教法人になるケースもあります。

その場合は所轄庁の認証を得る必要があります。

単立であっても教義上は特定の宗派の考え方を持っているところもあります。

売買の目的は?

売買ということは買う側にも売る側にもメリットがないと成立しません。

どのような動機があって買い、売るのでしょうか。

買い手の目的

自己の宗教的思想と近い宗教法人であれば代表者となって布教活動をしたいというニーズがあります。

他には墓地・納骨堂を経営したいという方が宗教法人を利用するケースがあります。

それは墓地や納骨堂の経営主体は原則として地方公共団体となるわけですが、それ以外になると宗教法人か公益法人しか認められていないからです。

売り手の目的

宗教法人売買には数百万~数千万の資金が動きます。

単立か被包括か、境内地・境内建物を持っているか、檀信徒の人数、負債状況など総合的に勘案されるようです。

運営が逼迫していてやむを得なく売るということもあります。

また世代交代がうまくいかなかった、布教活動に限界を感じるなど売る側には厳しい状況が背景にあります。

必要悪という側面も

世代交代がうまくいかず宗教法人の担い手がいない場合で墓地や納骨堂を運営していた場合、誰かに託す方がまだよいという考え方もあります。

特に墓地・納骨堂を運営している場合や檀信徒が少なくても存在する場合、放置することで多大な迷惑をかけてしまいます。

混乱を最小限にすることを目的にする必要がある場合はやむを得ない選択になるかもしれません。

とはいえ宗教的アイデンティティの維持は絶対条件です。

宗教法人の目的を短期間で大幅に変えることは難しい面があり、設立当初の考え方はある程度維持することになります。

宗教法人数は減少傾向

実際に宗教法人を新規で立ち上げることはよほど活動実績がない限り難しいでしょう。

一般的に行政庁によって3年間活動実績をみられるため少なくとも3年は見ておく必要があります。

このような背景から、日本における宗教法人数は年々減少していることが挙げられます。

減少している原因は、宗教法人同士の合併、解散などがありますが一番は新規での宗教法人認証が極端に少ないことです。

今後も減少傾向は続くでしょう。

更に、日本では宗教活動そのものは宗教法人でなくてもできます。

海外の一部の国では宗教法人化若しくは国からの認定や許可を得ないと宗教活動そのものができないというケースもあります。

そのため敢えて宗教法人にしなくてもよいという考え方もあるでしょう。

しかし、その場合は法人として財産を持てず宗教団体代表者個人の財産として扱われるなどの不都合はあります。

法人化することのメリットについては以下の記事を読んでみてください

〔宗教法人化〕宗教団体から宗教法人にすることのメリットとは
宗教法人と宗教団体 皆さんの周りにある寺院や教会は殆どが宗教法人です。 意外と初耳な話だと思いますが、表札では「○○寺」と出ていて宗教法人かどうかは外見上分からないことがあります。 しかし実際は宗教法人です。宗教法人の場合、寺院名を名乗る際に宗教法人を付けることは義務とされてい...

まとめ

  • 宗教法人売買というのは厳密には役員の地位譲渡であること。
  • 単立宗教法人が売買の対象となり買い手、売り手ともに思惑がある。
  • 資金難、世代交代がうまくいかなかったことが背景にある。