〔送骨〕インターネット募集で納骨堂が不許可になる?

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送骨のインターネット募集で納骨堂が不許可になった

全国からの送骨を受け入れし納骨堂に収蔵する寺院が増えています。

背景として遺骨の取り扱いに困る方が稀にですが遺棄してしまい事件になることもありました。

安価で、顔を合わせることなく、供養してもらえるというサービスが人々に受け入れられています。

これは、お墓を持たず菩提寺もないという場合で遺骨を埋蔵する場所がないという問題を解決してくれます。

遺骨はゆうパックで送ることになりますがこのような取扱いに抵抗がない方(抵抗があっても受け入れられる方)は便利です。

この送骨募集をインターネットで行い収蔵することを目的に寺院が納骨堂の経営許可を取得しようとするケースがあります。

しかし、このような募集方法は不許可になってしまう事例があります。何故か?

今回は納骨堂の受け入れ募集について考えます。

納骨堂運営には経営許可を取得する必要がある

納骨堂は墓地と同じく経営許可を取得しなければ運営できないことになっています。

納骨堂の場合も墓地と同じく、原則は地方公共団体ですが、それにより難い場合は宗教法人や公益法人も許可の取得ができます。

そして、この納骨堂に収蔵する希望者を募り使用権を設定し、一定の料金を受けることで寺院の貴重な収入になります。

経営許可申請時に当然ながらどのような使用者を想定しているのか、檀信徒を対象にするのか、公募型にするのかなど審査する側は詳しく聴取します。

その中で、インターネットで公募し低価格で宗旨宗派問わず、全国から送骨を受け入れ、遺骨を収蔵すことを売り文句に使用者を募るということで許可を取得しようとした宗教法人が不許可処分を受けたという事例があります。

それに対する訴訟も宗教法人側が敗訴したという事件に至りました。

(高松高判平26・30・20判例自治390・75)

不許可事由と敗訴理由について詳しくは次で解説します。




敗訴した理由

敗訴した主な理由は2つあります。

この判断はまだ高松高裁の判例です。私見ですが最高裁判所でも同様の判断が下されると考えます。

商業主義なところ

納骨堂は公益事業です。

公益と対極にある営利的な運営は墓地、埋葬等に関する法律の目的に反する部分があり一般的に認められません。

ではこの事例では、どのような点が営利的だったのでしょうか?

インターネットを通じて全国から利用者を募集
低価格を売りにしているところ
宗旨宗派問わないところ
遺骨を住職と面談せずに預けられる気軽さ

主にこのような4点で商業主義的な印象と判断されてしまいました。

寺院が納骨堂で収益を上げてはいけないということではありません。

寺院の主な役割は布教活動にあるため、商業的な募集というのは公益性に反する部分があるということです。

宗教感情に合致しない

次に、地域の宗教感情に適合しないという理由です。

受け入れ可能数を明示していなかったこともあり、無制限に遺骨を収蔵しようとした可能性があること。寺院とは何の縁もない方の遺骨を預かるということは、周辺寺院の納骨堂運営と照らしても解離しているところです。

更に、全国から送骨を受け入れる形態の納骨堂がまだまだ一般的ではないことあります。

このような理由で納骨堂経営を不許可にした行政の対応に合理性を欠くということがいえないという判断になりました。

NPO法人による送骨サービス

送骨に関する最近の記事を見ていますとNPO法人が送骨サービスをしているところが増えているようです。

先ほどの不許可事例は送骨と収蔵を宗教法人が全て行うというパターンですが

送骨サービス・埋蔵・収蔵=NPO法人
埋蔵・収蔵受入れ=宗教法人

役割分担をしているところもあります。

このようにすることで、宗教法人が商業的と見られる可能性は低くなりそうです。

一方で、遺骨の管理や埋蔵に困っている方を助けるという、行政の手が届かない部分を行っている目的があるのでNPO法人の業務としても送骨サービスは馴染みます。

NPOとはいったい何でしょう…。会った人にときどきNPOのことを尋ねてみることがあります。全く知らないという人…

但し、NPO法人でも低価格を売りにするような募集は難しいでしょう。

NPO法人「終の棲家なき遺骨を救う会」のHPを確認すると表示価格は非常に安いのですが、その安さは売りにしていません。インターネットでの募集ですが節度を持ったものといえます。

安さを売りにすること

これまでで一番言いたいことは、安さを売りにした時点で信仰でなくなるということです。

お金のあるなしに関わらず救いを求めた人を受け入れるのが宗教のはずです。そして、その救いはインターネットやゆうパックで求められるものでしょうか?

寺院の場合は住職さんが対面して窮状を聞いてから対応するというのが重要な事のように思います。

全ての申し込みに対して住職が対面する必要はなくても、ある程度使用者を限定するということはあっていいでしょう。檀家さんだけ、公募型でも一定地域に住んでいる方だけ、女性専用など。

その寺院ごとの考え方、教義、歴史など様々なことを考慮しながら運営をするスタンスであれば不許可にも訴訟にもならなかったケースかもしれません。