〔宗旨宗派不問って?〕墓地使用管理規則との関係

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「宗旨宗派を問わない」は誤解がある?

新聞やネットでもいいのですが、霊園や納骨堂の広告を見てみると「宗旨宗派問いません」や「宗派不問」という文言が踊っています。

宗旨宗派とは、仏教でいえば真言宗、浄土宗、法家宗、黄檗宗などに分類されるものです。キリスト教で言えばカトリックとプロテスタントの分類です。宗派とは浄土宗で言えば知恩院派や西山派のように更に枝分かれしてしたものです。

この業界に従事されている方は、宗旨宗派不問の仕組みは良くご存知だと思います。

しかし消費者はよく分かりません。なので、一般的に誤認が生じている場合があるのではないでしょうか。

この宗旨宗派不問の考え方として一番、シンプルな解説がエンディングパークさんの記事です。

お墓を探していて、霊園や石材店のチラシやホームページなどで、「宗旨・宗派不問」「宗教自由」という文言を見かけられたことはないですか?一体、どんな意味なのでしょうか?寺院墓地の「宗旨・宗派不問」には、2通りの解釈があります以前の宗旨・宗派は問わない納骨するまでの(=以前の)宗旨・宗派は問わないが、納骨後は、そのお寺の宗派...

宗旨宗派問わないとする意味は、実は解釈そのものが2通りあり、公営墓地か民間墓地かでもその捉え方が変わってくるのではないかと思われます。

更に、寺院墓地の場合もその定義がいくつかに分かれているという考え方もあり、樹木葬辞典さんのページが参考になります。

樹木葬ができる所を探そう、自分のためのお墓を購入しよう、そう思ったとき、折込チラシやインターネット検索をすると、樹木葬の価格やエリアの他に「宗旨宗派不問」といった文字を大々的に打ち出しているところを目にすることがあると思います。宗旨宗派不問、これはいったいどういうことなのでしょうか。こちらについて見ていきましょう。

今回はこの宗旨宗派不問という定義を考えて、誤解をなくすためにどのようなことをすべきかを考えます。

宗旨宗派不問の中身とは

分類してみました

まず、宗旨宗派不問という言葉がいろいろな方向に独り歩きしている理由は恐らく、墓地購入者にとって一気に敷居が低くなる魔法の言葉だからです。

特に寺院境内墓地になると、限られた檀家さんしか使用できないという印象がありますが、これが誰でも使用できるとなると魅力的に感じるはずです。

そこで、この宗旨宗派不問の類型についてどのようなものがあるのかまとめてみます。

購入前と購入後、公営墓地、民間霊園、寺院境内墓地の3つに分類しました。

購入前 購入後 制限内容

公営墓地 不問 不問 購入前後、全く制限なし
民間霊園 不問 不問 購入前後、全く制限なし
不問 制限 経営者の宗派に従う
寺院墓地 不問 制限 経営者の宗派に従う
不問 制限 檀家になる必要あり
制限 在来仏教のみ購入可

※この類型は当ブログ独自の見解です

実はこの6つは全て宗旨宗派不問ということで墓地が売り出されています。

この6つというのもざっくりとした分類で実際はもっと細分化されるかもしれません。宗旨宗派の意味がそれぞれの墓地経営者によって見解が異なるということです。

寺院境内墓地の場合は特に誤解しやすい部分があるのではないでしょうか。

分類から見えてくるもの

先ほどの類型からは分かるのは、宗旨宗派不問という言葉の広さです。

例えば①の公営墓地のように購入前後、誰でもどのような方式でも可能という墓地もあれば⑥の寺院境内墓地のように購入資格は在来仏教の信仰者で、購入後は特定の宗派に制限されるといった場合も総じて宗旨宗派不問ということで使われています。

購入後の制限については寺院墓地や宗教法人が運営する霊園ではその宗派に従う必要があるということ。そして制限によっては檀家にならないといけないというものもあります。


トラブルが起こりやすい部分

では、宗旨宗派不問で一番問題が起こりやすい部分はどこかというと、購入後に、経営者の典礼方式に縛られるか縛られないかというところになります。

神道信者が宗旨宗派不問という触れ込みで寺院境内墓地を購入し、神式での納骨式を求めそれを寺院側が拒否したことによる民事訴訟(債務不履行による損害賠償訴訟)が提起された事例があります。

これは購入者側が購入後も寺院の典礼方式に縛られず、神式でも納骨式ができると誤認したことが問題となっています。

ただ、もう一つの問題として寺院側が購入後は典礼方式に制限があることを予め説明していなかったり、そのような墓地使用管理規則を定めていなかったということも大きいでしょう。

書類がないことで言った言わないの問題になりやすい問題といえます。

宗旨宗派不問のトラブルを極力減らすための方法

先ほども言いましたが、墓地使用管理規則を墓地経営を開始する前に総代さんの了解のもとに作成しておくということです。

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当ブログではこれまでに墓地使用管理規則を定める重要性を説明してきました。

特にこの事例で定めるべきことは

寺院には典礼権があること
墓地使用者は寺院の典礼法式に従うこと
従わなかった場合は最悪、墓地使用権が消滅すること

このようなことを入れておくことで、宗旨宗派不問の解釈をめぐる問題は起こりにくくなるでしょう。

後は墓地購入時の説明と契約書を作っておくことです。また広告を作成する場合は宗旨宗派不問の解釈を明記しておくことも重要です。

昨今、檀家という概念が薄れてく傾向が感じられます。

墓地使用権者の信仰とその子や孫が今後も同じ信仰であり続けるということは考えにくい時代だからこそ、規則を置くということで問題を防止することができます。

墓地使用権と寺院の典礼権という二つの権利が両立したときに、本当の意味で墓地の価値が生まれるということです。