〔墓地の抵当権設定〕財産処分に当たる?

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墓地に抵当権設定

宗教法人に限らず墓地の許認可を取得する際、土地に抵当権が設定されてないことが条件とされているところが殆どです。

抵当権が設定されていると許可が取得できない理由は、抵当が実行されると競売にかかり土地の所有権が他者に移ることが懸念されるためです。

他者に移ることで、新たな所有者が墓地の使用ができなくなるような対応をすることがあり、運営上好ましくない事態になることがあります。

墓地経営許可を取得した後も墓地に抵当権を設定することは避けるべきことですが、金融機関から借り入れを行う場合に、抵当権の設定を求められる場合があります。

普通に考えれば墓地となっている土地に対して担保価値を見出すことはできません。

しかし、実際に金融機関に限らず債権者から求められた場合、どのような対処が必要なのでしょうか。

抵当権についての分かりやすい説明は以下のサイトを参考にして下さい。

抵当権とは、住宅ローンなど銀行やあるいは他人からお金を借りる時に、住宅や土地などの不動産に設定する担保権のことです。もし返済できなかった場合、抵当権を実行してお金を回収します。質屋からお金を借りる事をイメージすると、抵当権についてイメージしやすくなります。ここでは抵当権のシステムについて、図解をしながらどこよりも、わか...

写真はイメージです

抵当権の設定は財産処分になる

宗教法人においては所有する土地に抵当権を設定する場合、宗教法人法や宗教法人規則に則った手続きが必要になります。

宗教法人法23条では以下のように財産処分には公告が必要であることを明記しています。

宗教法人法(財産処分等の公告)
第二十三条  宗教法人(宗教団体を包括する宗教法人を除く。)は、左に掲げる行為をしようとするときは、規則で定めるところ(規則に別段の定がないときは、第十九条の規定)による外、その行為の少くとも一月前に、信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示してその旨を公告しなければならない。但し、第三号から第五号までに掲げる行為が緊急の必要に基くものであり、又は軽微のものである場合及び第五号に掲げる行為が一時の期間に係るものである場合は、この限りでない。
 不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、又は担保に供すること。
 借入(当該会計年度内の収入で償還する一時の借入を除く。)又は保証をすること。
 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替をすること。
 境内地の著しい模様替をすること。
 主要な境内建物の用途若しくは境内地の用途を変更し、又はこれらを当該宗教法人の第二条に規定する目的以外の目的のために供すること。

抵当権を設定することは、この条文では不動産を担保に供することに該当するので公告が必要です。

公告する場合は宗教法人の主たる事務所にある掲示板などで、その旨を告知するといった方法があります。

公告方法については株式会社同様、登記事項になりますが殆どが事務所で行っています。

このような公告手続きを定めているのは代表役員の独断による財産処分を防止することにあります。

公告すると檀信徒にも周知されるわけですから、その是非を関係者同士で協議する機会が生まれます。

では公告をしなかった場合。どうなるのでしょうか?


公告手続きを怠った場合

宗教法人法23条が定める公告手続きを経なかった場合、24条に取引が無効になる旨定められています。

(行為の無効)
第二十四条  宗教法人の境内建物若しくは境内地である不動産又は財産目録に掲げる宝物について、前条の規定に違反してした行為は、無効とする。但し、善意の相手方又は第三者に対しては、その無効をもつて対抗することができない

ただこの公告懈怠について善意であれば抵当権設定は有効となってしまいます。

因みに相手方や第三者が重過失の場合は無効となります。

以上から、宗教法人に貸し付けをし抵当権を設定してもらう場合はこのような手続きがなされているかよく確認しなければなりません。

抵当に入れるのは宜しくないです

ここまでの話で宗教法人の財産処分は簡単なことではありません。

公告手続き以外にも規則によっては総代会の同意を要したり、包括宗教法人の同意が必要となったり、なかなか処分しにくい制度になっているところもあります。

そもそも墓地を抵当に入れるということは使用者に多大な影響を与えてしまうリスクがあり避けるべきです。

貸し付ける側も慎重にすべきです。

安易に抵当を入れる行為は慎み、やむを得ず入れる場合でも利害関係者に説明することは避けられません。