目次
責任役員会議事録とは?
責任役員会を開催したら議事録を作成しなければならない?
議事録を作成するのが面倒であったり、作成すべきかどうか分からないケースがあったりします。
議事録というのは責任役員会を開催した事実や議決事項を記録にとどめておく重要な書類になります。
議事録とは何たるかということは以下のサイト(外部)で丁寧に解説されてます。
会社を前提とした説明ですが共通する部分もあります。
責任役員会で議事録がどのような時に必要なのか、また墓地や納骨堂の経営許可を取得する時に必要とされる議事録とはどのようなものなのか記事にしていきます。
宗教法人には責任役員を最低でも3名置かなければなりません。
責任役員の中で1名、代表役員を選ぶことになります。
責任役員?代表役員? という方はこちらの記事をまず読んでみてください。
そして責任役員会という組織についても知っておきたいという方はこちらの記事も参考にしてみてください
どのような時に議事録を作成しなければならないか?
宗教法人法では責任役員会を開催したら議事録を作成しなければならないという条文はありません。
そもそも宗教法人法には議事録という言葉すら存在しません。
作成するかどうかは基本的に各宗教法人が任意に判断すべきと言っていいでしょう。
そんな自由なの?
と思われた方がいらっしゃるかと思いますが、まず議事録というものがどういう時にあると便利か考えてみると分かりやすいのかもしれません。
一番は対外的に宗教法人内部で議決した事実を証明したいときです。
このケースというのは具体的にどのような時でしょうか?
基本的に宗教法人にとって重要な事柄を議決した時で、例えば境内地を処分する、代表役員を交代する、責任役員を解任する、宗教法人規則を変更する、解散するなどの場合です。
議決したことを記録として残しておくべき場合になるわけですが、それ以外に役所に申請をする場合は必ず作成することになります。
例えば代表役員の変更は登記事項ですので法務局に変更登記申請をする場合は必ず責任役員会議事録を添付しなければなりません。
また、宗教法人規則を変更するには都道府県知事の認証が必要になるので、変更認証申請の添付書類には責任役員会議事録が必要になったりします。
このように議事録の作成は規則で定める場合、役所で手続きが必要な場合、重要な事柄を議決した場合などに求められるということになります。
一方で、それ以外に作成しないといけないケースとしては宗教法人規則で責任役員会を開催したら議事録を作成すべきことを定めている場合です。
この場合は基本的に議決事項の重要度に関わらず作成が求められます。
更に特定の議決事項にのみ議事録作成を求めている規則もあります。
もちろんこの場合に作成しなくても罰則を受けることはまずないのですが、宗教法人規則に定めてあることは尊重しなければなりません。
墓地や納骨堂の経営許可で求められる議事録とは
以上のような流れで考えると、墓地や納骨堂を新設したり拡張したりという場合は、宗教法人にとって重要な事柄ですし、役所への申請が求められますので議事録は添付書類として必須書類になります。
勿論、審査基準等で添付書類で定めているからという答えでも良いのですが、新たな事業を始めたり規模を拡大しようとすると宗教法人としての決定事項なのかが問われます。
代表役員の独断専行ではないか?
という疑いを持たれないために全ての責任役員で議論した形跡は必ず必要になります。
では墓地や納骨堂の経営許可を取得するうえで求められる議事録で記載すべきこととは以下の通りです。
用地取得について 面積、購入先、金額(借入額)など
まず墓地や納骨堂となる用地がどのようになっているのかです。
既に所有している境内地であればその旨、購入する場合はどのような経緯で購入することになったのか。
また購入に必要となる金額なども議決しておく必要があるでしょう。
既にある境内地の場合はその土地を墓地、納骨堂にすることについてや場合によっては財産処分の議決も求められます。
また用地取得や墓地造成に必要な工事費用など、檀信徒の寄付だけで賄えない場合は金融機関からの借り入れを行うことになるかもしれません。
そのようなときは、どの金融機関から、どのような条件で(融資額や利息、返済期間など)、担保の内容など細部に亘るまで可能な限り議決しておくべきでしょう。
無理な返済計画ではないかという責任役員会での指摘があれば検討しなおすなど、楽観的な返済計画は避けるべきです。
墓地、納骨堂の事業をする理由、事業の内容
次に何故その墓地又は納骨堂が必要なのかという理由については押さえておかなければいけません。
檀信徒からの要望なのか?
檀信徒よりも代表役員の意向なのか?
境内建物の維持管理や再建など資金が必要なのか?
様々な事情があるはずです。
許可を出す自治体によっては檀信徒からの要望でなければ許可を出さないというケースもあります。
ではその要望というのはどれだけあるのか?区画数や納骨壇の数など
現状の墓地ではなぜ足りないのか?
などなど出来るだけ必要性については検討しておく必要があります。
更に、檀信徒以外からの利用を求めるのか?檀信徒に限るのか?
檀信徒以外であれば入檀家してもらうのか?
墓地使用管理規則はどのようにするのかなども運営開始後のことも行き当たりばったりではいけませんので可能な限り決めておくべきです。
その他
他には墓地や納骨堂に関わる事業者名や本山からの承認見通しについても議事録に記載しておくのがよいでしょう。
もちろん、開催時点で全て決めきれないこともありますし、全てが決まらないと開催できないわけでもありません。
開催時期は任意ではありますが1回目は墓地を作る全体的な計画案、2回目は具体的な計画や詳細について、3回目は1,2回目で議決しきれなかったことを盛り込むということも考えられます。
計画内容が大きくなればなるほど責任役員会の回数も増えてくるはずで、逆に小規模なものであれば1回で十分ということもあります。
それぞれの実情に合わせて柔軟に開催することが求められます。
形式的なこと
議事録の基本は5W1Hです。
責任役員会の開催時間(開始と終了時間)、開催場所、出席責任役員、議決理由・事項、議決したことを証明する記名押印です。
これまでに解説してきたことは議決理由や事項についてですが、議事録の体裁としてはそれ以外も記載しておかなければなりません。
押印については各責任役員は認印、宗教法人の法人印が一般的に必要です。
代表役員は実印を押印するのが望ましいでしょう。
役所に提出したり、法人として重要な議決をした(後々の訴訟リスクを低減したい)ようなときは責任役員も実印にしておき印鑑登録証明書を添付しておくなどの対応も求められるかもしれません。
そこはケースバイケースになるでしょう。
まとめ
ここで紹介したことは基本的なところですが、各宗教法人の実情に合わせて対応する必要があります。
特に代表役員になられている方や書記をされている方は議事録を作成し慣れておく必要がありますし、慣れることで作成のハードルが下がります。
今や手書きからワープロソフトとで作成する時代ですのでパソコンでの議事録管理なども求められていくでしょう。