「墓地経営・管理の指針」 研修会の必要性を問う

「墓地経営・管理の指針」から20年という節目に

墓地、埋葬等に関する法律が施行されて約70年。

長い年月が経過していますが、それまでに様々なことがありました。

その中で大きな出来事の1つとして施行されてから52年、厚生省生活衛生局長から都道府県知事、指定都市市長、中核市市長宛に墓地経営・管理の指針が発出されたことが挙げられます。

墓地、埋葬等に関する法律や墓地、埋葬等に関する法律施行規則の条文数は少なく、条文の1つ1つの理解は判例や通知の積み重ねによって確立されてきました。

墓地に関する法律というのは宗教的な感情が大きく絡んでくるもので、墓地の経営や管理とはどうあるべきかということを法律で明確にすることは憲法上の配慮もあり難しいところもあったと考えられます。

そのような中で指針という形で行政庁が墓地経営と管理の在り方を詳しく説いたことはある意味で金字塔と言えます。

この平成12年の金字塔に対して20年(まだ早いですが…)が経とうとする前に改めて確認すべきことがあるのではないか?

というのがこの記事で伝えていきます。

墓地管理のための研修は行われているか?

この指針の中で最も御座なりになっている可能性が高いのが墓地管理者向けの研修の実施についてです。

「I 墓地経営・管理の指針」における「3 許可後の経営管理に関する指針」「(6)管理の質の向上」の部分で挙げられている方法についてです。

○ 管理者の研修等の実施を都道府県等において行うよう努めること。

管理者は、墓地が適切に管理されるためのいわば責任者としての地位にある。この管理者に正しい知識、経営管理のポイント等を管理者の研修等の実施を通じて伝えることにより、管理の質の向上を目指すことも重要である。

ここで「都道府県等」が墓地や納骨堂の管理者(責任者)を対象として研修等を行うことを求めているのですが、実際にこれらの研修を受講された方はいますか?

試しに「墓地 管理者 研修」とgoogleで調べてみてください→結果

恐らく全日本墓園協会が実施している講習がまずトップに上がってきますがそれ以降は、各都道府県で実施している研修の情報はありません。

全日本墓園協会が実施している研修は大変有益で意義のあることだとは思いますが如何せん、実施会場が東京都内で更に3日間に亘るなど容易には参加ができません。

時間的、経済的に余裕がないと受けられない研修ですし、各都道府県が研修を委託しているわけでもありません。

このようなことから都道府県等において研修会を実施していないのではないかという心配があります。

ただ、この指針はあくまで行政側の考え方を示したものであり法的規範ではありませんので仮に開催していなかったとしても罰則等は一切ありません。

研修が行われない理由

研修が行われていないという前提で話を進めますが、どうして研修が実施されないのかという理由を考えたところまずは予算、財政の問題があると思われます。

墓地の管理運営については永続性のある事業とは言え、毎年何かしら課題が発生します。

合理化や管理費の節約、管理者の雇用問題、葬送多様化、離檀問題などここ数年起きたことを挙げれば学ぶべき機会を確保すべきと考えられます。

しかし、これらを行わなかったとして社会的に大きな影響を与えるような事態にならないため各地方公共団体における予算案に研修実施は反映されないようです。

財政上はやはり墓地の管理運営よりもまちづくりや福祉、子育ての方が優先されます。

それはごくごく当たり前のことでやむを得ません。

なので一言でいうと、どの自治体も「余裕がない」というのが現状だと思われます。

墓地と納骨堂の数は減っているが…

しかし、財政上の問題や実害がないという理由だけで研修を行わないというのもどうなのかという話があります。

実際に日本にある墓地として都道府県知事(行政)の許可を受けた施設数は平成29年度の衛生行政報告例によると870,412あります。

実はこの数字は平成28年度の調査に比べると減少してはいますが、依然として87万という莫大な墓地が(実際に稼働しているかは別として)存在するということは事実です。

この中には地方公共団体をはじめ、宗教法人、公益法人、その他個人墓地など様々な経営主体がありますが、いずれにしても墓地の数だけ墓地管理者が存在します。

これら87万の墓地管理者は適正に墓地管理ができているのか?

墓地、埋葬等に関する法律を理解して管理者としての業務をこなしているのかが疑問です。

ご存知の通り墓地や納骨堂の管理運営の事業は更新制ではないため、経営許可を取得すればその後は特に何もありません。

悪く言えば放置です。

しかし、それでよいのか墓地研究会としては問題提起したいと思います。

セミナー開催の意義

その問題提起がぼまいほうセミナーです。

行政がやらないから民間でやる。

という崇高な気持ちでやってるわけではありません。

誰もやらないことをやってみたらどうなるのだろうか?

インターネット上の記事を実際に対面でお話ししたらどういう反応があるだろうか?

という好奇心で墓地研究会でセミナーを開催しています。

そして、どうせ開催するなら参加者にとってためになることをしたいですし、墓地の運営で生じる様々な問題を業界内で留めておくことなく、表に出して広く意見を求めたいというのがあります。

さらに、参加者同士の情報交換の場であれば尚良いと思います。

墓地研究会のセミナーの活動は一応、期限を区切っていまして2019年の1年限定で考えています。

ですので11月頃に2020年も継続するか研究員同士で話し合い決める予定です。

指針の重要性について

話がセミナーにそれましたが、冒頭に紹介した墓地経営・管理の指針に書かれていることは非常に重要な論点で将来的にセミナーで取り上げるテーマになると思います。

この指針をベースに墓地や納骨堂の設置基準が定められていると言っても過言ではない資料です。

一方で指針の発出から20年が経過した今、見直すべき点はあるのではないかということも皆さんと議論したいところです。

墓地経営・管理に携われている方は宗教法人で勤める方だけでなく士業、地方公共団体、公益法人の方も立場や職域を超えて一緒に考える機会を作りたいと思います。