〔埋葬等とは〕埋葬と埋蔵と収蔵の違いをご存知ですか?墳墓と墓地にも違いがあります

埋葬と埋蔵と収蔵

埋葬と埋蔵と収蔵、実は意味が全く違うということをご存知でしたか?

いずれも広い意味で納骨という意味ですが、そこに厳密な使い分けをすることはあまりないと思います。

しかし、墓地を専門とするブログである以上は正確さが求められますので違いを意識しながら書いていかないといけません。

墓地、埋葬等に関する法律に明確に定義づけられています。

それぞれの定義

埋葬、埋蔵、収蔵の3つの用語について定義をまとめてみました。

埋葬

埋葬の定義は単純です。

墓地、埋葬等に関する法律 第2条

 この法律で「埋葬」とは、死体(妊娠四箇月以上の死胎を含む。以下同じ。)を土中に葬ることをいう。

いわゆる土葬のことです。

火葬していないところに埋蔵や収蔵と大きな違いがあります。

ちなみに土葬は墳墓(墓地)にしかできません。

埋蔵

埋蔵は墓地、埋葬等に関する法律によると焼骨を墳墓に納骨するということになります。

墓地、埋葬等に関する法律 第2条

この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。

ここでまとめると

墓地に土葬=埋葬   墓地に焼骨を納骨=埋蔵

収蔵

収蔵と埋蔵の大きな違いは墓地か納骨堂かの違いです。

墓地、埋葬等に関する法律 第2条

 この法律で「納骨堂」とは、他人の委託をうけて焼骨を収蔵するために、納骨堂として都道府県知事の許可を受けた施設をいう。

収蔵そのものに墓地、埋葬等に関する法律2条で厳密な定義はなされていません。

あくまで納骨堂の定義をする中で派生した言葉になります。

そこで墓地と納骨堂で何故、埋蔵と収蔵で区別されるかというとには地中に入れる埋めるという意味があります。

納骨堂に埋蔵という言葉は日本語としての意味合いから不自然になるため収蔵が適切になります。

簡単に3つを簡単にまとめると以下の通りです

墓地に土葬=埋葬   墓地に納骨=埋蔵   納骨堂に納骨=収蔵

一般的な使い分け

法律的な書類を作成したり説明をする際は使い分けが求められます。

しかし一般の方が会話をする中で敢えて埋蔵と収蔵を使い分けする必要はありません。

納骨と一言でまとめてしまうのが合理的でしょう。

土葬については現状、ほぼできなくなっていますので敢えて考えることはありません。

墳墓と墓地も似ているようで全く違います

この2つはいずれもお墓があることは共通していますが、墓地、埋葬等に関する法律では明確に違いがあります。

具体的にどのような違いがあるのか、また墳墓の定義についても確認し、例外的に墓碑があっても墳墓の適用を受けないケースについても見ていきましょう。

墓地、埋葬等に関する法律での定義を確認

墓地、埋葬等に関する法律におけるそれぞれの定義を確認しておきましょう。

墓地、埋葬等に関する法律 第2条

4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。
5 この法律で「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事(市又は特別区にあつては、市長又は区長。以下同じ。)の許可を受けた区域をいう。

「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設のことで、「墓地」とは、墳墓を設けるために、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域のことになります。

墳墓は施設であるのに対して墓地は区域という考え方になります。

つまり、墓地は墳墓よりも広い概念で墳墓以外についても墓地に含まれることです。

例えば墓地として必要な施設と言えば墳墓は勿論ですが管理棟や駐車場、休憩所、給水場、トイレなどの付帯施設も墓地の中に含まれます。

墳墓を設けるための付帯施設も含めて行政から許可が出ます。

納骨する場所だけに許可を出すわけではありません。

そして、許可を受ける際は墓地全体の区域とその中で納骨をする墳墓の区域を区別して申請する必要があります。

※一部例外があり区別をしない自治体もあります。

墳墓としての要件

墳墓というものが具体的にどのような施設になるかについてイメージしにくいと思いますが比較的広い概念になります。

代々で利用する一般的なお墓、永代供養墓、樹木葬を始め土葬墓地まで含まれます。

ポイントは「死体の埋葬」と「焼骨の埋蔵」をするのであれば墳墓ということ。

現に、埋葬や埋蔵がなされていなくてもこれらを行う前提であれば墳墓と言えます。

では死体の埋葬も焼骨の埋蔵もしないが墓石だけが存在するのは墳墓と言えるでしょうか?

そのヒントになるのが国への茨木県衛生部長照会とその回答です。

墓地、埋葬等に関する法律の疑義について(抜粋)

(昭和三一年一○月四日 三一環発第二五一号)

(厚生省環境衛生課長あて茨城県衛生部長照会)

墓地埋葬等に関する法律の適用について疑義を生じたので、左の諸点について至急何分の御回答わずらわしたい。

一定地に墓碑を十数箇建立し、香華を供えて社会通念的には墳墓とみなされる形態となつているが、死体の埋葬と焼骨の埋蔵の事実がない場合墓地として取り扱うことは妥当でないと思うがどうか。これらの行為は、従来からの慣習として墓地としての一般観念を起さしめ、土地使用の状態からしてもまた墓碑の乱立の見地からなんらかの規律が必要と思うがいかが。

納骨はしないが墓石が存在するという場合です。

このような慣習がある地域や宗教的な考えの方は多くいらっしゃるのではないかと思われますが、これに対して回答がなされています。

(昭和三一年一一月一六日 衛環第一一三号)

(茨城県衛生部長あて厚生省環境衛生課長回答) 抜粋

当該施設が、死体を埋葬又は焼骨を埋蔵する目的をもたない限り、墓地埋葬等に関する法律第二条第四項又は第五項には該当しないものであるから、墓地として取り扱うことはできない。

しかしながら、将来、当該施設が埋葬又は埋蔵するに至つたときは、「墓地」又は「墳墓」の適用を受けることは当然である。

なお、設問後段については、よく検討することと致したい。

例え墓碑があったとしても、埋葬や埋蔵する目的を持たないのであれば墳墓として取り扱わないという考え方になりますし、墳墓がなければ墓地にもなりません。

しかし、先々、埋葬や埋蔵をするに至った場合は墳墓としての適用を受けます。

適用を受けるということは墓地として墓地、埋葬等に関する法律10条の経営許可を得なければならないということになります。

墓地、埋葬等に関する法律とは?

埋蔵、埋葬、収蔵の違いからも分かるように墓地、埋葬等に関する法律というものが墓地を語るうえで欠かせない法律であることは既にお気付きになられてるはずです。

次は墓地、埋葬等に関する法律とはどういう法律なのか解説していきます。

法律の目的

第2条    この法律は、墓地、納骨堂又は火葬場の管理及び埋葬等が、国民の宗教的感情に適合し、且つ公衆衛生その他公共の福祉の見地から、支障なく行われることを目的とする。

この法律は昭和23年5月31日に制定され墓埋法(ぼまいほう)、墓地埋葬法(ぼちまいそうほう)のように略されることがあります。本ブログでは敢えて略さずに記載しています。

この法律は

①宗教的感情 ②公衆衛生 ③公共の福祉 の3つの見地に基づいています。

この法律やこの法律に基づく様々な条例、規則はこの見地に基づくべきことで大原則となるものです。

法律の構成

この法律は以下のように構成されています。

  • 第1章 – 総則(第1条・第2条)
  • 第2章 – 埋葬、火葬及び改葬(第3条〜第9条)
  • 第3章 – 墓地、納骨堂及び火葬場(第10条〜第19条)
  • 第3章の2 – 雑則(第19条の2・第19条の3)
  • 第4章 – 罰則(第20条〜第22条)
  • 附則

公衆衛生と公共の福祉

墓地と宗教は一般的に切り離せないものですが、この法律はどのような典礼で儀式をするかは定められていません。

公衆衛生と公共の福祉のことを考えて作られています。

なぜ宗教について触れられていないのかというと政教分離の原則があるからです。

日本国憲法
第20条    信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

どんな典礼で葬儀や納骨式を行うかは自由ですが公衆衛生に配慮してこの法律を守ってくださいということです。

墓地、納骨堂以外に火葬場のことも

墓地や納骨堂だけでなく火葬場についても触れています。

火葬場の定義

第2条 7  この法律で「火葬場」とは、火葬を行うために、火葬場として都道府県知事の許可をうけた施設をいう。

また第3章では墓地や納骨堂とならんで管理者の設置や行政への届け出義務、書類の作成と備付義務も明記されています。

因みにこの法律では葬儀場については定められていません。

墓地、埋葬等に関する法律の前身

この法律ができるまで墓地、埋葬に関する決まりはなかったのでしょうか。

日本国憲法が施行されるまでは以下の規則がありました。

  •  墓地及埋葬取締規則(明治十七年太政官布達第二十五号)
〔解説 墓地乃埋葬取締規則〕現行法との違いをざっくり解説
墓地乃埋葬取締規則 今、この国で墓地について規範となる法律は墓地、埋葬等に関する法律と言われるものです。 略称として「墓埋法(ぼまいほう)」「墓地埋葬法(ぼちまいそうほう)」などと呼ばれることもあります。 この法律は昭和23年から施行されたわけですが、ではそれより以前はどうなっ...
  •  墓地及埋葬取締規則に違背する者処分方(明治十七年太政官達第八十二号)
  •  埋火葬の認許等に関する件(昭和二十二年厚生省令第九号)

墓地、埋葬等に関する法律は国会の議決で定められたものであるのに対し、行政が命令や規則として定めた点で大き異なります。

自治体ごとの運用に任されている

墓地、埋葬等に関する法律は最小限のことしか定められていません。

そのためこの法律の解釈や運用が自治体ごとに変わってくることがあります。

第10条   墓地、納骨堂又は火葬場を経営しようとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならない。
 前項の規定により設けた墓地の区域又は納骨堂若しくは火葬場の施設を変更し、又は墓地、納骨堂若しくは火葬場を廃止しようとする者も、同様とする。

特に墓地、納骨堂などの経営許可を取得に関しては以上の条文しかありません。

具体的にどのような手続きや規制があるのかなどは全国的に決められていません。

そのため自治体の裁量に任されているのが現状です。

例えば

  • A市では住民説明会を行わなければならないがBでは必要がない
  • B市では民家から100m以内には墓地が設置できないがA市では規制がない

などです。

自治体により基準が厳しいところもあれば緩いところもあります。

地方分権のよい部分でもありますが基準の不明確さは国民にとっては不便さがあるかもしれません。

罰則が緩い?

第四章 罰則

第20条   左の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は五千円以下の罰金に処する。

1   第十条の規定に違反した者
2   第十九条に規定する命令に違反した者

第21条   左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

1   第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
2   第十八条の規定による当該職員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者
第22条   法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、前二条の違反行為をしたときは、行為者を罰する外、その法人又は人に対しても各本条の罰金刑を科する。

何を基準として厳しいか緩いかという話もありますが、この法律は全国民にとって関りがあるものであるはずなのに罰則が軽いと考えます。

ただこの法律に違反したという話は、滅多に聞くことがないので厳罰化する必要性がないのかもしれません。

もちろん無許可で墓地を造成するなどの行為は許されるものではありません。

墓地、埋葬等に関する法律施行規則

墓地、埋葬等に関する法律施行規則という厚生労働省が省令として定めている規則があります。

これは墓地、埋葬等に関する法律で定めきれなかった部分を補足する形で埋葬・改葬について具体的な様式なども定めています。

まとめ

  • 埋葬・埋蔵・収蔵はそれぞれ厳密に意味が異なる
  • 法律的な話であり一般的には納骨と表現して差し支えない
  • 墓地、埋葬等に関する法律は公衆衛生と公共の福祉を目的としている
  • 墓地、納骨堂、火葬場を取り締まり葬儀場は対象ではない
  • 地域の実情に対応できるが国民にとっては分かりにくい部分もある

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