〔訴訟詐欺?〕枚方の寺院が墓地経営の許可狙い裁判所欺いたか

墓地経営許可を狙い訴訟詐欺?

久しぶりの記事更新になります。

大阪枚方の方で墓地経営許可取得を狙った訴訟詐欺がニュースになっています。

訴訟詐欺というのはあまり聞きな慣れないので目に留まりました。

墓地研究会としても墓地や納骨堂を経営する際は許可を取得してくださいという話をしている中で、このような事象が起こりえるということを知っておくべきことだと思います。

大阪府枚方市内の寺院が隣接地で墓地を経営しようと、以前から隣接地が寺の境内地だったと偽って所有権移転を求める訴訟を大阪地裁に起こし、請求を認める判決を不正に得た疑いがあることが8日、産経新聞の取材で分かった。訴えられた隣接地の所有者側も虚偽を了承していたという。新規に取得した土地では行政から墓地経営の許可が出ないため、境内地と偽る必要があった。裁判所を欺く「訴訟詐欺」に当たるとみられ、専門家は「双方が共謀したのなら極めて悪質だ」と批判している。(産経新聞より)

この疑惑にはいくつか問題がありますが墓地研究会としては墓地経営許可基準に無理があるのではないかと考えています。

この事件はまだ疑惑の段階で確定的なことではありませんので悪しからず…

無理のある墓地経営許可基準

勿論ですが訴訟詐欺に関わった当事者が最も悪いというのは言うまでもありません。

司法を欺いて墓地経営許可基準を備えるということは、寺院として行うべきではありませんし、行政担当者からしても寺院がこのような行為に出ることは恐らく想定されていなかったのではないかと思います。

しかしながら、このような事例は見過ごすわけにはいきません。

なぜこのような疑いが生じたのか、今後このようなことが起こらないためにどうすればいいか考えて行く必要があります。

訴訟詐欺が起こりうる司法制度に問題があるという考え方もありますが、大きな要因は無理のある墓地経営許可基準(審査基準)が背景にあるのではないかと考えています。

このニュースで取り上げられている件は、枚方市の墓地経営許可基準に基づいて述べられています。

枚方市の墓地に関する資料は以下のページです。

その中で「経営許可審査基準」という資料をご覧ください。

1ページ目から2ページ目に亘るところで問題の基準が記載されています。

3 墓地等の設置場所等の基準
⑴ 墓地及び火葬場は、住宅及び病院、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第41条に規定する児童養護施設その他これらに類する施設であって、枚方市墓地等の経営の許可等に関する条例施行規則第9条各号に掲げるものの敷地から100メートル以上離れていることただし、次のいずれかに該当する場合であって、市長が市民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障ないと認めるときは、この限りでない。(枚方市墓地等の経営の許可等に関する条例第10条第1項ただし書)
ア 都市計画法(昭和43年法律第100号)の規定による都市計画事業の施行、土地区画整理法(昭和29年法律第119号)の規定による土地区画整理事業の施行等により移転する等やむを得ない理由により、移転前の墓地又は火葬場と同じ区画数の墓地又は同じ規模の火葬場を新設しようとするとき。
イ 枚方市墓地等の経営の許可等に関する条例第3条第2号に規定する宗教法人が、障壁等により区画されている境内地(本殿、拝殿、本堂等が存する一画の土地をいう。)を20年以上所有し、かつ、当該境内地内で当該宗教法人の檀家又は宗徒の需要に応じて墓地を新設しようとするとき。
ウ 枚方市墓地等の経営の許可等に関する条例第16条第2項の規定により検査を受けて現に使用している墓地について、区画数を変更せずに当該墓地の経営を承継するとき。

距離制限と所有要件によるバランス

墓地計画地から一定距離内に住宅地や学校、病院などがある場合は基本的に墓地を設置できないとする基準は枚方市に限らず多くの自治体で採用されているもので、この点においては問題がないと考えられます。

基準はあくまで原則論ですが、例外規定もあり、宗教法人が20年間境内地として所有している土地であれば周辺に住宅や病院、学校があっても設置が可能です。

訴訟詐欺疑惑の根幹にある20年間の境内地所有要件というのが問題になりやすいと言えます。

この20年規定を満たすためには20年待たざるを得ないケースがあります。

これによって墓地の設置を諦めざるを得ないケースがありますので極めて、バランスが悪いと言えます。

恐らくこの基準ができたのは古くから宗教法人を運営している寺院を優遇するもので、墓地のや墓地の設置を目的とする寺院(従たる事務所等)の乱立を制限するためと、霊園規模の墓地が乱立しないようにするために考えられた結果ではないかといえます。

このような審査基準というのは意見公募手続(パブコメ)を募ったり専門家が集まる審議会を経て定められるケースが多いと考えられますが枚方市では既存寺院の保護の色合いが濃いと言えます。

結果として既存の寺院でも境内地外で墓地が運営できないという弊害があり、訴訟詐欺を誘発する可能性が生じます。

ですので訴訟詐欺の必要性が生じないよう一部を緩和、一部を規制強化することで解決するように思われます。

審査基準の改善案

そこで考えられる改善案ですが

①既存境内地の隣地に限り可、但し、墓地の隣地所有者や占有者の同意書取得

②許可面積は既存境内地の同等以内か2分の1などの規制はあってもよい

③宗教法人として設立してから20年経過していることなど

このような条件を組み合わせることで問題が解決するように考えられます。

境内地としての所有期間20年というのは極めて困難で新規参入がほぼ不可能な要件となっていることから宗教法人としての運営実績を加味することが本質的なところではないでしょうか。

他にも、墓地の新設を厳しくし続けるのであれば、原則として不可とし、納骨堂の新設基準を緩めるなどして墓地から納骨堂への参入を促すのも一案です。

もう一つ考えられるのは「ただし、次のいずれかに該当する場合であって、市長が市民の宗教的感情に適合し、かつ、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障ないと認めるときは、この限りでない。」

の「であって、」の部分を「又は」に変更することでも解決します。

このような基準については地域の実情に合わせて定められるものですが、あまりにも厳しい要件を課すことは墓地行政の本質を見失うところもあります。

この事件から学ぶべきこと

訴訟詐欺の疑いがあるということですが、20年間の境内地所有要件を定めている行政は過去の許可事例を調査していかなければならないと思われます。

墓地の許可については行政裁量が広いところがあります。

広いからこそ基準を明確にしておかないといけないという部分もあり、無暗な墓地の乱立を制限させたいのと行政手続きの透明性を確保しなければならないということを両立させることは難しい面があるでしょう。

このような事件が発生するのを機に、発生するかどうかは関係なく定期的に基準の見直しはなされるべきです。

今後、多死社会になるため墳墓需要は増加することは確実ですので緩和と規制の在り方が合理的なのか考えていくべきです。

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