〔土葬は禁止?〕土葬に関わる様々な制約

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土葬とは

土葬は法律上、「埋葬」と呼ばれ複数ある葬送の中の一つです。

これは墓地、埋葬等に関する法律でも定義されており未だ有効な葬送手段です。

この土葬を巡っては法律や条例で禁止されているという誤解があります。

このような誤解が生まれた背景や土葬が今どのような扱いになっているのか解説していきます。

一方で墓地を新設する際に土葬を受け入れないことを条件にする自治体が多く存在します。

そのような事情についても説明していきます。

墓地、埋葬等に関する法律での取り扱い

墓地、埋葬等に関する法律 第2条

1 この法律で「埋葬」とは、死体を土中に葬ることをいう。 (一部略)

4 この法律で「墳墓」とは、死体を埋葬し、又は焼骨を埋蔵する施設をいう。

明確に法律で定義されており埋葬(土葬)は認められています。

また禁止する条文もありません。

各都道府県の条例では

墓地、埋葬等に関する法律で禁止されていない以上、各自治体で禁止しにくいのが現状です。

しかし、深さは2メートル以上にするといった条件があるケース多く、土葬を禁止する地域を指定しているところもあります。

深さ条件

深さを定める条例について栃木県を例に挙げてみます。

(埋葬の方法)
第7条 死体を土中に葬るには、その深さ地下二メートル以上としなければならない。

この深さは福島県の1メートルや大阪府の1.5メートルなど自治体によって若干変わってきますが2メートルとしているところが多いです。

土葬禁止区域

東京都は一部の地区を土葬禁止にする規定があります。

(土葬禁止地域)
第14条 知事は、公衆衛生その他公共の福祉を維持するために土葬を禁止する地域(以下「土葬禁止地域」という。)を指定することができる。
2 墓地の経営者は、土葬禁止地域においては、焼骨のほかは埋蔵させてはならない。ただし、知事が、公衆衛生その他公共の福祉の見地から支障がないと認めて許可した場合は、この限りでない。

東京都のほか大阪府や長崎県も土葬禁止地区を知事が定められる条例があります。

埋葬数

条例で一部の条件や制約がありますが実際にどれぐらいの数、土葬されているのか。

政府統計が出ています。

今回は平成26年度でみていきます。

各府省等が登録した統計表ファイル(Excel,CSV,PDF形式)を検索し、閲覧・ダウンロードすることができます。また、データベース化された一部の主要な統計では、表示項目の選択、表の組換え、グラフ作成等を行うことができます。

この中で埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数,都道府県-指定都市-中核市(再掲)別のCSVデータで状況が分かります。

火葬 埋葬 合計
全国 1,316,334 174 1,316,508

一部のデータを抜粋(死胎は除いてます)

全国の埋葬数は全体の1%にも満たない状況です。

しかし日本国内で土葬は少数ながら実施されています。

墓地管理者側の負担

法律、条例そして埋葬数を確認しましたが実際に少数ながら可能であることが分かりました。ではなぜこれだけ少ないのか。

その原因は3つあります。

墓地使用規則で禁止する規定がある

自治体が運営する公営墓地、宗教法人が運営する民間墓地ともに土葬を禁止する規定がおかれています。

そのため火葬し焼骨を埋蔵するしか選択肢がなくなるわけです。

毎月5日に届け出義務がある

墓地使用規則で禁止する要因として挙げられるのは管理者側の届出義務です。

墓地、埋葬等に関する法律 第17条

墓地又は火葬場の管理者は、毎月五日までに、その前月中の埋葬又は火葬の状況を、墓地又は火葬場所在地の市町村長に報告しなければならない。

毎月5日に埋葬状況を報告しなければなりません。

土葬を許容してしまうとこのような届出手続きが随時生じてしまいます。

このような手続きは墓地管理者としては負担となります。

構造上の問題

墓地管理者は墓地造成の際に、各区画にカロートという焼骨を埋蔵するスペースを設けています。

そもそも土葬を想定していない構造となっており、埋蔵しか対応できない墓地も多いのです。

また埋葬を認めるような構造にしてしまうと埋蔵墓地と比較し広く面積をとる必要があり、土地を効率的に使えないというデメリットもあります。

日本にいるカトリック信徒は土葬を求めながらも火葬を受け入れる方も多いでしょう。

さらにまだまだ日本では土葬を許容する地域があります。

もともと日本の葬送は土葬だったのですから長年の風習を強制的に排除することはできません。

その一方で衛生上の問題や墓地不足の問題を解決するためには制約を設ざるを得ない状況です。

土葬を受け入れないことを条件に墓地新設許可

ここまでで、法律でも条例でも明確には禁止されていないが墓地管理者の負担や禁止区域の設定などにより実質的に土葬が不可能な状況になっていますが、墓地の新設の際に土葬をしないことを条件に許可を出す自治体も存在ます。

そのことが明文化された通知が存在ます。

○墓地の許可に関する疑義について

(昭和二八年二月一八日)

(八衛環第一〇二三号)

(厚生省公衆衛生局環境衛生部長あて京都府衛生部長照会)

墓地許可事務の取扱上、次の点について疑問がありますので何分の御回報下されたく、右照会します。

墓地の許可申請があつた際に死体の埋葬を行わせるのであれば衛生上好ましくないが、焼骨の埋蔵のみであればその土地は墓地として支障ないと認められる状況のときに

1 右の状況を許可の判定に際して考慮することはできないか

2 右の場合申請者(経営者)が死体の埋葬を行わせない旨を約束しているときに、許可に際しその墓地の性質を明かにするため死体の埋葬を行わせない旨の条件をつけてはいけないか

3 若し、右の条件をつけた場合に、管理者は墓地、埋葬等に関する法律第十三条にいう埋葬等を拒む正当の理由として、その埋葬を拒否できるか、又経営者には何等法に規定がないために、埋葬を行うとする者に対して自らそれを拒否することができないとしても、管理者にそれを命ずることはできないか

この疑義に対して厚生省からの回答は以下の通りです。

(昭和二八年四月一日 衛環第二七号)

(京都府衛生部長あて厚生省公衆衛生局環境衛生部環境衛生課長回答)

二月十八日八衛環第一、○二三号で照会のあつた右のことについては、左記のとおり回答する。

墓地、埋葬等に関する法律では、墓地の許可に対する拒否の要件が明記されていないのであるが、これは知事に対して許可に関する自由裁量を認めているものであるから、御照会の如き場合知事が必要と認める範囲内において条件を附することは差し支えない。又、その場合、管理者に対し、法第十三条の規定による正当な理由として命ずることは差し支えない

ここで重要なのは許可をする条件として土葬をしないことを付すことは問題はなく、更に土葬をしたいと申し出たものから管理者は正当な理由として拒否することができるというところまで踏み込んでいます。

このような通達を根拠に今では条例等で明確に、土葬用の墓地は許可しないことも書かれていてこれから土葬用の墓地を新設するということはなかなか難しく、土葬できる墓地はかなり少なくなってきているということになります。

まとめ

  • 土葬は法律や条例で決して禁止はされていない
  • 土葬をするには墓地管理者側の負担があり実質的に認められない。
  • 衛生上、墓地不足などの問題があれば火葬が強制されるのはやむを得ないが風習・宗教上の観点で配慮が必要なところもある。
  • 墓地の新設で埋葬をしないことを条件に許可を出す自治体が多く、その場合は土葬の申し出を墓地管理者が拒否できるという通知がある。
  • このような事情から禁止はされていないのに実質的に土葬は困難な状況となっている。

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