〔太田市〕無縁化防止へ墓じまい補助 条例改正へ 

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太田市が無縁化防止へ墓じまい補助

写真はイメージです

昨年末ですが、群馬県の太田市で無縁墳墓化防止のため墓じまいの補助を行うということが記事になっています。

少子高齢化に伴い、墓を守る家族がいない「無縁墓」の増加が懸念される中、群馬県太田市は市営八王子山公園墓地(西長岡町)の墓じまいに必要な原状回復費を補助する制度設計に着手した。県内では先進的な取り組みで、無縁化の不安がある家庭に自主的な区画返還を促す。用地の再分譲を進めることで墓地の健全運営につなげる狙いもあり、早ければ来年度に関係条例を改正したい考え。

確かに無縁墳墓化は墓地業界では大きな問題で社会現象とも言えます。

無縁墳墓化し改葬手続きを行う費用を考えれば無縁墳墓化する前に補助を出して早めに決着させる方がよいという理屈はよく分かります。

実は明石市でもこの件と似た取り組みをしていることで気になってはいました。

 兵庫県明石市が石ケ谷墓園(大久保町松陰)の一般墓地について、墓石撤去などの「原状回復」を行わなくても使用区画を返還できる期間限定の特例を設けている。

当ブログでは度々、無縁墳墓に関する記事を書いてきました。

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公営墓地に限らず民間墓地でも無縁墳墓というのは運営者側にとっては切実な問題です。

墓じまい費用の補助を民間墓地が行うのであればよいのですが、行政が運営する墓地でこのような取り組みをするというのはどういうことか?

考えるところを記事にしていきます。

制度設計で市が注意すべきこととは?

財源の問題

まだ具体的な制度内容については決まっていないようですが墓じまい補助をする上で行政の立場で注意すべきところが想像されます。

その一つとして財源です。

墓じまいの補助ですからその補助をして利益を得るのは特定の個人(故人)やその家と新たに墓地を利用する個人の2者という考え方ができます。

補助金の財源が市民から集めた税金であるとすれば一部の故人のために利用することについての批判が起こるという懸念があるでしょう。

もちろん、墓地全体を考えた時に無縁墳墓を1件でも防止できれば墓地そのものの運営の合理化につながるという見方もできます。

公営墓地の運営合理化によりより多くの市民が墓地を利用できるという効果があるという説明があれば市民は納得行くかもしれません。

要はどのような財源で補助金を捻出するのか、その補助金により市営墓地全体にどのような効果があるのか丁寧な説明が求められるということです。

もし税金ではなく市営墓地だけの独立採算(特別会計)でやりくりする方法であればより理解されるのではないでしょうか。

恐らく太田市はそのような方法を模索しているように感じます。

補助金制度の悪用

補助金制度ができると必ずと言っていいほど起こりえるのは不正な補助金申請です。

これは今回の墓じまいに限らず様々な分野で共通する話です。

「無縁化の不安がある家庭に自主的な区画返還を促す」ということですが、あくまで「不安」というのは墓地利用者の主観です。

この家庭なら補助はやむを得ない、無縁墳墓化の可能性は客観的に見て高いといった明確な基準をもって運用すべきということです。

単に他の寺院墓地に移りたいだけなのに、不安があるから補助をして欲しいという話になれば制度が骨抜きになってしまいます。

条例整備の際は補助をする基準を明確にすべきところです。

墓地使用料の払い戻し、預かり制度ならどうか?

この記事の終盤には既に助成をしている事例が紹介されています。

第一生命経済研究所(東京)の小谷みどり主席研究員は「自主返還を促す行政の取り組みはこの5年ほどで全国に広がり始めている」と指摘する。都立谷中霊園では墓石撤去や遺骨取り出しを都が代行。千葉県市川市は返還時に墓地使用料の3分の1を払い戻し、整地費用の助成もある。

この中で返還時の払い戻し制度がある点はよい取り組みではないかと考えます。

払い戻しがあることで墓じまい費用を心配する必要が軽減されますし、墓じまいをためらうようなケースには払い戻しが強い動機になることがあります。

無縁化の不安があるかどうかは関係なく一律にこのような対応をしていくというのは合理的です。

私としては墓じまいの墓石撤去工事等で必要になるであろう標準的な金額を予め預かっておき、無縁になれば利用し、墓じまいをすれば返還するというのも一つの方法ではないかなと考えます。(払い戻しと実質は変わらないのかもしれません)

公営墓地の場合は抽選となるような人気のある墓地であれば、多くの選択肢があるでしょうがそうではない墓地に関しては財政面で限られた選択肢になるかもしれません。

今回の墓じまい補助は新たな動きとして一石を投じましたが、これからもこのような取り組みは都心部で続いていくような気がします。