〔個人墓地〕自宅の庭に作ることはできるか?

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個人墓地のこと

遠方に墓地がありなかなか参拝に行けない。

そのような状況になると墓じまいという選択を取らざるを得ないこともあります。

墓じまいするなら自宅に庭があるのでそこを墓地(個人墓地)にできないか?という考えが浮かぶのはあり得ます。

親族の遺骨であれば庭にあっても抵抗がないですし、すぐ傍なので毎日でもお参りができます。

しかし実際、個人墓地を新たに作るのは可能なのでしょうか。

実はそんなに簡単な話ではない個人墓地のことについて記事にしていきます。

個人墓地の定義

まず個人墓地とはどういうものかについて確認します。

個人墓地は自宅墓地とも呼ばれることがあり、寺院、自治体ではなく個人が所有する土地に墳墓を設置する場所のことを個人墓地と言われています。

表題にも書きましたが自宅の庭に作るような墓地のことです。

個人墓地は例外中の例外

そもそも墓地は誰が運営できるのかおさえないといけません。

厚生労働省の指針で以下の通り記載されています。

○ 墓地経営主体は、市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい事情があっても宗教法人又は公益法人等に限られること。(墓地経営・管理の指針等について抜粋)

その為、個人で運営する墓地というのは原則としてできません。

しかし個人墓地の設置ができるケース(自治体)が実はあります。

「厚生労働省の指針に違反しているのはまずいのでは!??」

という指摘をされることはあります。

ただ、この指針はあくまで国が定める墓地運営の理想形や規範を謳ったものであり、これに違反することで何か罰則があるということではありません。

その為、自治体が個人墓地の新設認めなければ墓地運営の統制や衛生上の問題が生じる場合など、やむを得ない場合は独自に個人墓地の新設を認める条例を定めることは可能でしょう。

個人墓地の設置を許可取得により認めている自治体

以下に個人墓地を許可取得により設置が可能な自治体を紹介しています。

津山市(岡山県)

岡山県津山市公式サイト。津山市の取組みの概要や各種申請様式などを掲載しています。

広島市(広島県)

安芸市(高知県)

いずれも近隣に公共の墓地がないなどやむを得ない事情がないと難しいでしょう。

その他の自治体では?

多くの自治体では個人墓地の設置は条例で認めないor地方公共団体、宗教法人、公益法人に限ると定められており認められていません。

もし個人墓地をお考えの方はお住まいの自治体の条例を確認しましょう。

個人墓地を廃止することはできる

現在は個人墓地の新設はできませんが、過去に許可を取得した個人墓地を廃止するor広げるなどの手続きが認められている自治体もあります。

山間へき地など人口の少ない場所になると、周囲に墓守をできる人がいなくなれば墓地を廃止するという選択肢もでてきましょう。その場合は個人墓地の墓じまいという選択になり改葬の後、廃止申請を行うことになります。

墓地、埋葬等に関する法律10条の許可は必須

個人墓地が仮に認められる状況であっても墓地、埋葬等に関する法律10条の許可は必要になります。

個人墓地というの墓地、埋葬等に関する法律10条の対象になるのか解釈が微妙なところですが、この疑問に対する国の回答があります。

個人墓地の疑義について

(昭和二七年九月二日)

(七衛環第七八五二号)

(厚生省公衆衛生局長あて京都府知事照会)

本府において、標記墓地を新設したい旨の申入れがありますが、本件取扱いに関して聊か疑義がありますので、左記に関して御回報願いたく右照会します。

1 自己所有の土地を使用し、自家用の墓地にせんとする本墓地の新設は、墓地、埋葬等に関する法律第十条の規定に該当しないものと思料せられるが、その取扱い如何

2 若し前記の如く、法の適用を受けないものとすれば、法第四条の規定により墓地以外の土地に埋葬又は焼骨の埋蔵はできないから、本件の様な個人墓地は全然設けることができないことになるが、その解釈如何

京都府としては個人墓地というものが墓地、埋葬等に関する法律10条の許可が不要ではないかという見解を持っていたのですが、以下の通り国から必要という回答が出ています。

(昭和二七年一○月二五日 衛発第一○二五号)

(京都府知事あて厚生省公衆衛生局長回答)

昭和二十七年九月二日七衛環第七、八五二号を以て照会のあつた標記の件については左記のとおりであるから承知願いたい。

墓地については、出来る限り既存の墓地を利用するように指導し、個人墓地の新設は、既存の墓地を利用できないような事情ある場合にのみ許可するようにせられたい。

止むを得ず個人墓地を新設する場合には、墓地、埋葬等に関する法律第十条による許可を受けなければならない。

個人墓地というのはやむを得ない場合に限られ、国の方針としては出来るだけ既存の墓地を使用させたいというのが見えてきます。

個人墓地の乱立が景観的、衛生的な問題から抑制されるべきと言えるでしょう。

では古墳のような墓地はどうなのか?

権力者のお墓はいつの時代、国でも規格外の大きさです。

日本において真っ先に挙げられるのは古墳です。

ある大金持ちがこんな質問をしました。

「お金ならある。自分のお墓は古墳のように大きなものにしたい。土地も準備できる。今の日本の制度では古墳は作れるのか?」と。

まずそのような質問があれば「お金の使い方を間違っていますよ」

と、助言することになりますがもし真面目に説明する場合、どのように返答すればよいのでしょうか?

古墳は個人墓地?

古墳ということは権力者一人だけが埋葬されるということですから個人墓地ということになるのではないでしょうか。

個人墓地となると先ほど説明した通り認められていない自治体が多いのが現状です。

一部限られた自治体では個人墓地の新設が可能ですが、許可されるのは必要最低限の範囲です。社会通念上認められるお墓の広さを基準にされますので古墳の広さは現実的ではありません。

宗教法人が設置するお墓で検討してみる

個人墓地の新設は認められていませんが宗教法人による墓地の設置は一般的に認められています。

宗教法人で墓地の許可を取りそこに古墳を設置するという発想もあります。

しかし宗教法人や公益法人などで許可を取得する場合、需要の算定や檀信徒の状況などが審査されます。

そして予めどのような区画割りにするのか、区画数を図面などで提出しなければなりません。

そこで古墳を作るという話をしても一人のためだけであれば、宗教活動にもなりませんし公益性がありませんので認められないことになります。

モニュメントなら可能

そこで提案できるのが埋葬はしない古墳のような形状のモニュメントを作るということは許可が不要になるので可能ということです。

埋葬、埋蔵する目的がないお墓はモニュメントに過ぎません。

実際、庭に墓石を設置し墓地と疑われた事例があったのですが、埋蔵する意図がないことで墓地ではないという判断がなされました。

この考えを応用すれば古墳(のようなもの)についても可能ということになります。

まとめ

  • 個人墓地の新設は原則としてできない
  • 一部の自治体では認めているところもあるが自治体により基準がある
  • 個人墓地の廃止や拡張は自治体により認めているところがある
  • 古墳はこの時代に作ることは個人墓地となるためできない
  • そこに納骨しないのであればモニュメントとして設置することは可能(かも?周辺住民からひんしゅくを買うと思いますが…)