〔墓地の二重販売〕原因と墓地管理者がとるべき対処とは

墓地使用権が二重に設定されたら

墓地と墓石はセットで購入するケースが多いです。

寺院境内墓地では早めに墓石を建立することを求めてくることがあります。

実際、墓地を購入してから一定期間内に墓石の建立を求める墓地使用規則を定めているところもあります。

しかし墓地を買ったらしばらく墓石はいらないという方もいるでしょう。

こういった時に、何かの間違いで一つの墓地区画を二重に販売してしまうということがあります。

墓石が建立されていれば起こりえない間違いなのですが、このようなトラブルが何故起こるのか?

また、起こってしまったら墓地管理者側や墓地使用者側はどのように対応すればよいのかなど、今回考えていきます。

二重設定の原因

墓地使用権が二重に設定される原因は

墓地管理者のミス(過失)
墓地管理者がわざと二重売りした(故意)

この二つになるかと思います。

2の故意というのは論外ですが、1の過失は本当に生じるものなのでしょうか?

墓地管理者が交代するということは、頻繁ではなくてもあります。

その際にうまく引継ぎができていない場合が考えられ、既に購入手続きが完了している区画を別の方に販売をしてしまうということが起こりえます。

次に、管理者が複数名おり行き違いが生じるなどで、同一区画の墓地を別々の使用者に分譲してしまう場合などがあります。

いずれにしても墓地管理者に責任があります。

墓地使用権の考え方

墓地使用権というのは法律で具体的に定められた定義はありません。

詳細は以下のページでも解説しています。

〔墓地使用権〕どのような権利なのか?
墓地使用権を考える これまでの記事で墓地使用権という言葉を度々使ってきました。 意味は読んで字のごとく墓地を使用する権利です。 しかしこの墓地使用権は永代使用権とも言われ権利の性質を考えていくと奥深いものがあります。 今回は墓地使用権とはどのようなものなのか。解説していき...

簡単に言えば、固定性と永久性の2点があることが通説となっています。

固定性とは建物と同じで容易に動かせないという性質のことです。

つまり、墓地使用権があるということは固定性があると言える使い方をしているかということが重要です。

墓石を設置した方が優先

先に墓石を設置してしまうと、設置してない方は諦めざるを得ません。

何故なら墓地使用権は不動産のように登記簿のような公示制度がなく、墓地使用権の場合は第三者に対抗するために墓石を建立するしか方法がないからです。

墓地使用の申し込みが先だったとしてもです。

札ではいけないのか?

墓地の使用権を第三者に対抗するという観点で言えば立札では不十分とされています。

確かに立札に使用者氏名などを書き込んでおけば既に購入されたものとして把握はできるのですが、墓地を使用しているとは言い切れません。

では巻き石ではダメなのか?こちらも厳密には墓石とは言えないため対抗することができないようです。

墓地管理者側の対応

墓地管理者側は既に永代使用料などを受領していれば返還する義務が生じます。

墓地使用契約を取り消し別の墓地を探したり、同じ墓地の別の区画を代わりに使用するなど管理者側が誠意のある対応が必要になるでしょう。

また二重売買に至った原因などを確認して、そのことを誠実に説明すべきです。

しかし、どれだけ誠実に説明しても既に発生している損害などは賠償を求められる可能性があります。

墓地購入に至るまでに発生した交通費などの実費などが含まれます。

慰謝料については安易に支払いをすべきではないと考えられますが、二重販売に至った過失の程度によっては支払いが求められるケースもあるでしょう。

このような二重設定の責任は墓地管理者にしか問えず、もう一方の権利者に対しては何もできません。

こだわりを持って購入した墓地区画が、管理者の過失で使用できなくなったとなると大変残念な結果になります。

例えば墓地の中でも位置によっては景色が良い場所があったり、入口から近く便利な箇所であったりと同じ墓地内でも利便性や付加価値によって優劣がつくことがあります。

このようなことがないよう、墓地管理者は墓地使用権の設定に当たって注意をしないといけないということになります。