〔公営墓地〕自治体による合葬墓の整備で心配されること

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多くの自治体で公営墓地の合葬墓整備が進む

写真はイメージです

墓地に携わられている方であれば各自治体の公営墓地で合葬墓の整備が進んでいることは肌で感じられているのではないでしょうか。

合葬墓というのは様々な形態があるのですが、平たく言うと個別の墓ではなく一つのお墓に不特定多数の方をまとめて埋蔵するお墓のことです。

その為、一人当たりの費用は一般的なお墓に比べて安価で管理費も抑えられ、承継を前提としないので個人単位でも使用ができます。

この合葬墓という埋蔵の形は核家族を背景として現代の葬送感情に合致しているようで利用者が急増しています。

この合葬墓の整備が全国の自治体で進んでおりさらに申し込みが一部で殺到しているところもあるようです。

整備が進んでいなくても検討に入ったり有識者会議を開いたりと、地域の実情に合わせて計画を進めているところもあります。

記事をいくつか挙げておきます。

神戸市は、個別の墓を作らずに遺骨をまとめて納める「合葬式墓地」の運営を今月中に始める。同様の墓地は、県内の公営墓地でも続々と整備。すでに設置されている自治体では…
多くの人の遺骨を一つの墓に埋葬する「合葬墓(がっそうぼ)」。隣県秋田では、秋田市が4月から5月にかけて希望者の生前予約を取ったところ、希望者が殺到して窓口が混乱、大きな問題となった。青森県でも弘前市で今月、合葬墓が完成する予定で、青森市でも整備計画がある。血縁や婚姻関係に関わりなく入れる墓として、合葬墓が少子高齢化や核...
 遺骨をまとめて納める「合葬(がっそう)式墓地」の整備が各地で進む中、明石市では昨年12月の受け付け開始から5カ月間で、想定の4倍以上の890件の申し込みが殺到している。内訳では65歳以上の市民が対象の「生前予約」が479件と半数を超えた。核家族化や少子高齢化などに伴って、既存の墓石を整理する「墓じ
新潟県上越市南本町3に2018年4月、花や木に囲まれた環境で供養でき将来の墓守の必要がない樹木葬墓地「はなみずき」が開園した。
 兵庫県宝塚市は、遺骨を他の人たちと一緒に埋葬する合葬式墓所を市営霊園「宝塚すみれ墓苑」(市下佐曽利)に完成させた。先祖の墓から離れて住んだり、墓を維持管理する負担を子孫にかけたくなかったり、葬儀供養の費用を抑えたいと考えたり、埋葬に対する市民ニーズが多様化。必ずしも墓地需要が高くはないため、合葬式

多数あり紹介しきれませんが、ここ最近の傾向から関西や東北、首都圏周辺で合葬墓整備や販売の記事が目立ってきています。

このような動きは今後も続いていくことは間違いないと考えられます。

合葬墓整備の裏側で危惧されること

個人的にこの合葬墓の整備で最も恐れていることは、自治体が宗教法人に対して墓地のみならず納骨堂の経営許可(新設・拡張含む)を今後一切認めないという暴挙に出ないかということです。

合葬墓が整備されるということは市民の血税が投入されるということで何かしら結果(費用対効果)が求められるということはありえることです。

合葬墓なので数カ月で完売するような計画は立ててないでしょうが、数年から十数年といった一定の期間内での完売を目指す目標は内々であっても不思議ではありません。

そのような目標を達成するために、自治体で生じる納骨需要を全て公営墓地で受け入れようという動きがあると、民間墓地の墓地・納骨堂の新設・増設を抑制する結果につながりかねません。

厚生省生活衛生局長から発出された「墓地経営・管理の指針等について」2 墓地経営の許可に関する指針において以下のような一文が存在します。

墓地経営主体は、「市町村等の地方公共団体が原則であり、これによりがたい場合であっても宗教法人、公益法人等に限る」

つまり、自治体が全住民のために納骨施設を準備することができれば、これまでやむを得なく許可を出していた宗教法人に新たな開発を認める根拠が失われるという考え方もできます。

よって合葬墓の整備が進むことによって、宗教法人による墓地・納骨堂は制限される動きが懸念される。

というのが私、独自の考え方になります。

経営許可を認めないことによる自治体側の利点

自治体が宗教法人による墓地・納骨堂を認めないことによるメリットは販売面以外の点でも存在します。

墓地や納骨堂の経営許可は煩雑な事務であり、審査基準が多岐に亘るうえに、許可権者に広範な裁量権があることも自治体の負担になっています。

このような事務は一律に許可を認めない方向にすることで負担を解消することになりえますし、その事務に従事する公務員も削減できるというわけです。

逆に許可を出したことによって反対する近隣住民から審査請求や許可取消訴訟を提起されるといった法的リスクに晒されることもありません。

このように販売面以外で自治体側の利点もありますので非現実的な話でもないと考えられます。

実際にそのような傾向がある自治体が存在する?

このブログではどの自治体がというのは公表できませんが…

「宗教法人による納骨堂の新設は合葬墓の整備が完了したので認めない」という話を役所の窓口で聞いたという情報があります。

これが窓口に対応した一担当者の個人的な意見なのか、役所内部で共有されている方針なのかは分かりません。

少なくとも合葬墓の販売事務と墓地、納骨堂の許可事務を同一人格の職員が担当することになればそのような対応になりうるのだろうなということは想像がつきます。

果たしてこのような対応が法的に許されるのかは分かりませんが憲法違反という指摘がありうるというのは想像ができます。

〔日本国憲法〕宗教と墓地を考える
憲法記念日 GWが始まりました。 巷では9連休を取得される方がいらっしゃる一方でカレンダー通り若しくは休日返上で仕事をされている方も多いでしょうか。 この連休の中には憲法記念日が含まれています。5月3日です。 この憲法記念日は日本国憲法が公布・施行されたことを記念した祝日...

遺骨を預かり供養していくことは一種の宗教行為と捉えた場合、そのような事業を認めないことは政教分離の原則に反し得ることですし、特定の寺院で遺骨を預かってもらい信仰をすることが制限されれば思想信条の自由を害することにもなります。

公共の福祉によってこのような制限も許されるという説明になるのかどうか…

宗教離れが進み安価な墓地を求める傾向を背景に合葬墓の需要が高まり、その裏側で宗教法人による活動が制約されることがないよう行政には配慮が求められるのではないかと思います。

当ブログではこの記事で懸念するような対応をしている自治体の情報を収集しています。役所の窓口で合葬墓整備を理由として納骨堂の経営許可を拒まれたような事例について情報提供のご協力をお願いします。送信先は↓

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