〔新型コロナ〕焼骨の受け入れ拒否は正当事由に当たらず差別になります

新型コロナウイルスにより亡くなった方の焼骨

新型コロナウイルスに感染で亡くなられた方の焼骨について墓地研究会として懸念していることがあります。

それは、焼骨の取り扱いで差別的な対応がなされる可能性があるのではないかということです。

新型コロナウイルスによる感染症で死亡した場合、死後24時間以内の火葬が政令により認められることになりそのことは以前記事にしました。

〔新型コロナ〕24時間以内の火葬禁止が除外、原則火葬へ
新型コロナウイルスと24時間以内の火葬制限 久しぶりのブログ更新になります。 今年に入ってから新型コロナウイルスが世界中で猛威を振るい、火葬の実務についても留意すべきところが出てきています。 新型コロナの問題が表面化してきた2月から3月にかけて、以下のページの閲覧数が増大しました。 ...

この中で、死亡された方の葬儀に対応できていないという事例があり、葬儀ができず火葬され焼骨になって帰宅するということが衝撃的なことも報道されていました。

次第にウイルスの正体が判明していますがまだまだワクチンができておらず未知のウイルスという認識が持たれています。

緊急事態宣言が発出された関係で感染による死亡ではなくても、外出自粛が余儀なくされる中で葬儀自体がままならないのですが、葬儀火葬後のことで心配されることがあります。

感染者や医療従事者への差別

新型コロナウイルスの患者を受け入れる病院の医療従事者やその患者自身が治癒しても差別を受けうる状況があるようです。

以下一例ですが、差別を憂う記事は多数あり社会全体がこの状況を受け入れ切れていないことや混乱が起きていることが分かります。

「JAPANESE ONLY」を擁護する声  「JAPANESE ONLY」という言葉を聞いて、皆さんは何を思い浮かべ、何を感じるでしょうか。 私が真っ先に思い浮かべたのは、2014年3月のJ1リーグ
【NHK】医療や運送業の関係者の子どもたちに対して、新型コロナウイルスを理由とした偏見や差別がないよう、文部科学省は教育現場に通知…

科学的、医学的に根拠のない行為や発言は差別になりえます。

感染者自信やその周囲を特定することも無意味なことです。

ただ、一度感染した場合に再発する可能性もあり、このウイルスの厄介なところも垣間見えます。

このような状況で、次は納骨が拒まれる事態にならないか心配されるわけです。

納骨拒否ができる事由とは

大半の墓地管理者は良識があり、納骨を拒否するような事態には至らないとは思われますが、既存の墓地使用者からの指摘などで、新型コロナウイルスによる感染症で死亡した方の焼骨を受け入れをするか判断に窮する事態が想定されます。

そこで法律上、新型コロナウイルスによる感染症による死亡を原因として受け入れを拒否できるかということを考えます。

墓地、埋葬等に関する法律(抜粋)

第13条 墓地、納骨堂又は火葬場の管理者は、埋葬、埋蔵、収蔵又は火葬の求めを受けたときは、正当の理由がなければこれを拒んではならない。

墓地、埋葬等に関する法律には納骨を拒否するためには「正当な理由」が必要になります。

この正当な事由について最も代表的なものが典礼施行権を侵害されるような場合です。

〔典礼施行権〕墓地管理者は他宗派による典礼を拒否できる?
他宗派による典礼拒否は可能か? 「宗旨宗派を問わない」という墓地や納骨堂は今や至る所にあるわけですが特定宗派による典礼しか認めないというところが多いのではないでしょうか。 そもそも「宗旨宗派を問わない」という謳い文句自体が色々誤解を生じされるところがあるのですが、墓地を利用するまでの...

簡単に説明すると、他の宗教団体の信者であることのみでは拒否ができないこと。

一方で、自宗派の典礼により納骨式や法要を行うべきところ、焼骨を受け入れることで自宗派の典礼を実行できないような場合(他宗派による典礼を要請された場合)には拒否できるというものです。

コロナ禍において、どのような場合に正当な理由となるのかを考える必要がありますが、焼骨を受け入れることによって感染拡大が発生するような事情がなければ難しいでしょう。

火葬すると感染リスクは無い

結論から言うと焼骨に触れても、新型コロナウイルスに感染することはありません。

これは国からの通知で明確に説明がなされています。

平成27年に一類感染症により死亡した患者の御遺体の火葬の取扱いについて(通知)が発出されています。

この通知の最後の部分で一類感染症による感染で死亡したことは納骨拒否の正当事由に当たらないと示しています。

焼骨に触れることにより一類感染症に感染することはないため、墓地及び
納骨堂の管理者は、一類感染症による死亡であることを理由として焼骨の埋
蔵又は収蔵を拒むことはできないこと(墓地、埋葬等に関する法律(昭和 23
年法律第 48 号)第 13 条)。

その理由としては、100℃を超える温度にさらされた場合には一類感染症のウイルスは失活するからです。

更に、新型コロナウイルスは15分間で92度まで加熱する方法で完全に不活性化できるとする記事もあります。

仏プロヴァンス大学の研究グループは、新型コロナウイルスを92度で15分間加熱すると完全に死滅することを明らかにした。この研究結果は、研究データのプレプリント・サーバー(査読前論文公開サイト)「bioRxiv」に掲載されている。

現在の火葬炉は1500度まで設定することができます。

また、焼骨を介しての感染事例は今のところありません。

このことを押さえたうえで、納骨堂や墓地の管理者は対応する必要があります。

周囲から拒むよう要請があったら…

焼骨を介する感染は起こらないという説明をしても尚、納骨は拒否すべきと周囲から要請があればどうすればよいのか?

これは大変難しい問題になるのですが、墓地管理者としては法律上の正当事由に当たらないという説明を尽くす必要があるでしょう。

それでも納得されない場合は以下の条文を挙げてみましょう。

墓地、埋葬等に関する法律(抜粋)

第二十一条 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。
一 第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
二 第十八条の規定による当該職員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者
このような罰則がある法律違反を求めるような行為は、墓地使用者と墓地管理者との信頼関係を損ねる事態となります。

納骨差別が発生しないよう、ウイルスの正確な理解を持っておくことが一番の予防方法ですが未知な部分があり不安が増長される中では冷静な判断ができないことも想定されます。

当面は手元供養をされるご遺族もいらっしゃるかとは思われますので、すぐには問題にならないかもしれませんがこの記事が少しでも役に立てればと思います。

フォローする

この記事についてもっと聞きたい、ご意見などありましたらLINEで友達追加をしていただき個別にお問い合わせ頂けます。

友だち追加