〔宗教法人〕責任役員会議事録の閲覧を求められたら

責任役員会の議事録の閲覧には応じるべきか?

宗教法人の規模は色々ありますが、多かれ少なかれ法人内で重要な意思決定を行うことはあります。

例えば、宗教法人規則を変更する、解散する、代表役員を変更する、墓地経営を開始する時など宗教法人運営に大きな影響が生じるときは基本的には役員会を開いていることが多く、その議事録も規則認証申請や墓地経営許可申請などをする場合には残されているかと思います。

では、この議事録を閲覧したいという要望があった場合に宗教法人はどう判断すべきでしょうか?

多くの宗教法人で議事録を閲覧させるというのは抵抗があることではないかと考えられます。

「別にやましいことはしていない!」というところでも、実際にそのような閲覧請求があれば応じていいものか構えるものです。

今回はこの議事録をはじめとする法人内が備え付ける書類についての閲覧請求に対して、どのように対処すればよいのかを考えていきます。

議事録は作成したら備え付けの義務があります

議事録は作成したら備えておかないとけません。

宗教法人法第25条にはどのような書類をどこに備え付けるか明確に決められています。

宗教法人法(抜粋)
(財産目録等の作成、備付け、閲覧及び提出)
第二十五条 宗教法人は、その設立(合併に因る設立を含む。)の時に財産目録を、毎会計年度終了後三月以内に財産目録及び収支計算書を作成しなければならない。
2 宗教法人の事務所には、常に次に掲げる書類及び帳簿を備えなければならない。
一 規則及び認証書
二 役員名簿
三 財産目録及び収支計算書並びに貸借対照表を作成している場合には貸借対照表
四 境内建物(財産目録に記載されているものを除く。)に関する書類
五 責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類及び事務処理簿
六 第六条の規定による事業を行う場合には、その事業に関する書類

第2項5号では責任役員その他規則で定める機関の議事に関する書類が備え付ける書類の一つに入っています。

こちらは責任役員会議事録だけでなく総代会や評議委員会などの責任役員会以外の議決機関も規則で定めていれば含まれます。

ではどこに備え付けるのかというと事務所です。

大抵の宗教法人は主たる事務所のみというところが多いと思われますが、法律上は「事務所」としか書かれていませんので「従たる事務所」も含まれると解されます。

現実的な運用としては原本は主たる事務所に備え付けておき、写しを従たる事務所で管理することになるでしょう。

閲覧請求があった場合の対応

責任役員会の議事録を見せて欲しいと言われた場合に、閲覧していただいていいものか迷われるケースが多いです。

事実、法律上閲覧で出来る要件は限られていまして宗教法人法第25条にどのような場合に閲覧に応じないといけないか決められています。

これは閲覧に応じないといけない場合の要件ですが、要件に当てはまらなくても個別に閲覧に応じるだけでなく、ホームページなどで公開することなどオープンにすることは自由です。

宗教法人法 第25条

3 宗教法人は、信者その他の利害関係人であつて前項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項各号に掲げる書類又は帳簿を閲覧することについて正当な利益があり、かつ、その閲覧の請求が不当な目的によるものでないと認められる者から請求があつたときは、これを閲覧させなければならない。

閲覧に応じないといけない3要件は以下の通りです

信者その他の利害関係人であること
正当な利益があること
閲覧の請求が不当な目的によるものでないこと

この3要件は請求する側の感覚でいえば満たしていると思っていても、宗教法人側にとっては満たしていないということも有ります。

要は主観的な見方でどのようにでも取れるもので、この請求は当事者間で紛争になりやすいと言えます。

例えば「住職の悪行を暴いて信用を貶めたい!」「閲覧して知ったことをSNS等で暴露したい!」「自分は自称信者である」というケースでは閲覧には応じてもらえないでしょう。

宗教法人側も怖くて閲覧させるわけにはいかないです。

こういう場合に最終的には訴訟によって閲覧請求の可否を司法が判断することも有るようですが訴訟になる前に、閲覧請求に至った問題にお互い向き合うことが大事ではないかと思われます。

議事録は作らない方がいい?

閲覧請求をされるぐらいなら議事録なんて作らない方がいい?

というお考えになることもあるかもしれません。

でもちょっと待ってください。

宗教法人の事務、大切な意思決定は責任役員会で決めることになっています。

例えば、墓地や納骨堂を新設するような場合には経営許可申請の許可要件として議事録を求められることもありますし作らざるを得ない時があります。

代表役員が独断専行したという指摘を受けないためにも、責任役員全員の総意であることを証明するには、議事録を作っておくことが不可避なことがあります。

議事録は信者さんをはじめ、信者以外にも広く閲覧をされてもいいように作成しておくというのも一つです。

フォローする

この記事についてもっと聞きたい、ご意見などありましたらLINEで友達追加をしていただき個別にお問い合わせ頂けます。

友だち追加