〔日本国憲法〕宗教と墓地を考える

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憲法記念日

GWが始まりました。

巷では9連休を取得される方がいらっしゃる一方でカレンダー通り若しくは休日返上で仕事をされている方も多いでしょうか。

この連休の中には憲法記念日が含まれています。5月3日です。

この憲法記念日は日本国憲法が公布・施行されたことを記念した祝日になります。

憲法記念日(けんぽうきねんび)は、国民の祝日の一つ。日付は5月3日国民の祝日に関する法律(祝日法、昭和23年7月20日法律第178号)では「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」ことを趣旨としている[1]1947年(昭和22年)5月3日に日本国憲法が施行されたことを記念して、1948年(昭和23年)に公布・施行された祝日法によって制定された。ゴールデンウィークを構成する日の一つでもある。(wikipedia抜粋)

公布というのは簡単に言えば、この憲法が国民に広く知らされたことを指し、施行というのは憲法が実施された日ということになります。

余談ですが憲法以外の国会で議決される法律は、中に公布日と施行日が別々にされていることもありますが、憲法含め公布日と施行日は同日になっているものが多いです。

このような憲法記念日に、憲法について考える機会にするという考え方が広がっています。

そこで今回は憲法と宗教・墓地についての関係を考える記事にしたいと思います。

墓地・宗教法人の運営に関係のある条文

憲法尊重義務(99条)

宗教活動や墓地の運営の多くは法律や行政が出した命令に基づいています。

そして、その法律や命令は日本国憲法の趣旨に反したことを定めることができません。

第九十九条  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

法律を定める国会議員、命令を定める国務大臣や公務員はこの憲法を尊重・擁護する義務があるからです。

ではどのような条文で宗教活動や墓地の運営が保障されているかを考えましょう。

宗教活動に関するもの(14条・19条・20条)

国民が特定の思想や宗教を信仰することに国家が口出しできません、差別されません、侵してはいけないということが14条・19条・20条で定められています。

これは日本の長い歴史の中で特定の宗教を優遇したり、弾圧したりということが公権力によって行われてきたことによる反省と見ることができるかもしれません。

第十四条  すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第十九条  思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

第二十条  信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
○2  何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
○3  国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

以上から、憲法において宗教活動・行為は強力な保証がなされていると私は見ています。

更に宗教法人には特定の税目が非課税になっているものがあります。

第八十四条  あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。

非課税になっているものを課税に変更する場合は、法律によって定めなければできません。

墓地に関すること(22条・25条)

憲法25条は主に生存権を保障した条文になります。

第二十五条  すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

○2  国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

その中で、「国が公衆衛生の向上及び推進に努めること」を定めています。

公衆衛生というのは特に墓地と関わりがあります。墓地は死体を葬る場所として衛生上の問題が常にありました。

そこで公衆衛生って何かということになりますが

世界保健機関は公衆衛生を「組織された地域社会の努力を通して、疾病を予防し、生命を延長し、身体的、精神的機能の増進をはかる科学であり技術である」と定義している。(wikipedia抜粋)

世界保健機関ではこのように定義しているわけですが、身体的なものに関わらず精神的なものも含まれます。

今日では99%が火葬になり身体的衛生上の問題はほぼ解決しているわけですが、精神的な公衆衛生に関しては死というイメージが常にあるために、墓地の運営と広い意味で公衆衛生は切り離せない関係です。

墓地、埋葬等に関する法律が定められた経緯も宗教感情だけではなく公衆衛生に配慮したことによるものです。

墓地の公共への開放(29条)

あまり意識しないことですが、状況によっては墓地を公共のために用いらせないといけない場合があります。

第二十九条  財産権は、これを侵してはならない。
○2  財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。
○3  私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。

墓地というのは公営墓地を除けばほとんどが宗教法人や個人の私有財産です。

原則として、墓地という公共の施設であっても何の根拠もなく財産権は侵すことができません。当然、墓地を使用している方の墓地使用権も含めてです。

〔避難場所〕墓地を活用しよう
避難場所としての墓地 雑司ヶ谷霊園(wikipediaより) 日本は地震大国と言われるほど大小合わせれば無数の地震が発生しています。 日本列島では2016年、震度1以上の地震が6,587回観測されました。 これは1日に約18回、1~2時間に1回は日本のどこかで地震...

過去に記事にしたことがありますが大規模災害が発生したときに霊園を避難所として開放するという視点で考えれば、公共のために財産権を用いらせるというのは墓地運営をしている方は想定しなければなりません。

長くなりましたが

墓地と宗教というのは切っても切り離せない関係ですが、この2つは日本国憲法によって守られていると言ってもいいでしょう。

昨今、憲法改正の議論が活発になっているところですが、特に以上で紹介した条文についての動向はこの業界に身を置かれている方は注視すべきところです。

いつもと違う視点で憲法と向き合うこと大事だと思います。