〔包括・被包括関係〕墓地や納骨堂の設置に包括団体の承認が必要です

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包括・被包括宗教法人

宗教法人の種類には包括、被包括そして単立という3形態があります。

皆さんの身近にある多くの寺院は被包括宗教法人という包括宗教法人によって運営上の関与を受けています。

ちなみに包括宗教法人とは平たく言えば宗派のことです。

墓地や納骨堂を新たに設置する場合は、包括宗教法人(宗派)の承諾が必要なケースが多々あります。

このことから被包括になると様々な面で制約を受けることがあり、自由に宗教法人を運営できないという考え方もあります。

ただ、同じ思想、教義、目的で活動をしていくうえで、被包括宗教法人の独立性を維持しながらも多くの宗教法人を統制していくにはやむを得ない仕組みと言えるでしょう。

そこで、そもそも包括、被包括の制度とは何か

何故、墓地や納骨堂の設置に包括団体の承認が必要なのかについて見ていきましょう。

包括関係設定のルール

包括関係があるなら定めなければならない

まず宗教法人を設立する際には必ず定めないといけない内容があります。

定めるということは規則に記載し、更に所轄庁の認証を受けるということになります。

※所轄庁というのは通常は都道府県知事ですが複数の都道府県に境内がある場合は文化庁が所轄になります。

宗教法人法 (設立の手続)
第十二条 宗教法人を設立しようとする者は、左に掲げる事項を記載した規則を作成し、その規則について所轄庁の認証を受けなければならない。
一 目的
二 名称
三 事務所の所在地
四 設立しようとする宗教法人を包括する宗教団体がある場合には、その名称及び宗教法人非宗教法人の別

包括関係が及ぶ範囲

そこで、どのような制約が及ぶのかをはっきりさせないといけません。
12号ではその制約の内容を明記するように決められています。
十二 第五号から前号までに掲げる事項について、他の宗教団体を制約し、又は他の宗教団体によつて制約される事項を定めた場合には、その事項
第5号から前号までというのは以下の7項目になります。
五 代表役員、責任役員、代務者、仮代表役員及び仮責任役員の呼称、資格及び任免並びに代表役員についてはその任期及び職務権限、責任役員についてはその員数、任期及び職務権限、代務者についてはその職務権限に関する事項
六 前号に掲げるものの外、議決、諮問、監査その他の機関がある場合には、その機関に関する事項
七 第六条の規定による事業を行う場合には、その種類及び管理運営(同条第二項の規定による事業を行う場合には、収益処分の方法を含む。)に関する事項
八 基本財産、宝物その他の財産の設定、管理及び処分(第二十三条但書の規定の適用を受ける場合に関する事項を定めた場合には、その事項を含む。)、予算、決算及び会計その他の財務に関する事項
九 規則の変更に関する事項
十 解散の事由、清算人の選任及び残余財産の帰属に関する事項を定めた場合には、その事項
十一 公告の方法

包括法人(団体)による制約は、役員、財産、会計、規則変更、公告など多岐に亘ります。

もちろん、定めた場合に限るので定めていない場合は敢えて、規則に入れる必要はありません。

これらの制約は宗派により緩やかで宗教法人の独立性を最大限尊重したものから、厳しく縛られていることもありピンきりです。

これはそれぞれの包括団体(法人)ごとに個性が出ると言ってもいいでしょう。

逆にこのような制約も包括団体(法人)もないのが単立宗教法人になります。

単立宗教法人の中には包括団体(法人)の制約から解放されるために単立化するところもあります。

ただ、気を付けて頂きたいのは「包括関係=制約がある」というネガティブな話だけではなく、宗派として末寺である被包括宗教法人と一体的に秩序ある運営をしていくためには重要な制度とも言えます。


墓地、納骨堂の設置に関わる制約

次に墓地や納骨堂などの公益事業を行う場合には包括団体の制約を受ける場合があります。

これは先ほどの包括団体による制約が及ぶ範囲として第六条(公益事業)を行うことも含まれます。

宗教法人法 (設立の手続き)
第十二条
七 第六条の規定による事業を行う場合には、その種類及び管理運営(同条第二項の規定による事業を行う場合には、収益処分の方法を含む。)に関する事項

何故、このような制約も認められるかというと宗派の考え方として、許容できる事業とそうでないものがあるからでしょう。

我が宗派は墓地、納骨堂は認めないなど様々なケースが考えられます。

事業を行うことが単に利益を生むことのみを目的としているのか、檀信徒のことを考えたことなのかなど公益事業を始める前にある程度、包括団体によって精査をする機会があるとも言えます。

墓地や納骨堂の設置に際して行政から許認可を取得する場合は包括団体の承認を得たことが証明できる書面の提出が必要になります。

被包括かどうかを確認する方法

自ら代表役員などの役員、職員であれば務めている宗教法人が被包括か単立かは十分ご存知ですが、もし分からない場合でも確認する方法があります。

それは登記事項証明書を取得することです。

もしその宗教法人が包括団体に属していればその旨、登記事項証明書に記載されています。

さらに、その包括団体が宗教法人か宗教団体の別も記載されています。

包括関係というのは実は登記事項になっており、外部の方にとっても重要な情報になります。

包括団体に属していることで外部の方からは安心感や信頼を得られるという部分はあるでしょう。

もし特定の宗教法人が墓地の許認可を取得する場合は一度、登記事項証明書を取得し包括団体の承認が必要か否かを確認してみましょう。

因みに、登記事項証明書は手数料さえ払えば誰でも取得できます。

まとめ

宗教法人における包括関係は制約が多岐に亘る場合があるが、宗派や教団として秩序ある運営をしていくためには必要な面もある。

このような包括関係の有無で墓地、納骨堂などの事業を開始するのに包括団体の承認が必要な場合がある。