〔責任役員会〕どのような組織か~招集から議決まで~

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責任役員会とは

宗教法人には少なくとも3名以上の責任役員を置くということが宗教法人法で定められています。

株式会社であれば取締役が1名の会社も世の中に結構あると思いますが、宗教法人の場合は最低でも3名です。

ただ、株式会社の取締役会のように責任役員会という機関は法定されていません。

あくまで法定はされていないだけで想定はされています。

この辺りは少し分かりにくいのですが、私個人としては責任役員会について宗教法人法でどのような役割を担う機関なのかある程度定めておいてもいいのではと思います。

この責任役員会について、宗教法人法上どのような根拠で組織され、どのようなことを議決するのかなど基本的なところを記事にしていきます。

責任役員会が想定される根拠とは

意外に思われるかもしれませんが、宗教法人法上、はっきりと「責任役員会」という単語は一つも出てきません。

よろしければ以下のページで「責任役員会」を検索にかけてみてください。

電子政府の総合窓口(e-Gov)。法令(憲法・法律・政令・勅令・府令・省令・規則)の内容を検索して提供します。

しかし、「想定」はされているわけです。

その根拠は以下の条文です。

(事務の決定)
第十九条 規則に別段の定がなければ、宗教法人の事務は、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は、各〻平等とする。
このような法律となっているため、宗教法人規則である程度議決すべき事項を定めておく必要があります。

ところで宗教法人における「事務」とは何ですか?

という疑問はあるはずです。

しかし、残念がら宗教法人法では具体的な「事務」の定義を定めていません。

そこは皆さんが一般的に認識される「事務」とそう大きな違いはないでしょう。

ただ、ピンからキリまであることは知っておいてください。

要は世俗的なあらゆる業務のことで、例えば小さなもので言えば法要のためにローソクや線香を購入する行為から、大きなものは境内地を処分したり、予算編成や決算承認など、宗教法人を解散することも「事務」の内に入ります。

ただ、常識的に考えてローソクや線香の購入が世俗的な事務とは言え、毎回責任役員会議を行うことはできません。

ある程度軽微なことや日常的な事務に関しては代表役員の一存で処理するのが現実的です。

責任役員会で議決することとは

責任役員会で議決することを予め宗教法人規則で定めておくことが一般的です。

特に以下のような事項を入れるとよいでしょう。

責任役員は、責任役員会を組織し、次の各号に掲げるこの団体の事務を決定する。

  1. 予算(予算の追加、更生及び特別会計の設定を含む。)の編成
  2. 決算(財産目録及び収支計算書)の承認
  3. 歳計剰余金等の処分
  4. 特別財産及び基本財産の設定又は変更
  5. 不動産及び重要な資産の取得、処分、担保の提供、その他重要な行為
  6. 主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、模様替え、除却及び用途変更等
  7. 境内地の模様替え又は用途変更等
  8. 借入れ又は保証
  9. 被包括関係の設定又は廃止
  10. 規則変更又は細則の制定若しくは改廃
  11. 合併又は解散及び残余財産の処分
  12. 主要役職員の人事
  13. その他この団体の重要な事務

ここで挙げているのは宗教法人の財産管理や法人の重要な決定事項です。

もちろん、1~13で挙げたもの以外に議決事項を増やすことはできます。

敢えて決定する事務を限定列挙しているため、それ以外の事務は責任役員会を開く必要がないという考え方もできます。

そして1~13以外のことは恐らく日常的で軽微な事務になると考えられます。

責任役員会の招集から議決まで

議決方法については議決内容や宗教法人によって若干異なるところはありますが概ね以下のように議決します。

招集の流れ

誰が招集するか

責任役員会は、代表役員が招集するのが一般的です。

「ただし、代表役員が欠けている場合又は代表役員が次項の招集を怠った場合は、代表役員以外の責任役員の合議により選定されたものが招集することができる」という規定を盛り込めば代表役員が不在でも招集ができます。

このような非常時もある程度想定しておく必要があります。

責任役員からの招集請求

そして、代表役員は、責任役員の定数の過半数から、付議すべき事項を示して、責任役員会の招集を請求されたときは速やかにこれを招集することになります。

この過半数に対する厳密な法的根拠というのはないのですが、3分の2以上とか5分の4以上となると責任役員が3名しかいない宗教法人になると実質的に責任役員による招集権が奪われるということもあるため過半数というのは現実的です。

もちろん、規則で過半数から3分の1に緩和することも可能です。

招集権の乱発が生じないようにすることも運営上配慮が必要です。

招集通知

責任役員会を招集することになれば各責任役員に対して、責任役員会の日時及び開催場所並びに付議すべき事項をあらかじめ通知することになります。

もしこの通知を怠った場合は責任役員会は有効に成立せず、無効となる可能性があります。次に招集通知の方法には特段のルールはありません。

手紙でも、メールでもよいでしょう。

後からちゃんと招集したという事実が残れば問題がないように考えられますが、さすがにLINEなどのSNSで責任役員会を招集するのはやめたほうがいいでしょう。

議決の流れ

議長

招集手続きをすれば次は議決を行います。

まず責任役員会に議長を置くことになりますが、これは通常は代表役員が議長になります。ただ、代表役員が欠けている場合は、出席責任役員の互選で選出された責任役員が議長となります。

定足数

責任役員会は、責任役員の定数の3分の2以上が出席しなければ会議を開き議決することができないというのが一般的です。

つまり責任役員が3名の場合は3名中2名が出席すれば会議は成立するということになります。

ただ、3名の場合なら全員出席が原則と考えた頂いた方がよいでしょう。

もし責任役員が10名以上と相当な人数になれば多少の欠席は許容範囲かと思います。

また、会議成立の定足数を緩めることはできませんが、厳しくするということは可能でしょう。

例えば責任役員が10名いる場合は5分の4以上(8名以上)とすることもありうるでしょう。

議決

議決ですが議事は、別段の定めがある場合を除いて、責任役員の定数の過半数で決することになります。

もちろん、宗教法人が解散する場合など重大事項は要件が厳しくなります。

そして、責任役員会における責任役員の議決権は各々平等となります。

これは株式会社における取締役会や株主総会などの原則と共通します。

議事録作成

議事録の必要性

責任役員会を開催した場合には、必ず責任役員会を開催し議事録を残すことになります。

通常、規則には「会議には議事録を作成しなければならない。」と定められています。

法人として意思決定機関がどのような話し合いをしたのか記録に残さないというのは宗教法人の利害関係者や信者にとってはよろしくないからです。

誰が作成するのか

議事録は誰が作成すべきかという話になると誰でも良いというのが個人的な考えです。

但し、議長は議事進行に注力する必要があるので議長が作成するのは好ましくないでしょう。

更に、意見が対立した場合に責任役員が作成するのは中立性の観点から不安が若干あります。

もちろん、全会一致で議決された場合は責任役員でもよいでしょう。

ある程度の規模の宗教法人であれば事務職員の中から書記を設置するという形もよいでしょう。

当然ながら書記は議決に参加することはできません。

この辺りは宗教法人ごとに特色や個性が出るのかもしれません。

議事録ができたら署名捺印

議事録が完成すれば、その議事録の内容に間違いがないことを確認し出席した全ての責任役員は署名捺印をすることになります。

ここで注意すべきはあくまで「議事の正確性」に対する証明であって、「議決に賛同したこと」の証明ではありません。

そのため、議決に反対した責任役員がいてもその責任役員は議事録記載の内容に誤りがなければ署名捺印するのが原則です。

例えば議決に反対して途中で会議室から出ていってしまった場合も、その旨議事録に記載し後から出ていった責任役員から署名捺印をもらうことになります。

そういった場合は、なかなか協力してもらえませんが…レアなケースとして考えられます。

もし署名捺印に協力しない責任役員がいればその旨、議事録に記載しておくのが望ましいでしょう。

墓地や納骨堂の設置には責任役員会が必要

では墓地や納骨堂を設置したり、拡張、廃止、移転するときに責任役員会は必要かどうかで考えると原則必要です。

むしろ、責任役員会を開きその議事録を提出することが許認可の要件となっているケースが大半です。

責任役員会を開催する根拠としては以下の事項に該当すると考えられるからです。

不動産及び重要な資産の取得、処分、担保の提供、その他重要な行為
主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、模様替え、除却及び用途変更等
境内地の模様替え又は用途変更

墓地は土地、納骨堂は土地と建物が関わってきます。

墓地も納骨堂の場合も共通して土地を新たに取得したり、元々ある境内地、境内建物に変更を加えるという行為が不可欠です。

その為、責任役員会を開くことが規則上、許認可の要件上求められているということになります。

そして、行政に提出するものですから全会一致での議決が原則と考えるべきです。

まとめ

責任役員会は宗教法人法には直接規定されていないが宗教法人規則で個別に定められています。

規則には招集から議決まで手続きを定めておく必要があります。

ここで紹介したのは一般的な流れですので宗教法人ごとに違う場合があります。

責任役員会をこれから開催する方は必ず規則を熟読し、流れをイメージしておきましょう。

今回は責任役員会について取り上げましたが、責任役員という役職について知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。

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