〔宗教年鑑〕信者数は正確に把握すべきか?

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文化庁の宗教年鑑

宗教法人が墓地の設置をするにあたって、信者数(檀信徒)がどれだけ存在するかというのは大きな要素です。

公募型ではない檀信徒向けの墓地であれば檀信徒の数以上に墓地面積を確保する必要はありません。

その為、許可を取得できる区域面積は檀信徒の数に影響されることがあります。

4月号の月刊住職で文化庁が発表する宗教年鑑の信者数について”どんぶり勘定”なのかということが取り上げられたようです。(中身はまだ読んでいませんが…)

宗教年鑑にある信者数は新聞報道のとおり“どんぶり勘定”なのか

毎年文化庁が公表する『宗教年鑑』に記載された各教団の信者数は各教団の申告をうのみにした“どんぶり勘定”だ、宗教界が襟を正すべき問題だと『産経新聞』が書いた。本当なのか。各宗派に“どんぶり勘定”なのか取材した。

この記事は昨年末に産経新聞から問題提起がなされたことが発端になっています。

文化庁が平成29年3月に発行する28年版の「宗教年鑑」で、真宗大谷派(本山・東本願寺、京都市下京区)から申告された信者数をうのみにし、前年版の約2・5倍にして公…

真宗大谷派の信者数が算出方法変更で320万人から792万人になり、仏教系教団信者数が6位から2位に上昇したということが衝撃的なこととして伝えられています。

墓地の許認可にも影響が出る信者数。

どう捉えるべきか個人的に考えたいと思います。

信者数はどんぶり勘定でもいい

そもそも信者の定義とは

まず、何をもって信者というのかが問題です。

信者は、各宗教団体が、それぞれ氏子、檀徒、教徒、信者、会員、同志、崇敬者、 修道者、道人、同人などと称するものの全てを含んでいます。信者の定義、資格などはそれぞれの宗教団体で定められ、その数え方もおのおの独自の方法がとられています。(文化庁 宗教年鑑)

宗教年鑑には例年この前置きがなされています。

文化庁のHPで公開されている最も古い平成7年度の宗教年鑑も同様です。

このような定義ですから正確な数字というのは元から厳格に把握する趣旨のものではありません。

無宗教?多宗教?

統一された信者数の算出手法のない政府統計の不備と、宗教法人の不明確な信者数計算の実態(産経新聞抜粋)

政府統計の不備と不明確な信者数計算を産経新聞は批判されているわけですが、誰がどのような宗教を信仰するかは自由ですし、複数の宗教を信仰することも可能です。

日本人は仏教、神道、キリスト教を今日では何の抵抗もなく受け入れている部分があります。

このように、複数の宗教を受け入れると無宗教ということもできますし、多宗教と捉えることもできます。

例えば国家として厳密に信仰すべき宗教を定めて国民に浸透させているような場合は、どんぶり勘定が許されないのでしょうが、日本の場合は何も問題がありません。

宗教年鑑の話で言えば、ある意味で「言ったもの勝ち」と指摘されうることですが真宗大谷派の説明通り、実態に合わせた算出方法に変えたのであれば、より正確な数字が出たわけですから何も批判されることはありません。

日本の人口と比較して

平成27年度宗教年鑑35ページを見てみると日本全体の宗教法人の信者数は190,219,862名となっています。

日本の人口は約1.273億人ですので人口よりも大幅に信者数の方が多くなります。

信者数/日本人口=約1.5

人口よりも信者数が多いのは問題でしょうか?

このような状況は平成7年の宗教年鑑から確認できますが今になって、どんぶり勘定を指摘するのはナンセンスです。因みに平成7年は信者数が2億名を超えています。

墓地の設置と信者数

墓地の設置と信者数には冒頭で説明した通り規模の面で少し関連があります。

例えば大阪市の審査基準では

墳墓数については、檀信徒数の数に応じたものであること。

という事項があります。

檀信徒の数字については何をもって信用してもらうかが問題です。

信者数に応じて墳墓数を算出し、墳墓数から区域面積を見積もるというのが一般的です。

墓地の許認可では公衆衛生と関わる部分になるため、ある程度信者数のエビデンスを要するでしょう。明かにどんぶり勘定はNGです。

しかし、宗派によって信者の定義が曖昧な場合があり、行政は宗教法人の考え方を尊重して合理的な算出方法であれば理解をすべきものと考えます。

更に現時点の数ではなく、将来的に分家する数も想定して余裕のある墓地の設置計画が求められます。