〔臨終から火葬まで〕死後24時間以内の火葬が禁止されている理由と例外

死後24時間は火葬厳禁?

業界に身を置かれている方にとっては常識ですが一般には意外と知られていないことの1つとして死亡後24時間以内は埋葬、火葬が禁止されているというものがあります。

このルールは墓地、埋葬等に関する法律に明確に規定されています。

墓地、埋葬等に関する法律

第三条  埋葬又は火葬は、他の法令に別段の定があるものを除く外、死亡又は死産後二十四時間を経過した後でなければ、これを行つてはならない。但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。

通常は急いで火葬する必要はありませんし、ちゃんと葬儀をするならば通夜、告別式で24時間は余裕で経過しているはずです。

最近は直葬が増えているため葬儀は最小限に留めるということもありますが、多くの火葬場では火葬の順番待ちで遺体ホテルなるものが現れるなど24時間以内の火葬禁止を一般の方が意識することは殆どありません。

24時間ルールが設定される理由

蘇生の可能性

まず蘇生の可能性を排除してはいけないということです。

蘇生し息を吹き返すことをあらかじめ想定してこのような規定が設けられたといえます

↓の蘇生事例はいずれも海外ですが存在します

ブラジル北部ベレンの病院で今月1日、肺炎が原因で治療を受けていた2歳の幼児が死亡した。だが信じ難いことに、悲しみに暮れる人々の目の前で死んだはずのこの幼児が葬儀直前に突然目を覚まし、起き上がったのだ。 病院で死亡が確認されたはずのこの幼児Kelvin君は、葬儀が始まる1時間前に突然棺から起き上がり、側にいた父
  アメリカのウィンスコンシン州ミルウォーキーで起こった驚くべき現象が話題になっている。死亡が確認さ ...

しかし日本においては医療が進歩し死亡までに様々な蘇生方法が施され、複数の医師が関与することもあるのでこのような事例というのは皆無です。

宗教感情への配慮

日本には仏教を始め多くの宗教、宗派があり、その数だけ死に対する捉え方は様々です。

しかし多くの場合は人の死に対して最大限の尊厳をもって対応します。

それは葬儀という儀式を行うことであり、別れのための時間を設定することです。

ご存知の通り直葬が増えていますが今でもこの葬送習慣は続いています。

そのような宗教感情がある中で24時間以内でも火葬ができるルールにしてしまうと配慮がなされていないという見方をされるかもしれません。

別れのための時間を大切にすることは見送る側にとっても心情として大切なことという、配慮の1つと捉えることができます。

24時間ルールの例外とは

この死後24時間以内の火葬を禁止する法律ですが勿論例外もあります。

ここからは2つの例外について見ていきましょう。

妊娠7カ月に満たない死産の場合

墓地、埋葬等に関する法律第3条の但し書きでは

但し、妊娠七箇月に満たない死産のときは、この限りでない。

というものがあります。

なぜ7カ月未満であれば24時間以内の火葬が認められているかについては、胎児は蘇生の可能性が低いからと言われています。

だからと言って死亡が確認されれば即火葬をするということは通常は考えられないわけですが…

妊娠7カ月という段階が胎児にとってどのような状態か考えると、顔の輪郭がはっきりしてきたところになります。

妊娠7カ月という段階で早産をするというのは当然、命の危険があるといえますがNICUで生存できるケースも増えてきています。

医療の進歩で妊娠7カ月という基準はもしかすると変わっていくのかもしれません。

因みにこの7ヵ月は何日未満になるかというと1か月を28日として

28日×6ケ月+1=169日未満ということになります。

この169日未満か170日かで死後の取り扱いが変わるということは注意が必要です。

感染症による死亡の場合

次に感染症によって亡くなった方の場合です。

この場合は感染症の蔓延を防止しなければならないので、死体の移動制限や原則火葬しないといけないという制限や、24時間以内の火葬も認められています。

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(抜粋)

(死体の移動制限等)

第三十条 都道府県知事は、一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要があると認めるときは、当該感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体の移動を制限し、又は禁止することができる。

2 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、火葬しなければならない。ただし、十分な消毒を行い、都道府県知事の許可を受けたときは、埋葬することができる。

3 一類感染症、二類感染症、三類感染症又は新型インフルエンザ等感染症の病原体に汚染され、又は汚染された疑いがある死体は、二十四時間以内に火葬し、又は埋葬することができる。

ここで気を付けたいのは24時間以内に火葬をしないといけないということではなく、あくまでできるだけの話です。

神戸市の斎場 死後16時間で火葬された事例が問題に

このような24時間ルールがあっても一部の自治体では守られてないケースもあります。

神戸市で墓地、埋葬等に関する法律に抵触しかねない不祥事がありましたので紹介します。

神戸市は26日、市立鵯越(ひよどりごえ)斎場(同市北区)で80代男性の遺体を死後24時間以内に火葬したと発表した。蘇生(そせい)の可能性があるため、法律で死後24時間以内の火葬を禁じている。火葬の予約時に葬儀会社から死亡日時を誤記した書類が送られてきたことが主な原因という。

神戸市は26日、市立鵯越(ひよどりごえ)斎場(同市北区)で80代男性の遺体を死後24時間以内に火葬したと発表した。蘇生(そせい)の可能性があるため、法律で死後2…

この記事からは明かなヒューマンエラーによるもので意図的ではないことははっきりしています。

なぜ24時間以内の火葬が神戸市で起きてしまったのでしょうか?

フライング火葬の遠因

昨今、火葬待ちの時間が長くなっているという話があります。

これは当然地域差があるわけですが、初七日でようやく通夜ができたという東京の事例もあります。

その事例は以下の記事で紹介されています。

 首都圏などの都市部を中心に火葬場不足が深刻化している。高齢化社会の進展で年間の死亡数が増える一方、火葬場の数は増えていないからだ。都市部では「人が亡くなってから通夜まで1週間待ち」というケースも出て、遺族を悩ませている

何故、神戸市ではこんなにも早く火葬ができたのか(正確には火葬してしまったか)ですが、人口10万人あたりの全国の政令指定都市の火葬炉数が記事中の棒グラフで紹介されています。

このグラフによると神戸市の3.5炉で全国で上位3位に入り全国平均の2.4炉よりも1炉多いことになります。

つまり人口当たりの火葬炉数が比較的余裕があるために、火葬までの待ち時間が短くなる傾向になります。

何が言いたいかというと、仮にヒューマンエラーで死亡時刻の取違があっても炉数に余裕がなければ24時間以内の火葬は起きにくいということになり、炉数が多ければ多いほど死後火葬までの時間管理に注意しなければならないということになります。

今回のフライング火葬の直接の原因は葬儀会社のミスではありますが、その背景には火葬場数に余裕があることも遠因ということになります。

神戸市だけの問題ではない

このような事例は神戸市に限らず、神戸市よりも炉数に余裕がある堺市や浜松市でも起こりえる可能性があります。

ただ、堺市に関しては松原市など周辺自治体に火葬場がないところもあり、一概にここまで余裕があるのかは何とも言えないところです。

いずれにしても炉数が多いと時期によっては火葬までの待ち時間が短く葬儀会社始め火葬場側も相互に2重、3重のチェックが必要です。

特に注意すべきは通夜や告別式を行わない、直葬という形で病院等死亡した場所から火葬場に移送されるケースではないでしょうか。

守らないと罰則がある

改めて24時間以内の火葬禁止規定を押さえておきましょう。

墓地、埋葬等に関する法律 抜粋

第二十一条 左の各号の一に該当する者は、これを千円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する
一 第三条、第四条、第五条第一項又は第十二条から第十七条までの規定に違反した者
二 第十八条の規定による当該職員の立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者、又は同条の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をした者

一応、この規定については非常に軽いですが罰則はあります。

既に死亡していることを考えると、この程度でよいのではないかと思われます。

とは言え罰則が軽いことでこの規定が守られないのも問題です。

単純に罰則が重いから守られるというものでもありません。

まとめ

何故、24時間かという疑問はあります。

医療が進み死亡判定の正確さが進んだ現代であれば12時間でもよいはずです。

とはいっても人間ですから何が起こるか分からないのが現実です。

現状を踏まえ様々な検討をしていくべきではないかと思われます。

墓地、埋葬等に関する法律3条違反にいては珍しくなかなか報道されないこともあり、この機会に改めて24時間以内の火葬禁止規定を押さえておきましょう。

また不祥事を起こした火葬場だけでなく、起こしそうな火葬場も予め防止策を考えておかなければなりません。

ヒューマンエラーは常に起こりえるものです。

そういう前提で火葬場を含め死体の取り扱いをする方は注意していくことが重要ということになります。

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コメント

  1. 田中大知 より:

    24時間以内に火葬が出来ないっていうのは本当に法律で決まているのでしょうか。火葬場の順番を調整しているだけの様に思えるのですが?。

  2. もんこ より:

    死後48時間置くと、聞いていましたが、いつの間に、24時間になってしまったのでしょうか。

    それというのも、人は死んだとされていても、葬儀の最中、棺桶から起き上がったりしたことがあり、日本だけの経験でも、ちょいちょいこういうことがあったためで、死後最低でも、48時間は置いてから、火葬な土葬なりするようになったと聞いています。

    何も海外の情報ではない、日本での実際にあった話です。

    ここ10年内でも、一度死んだはずのおばあさんが、再び息を吹き替えした事例もあります。大げさにニュースにしないだけ。
    死んだと診断した医師の名誉にも関わる話ですね。大ぴらにできません。

    そのお婆さん、生き還ったのはいいのですが、生前の記憶が他人の記憶と混じってた?ない経験をあたかも自分の経験のように話してたのです。彼女の夫いわく、そういう経験無いはずなんだけれど、とのことでした。

    もしかして、他の霊がこっそり入り込んだ可能性もあるのではと思ってみたり。
    人の肉体の仕組みは、霊体とセットで捉えると、まだまだ解明されているところ多くありません。

    とはいえ、一度、死んだ診断される状態になっていても、3日から一週間くらいしてから、再び元の肉体に戻れることも、そういう可能性はあるのではと、私は見ています。

    ただ、死んだという状態で、誰にも発見されず、時間が経過しただけのラッキーな状態だった場合に、それが確認でき、現代では、死んだと診断された後は、引き取られた葬儀屋の冷凍庫で冷凍保存されていますから、仮にいきかえったとしても、またすぐに死んでしまうだろうと言っていました。

    • shuuuuum より:

      もんこ 様
      法律上は24時間ですが、慣習や葬儀場のマニュアル等で48時間とされているところはあるのかもしれません。墓埋法違反の指摘を避けるためにそのような対応をするというのは現実的です。
      この記事で取り挙げている蘇生事例は海外のものが中心ですが国内でも同様の事例は表ざたにならないだけで存在しうると考えています。
      仰る通り、生と死の境目は意外と曖昧なもので、医学的な判断も人間が行う以上は絶対的なものではないのかもしれません。一方で遺体が腐乱していき衛生上の問題が生じることも考えると一定期間内の火葬が最も合理的という結論になるのでしょう。